2014/06/21 ゴリラのシャーマン - Card of the Day -今日の1枚-

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ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman

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「デザイン・チーム」というものがある。正確には、あった。

このチームはマジックのエキスパンション・セットごとに組まれるユニットであり、 彼らが行うのは、そのセットの全体的な雰囲気や方向性といったものを作り上げ、カード原案までを考えることである。

ここから先はデベロップ・チームが原案をもとに、より洗練されたデザインへとカードを仕上げていくのだ。 この役割がわかりやすいようにしたのだろうか、「基本セット2014」以降は「初期コンセプト&ゲーム・デザイン」という役職名に置き換わっている。

「マジック・コンティニュイティ」というものもあった。これは現在、「クリエイティブ・チーム」と呼ばれているものの前身となった。

マジックの背景世界と、それらのセット毎のストーリーの継続性を作っていくことがコンティニュイティの仕事だった。

「アライアンス」が創られる時、そのストーリーの原案はデザイン・チームが担うことになった。そうして出来上がった骨組みに、コンティニュイティは一つの注文をつけることになった。

「このストーリーに、知性あるゴリラ種族を付け加える方向で」。

彼らがこのセットにゴリラを投下するに至った経緯や理由は不明だが、この決定案を伝えられたデザイン・チームは、これを「ストーリーが台無しにされた」という風に捉えた。 たしかに、シリアスな漫画で、急に喋るゴリラが出てきたらそれだけで流ぶち壊しでギャグ漫画に代わってしまうというのは想像に難くない。デザイン・チームが難色を示すのも理解できることだ。

この独断に対してデザイン・チームは全力で抗議するのだが、そのやり方は「現段階で作成されている全てのカード名をゴリラにしてしまう」というものだった。

「ゴリラなんたら」「なんたらゴリラ」「ゴリラ」といった具合に。 最終的に、彼らは和解したのだが、この事件の名残として、「アライアンス」にはゴリラが描かれたカードや、一見関係ないように見えて実はゴリラが隠されているカードなども登場している。

セットの隠れテーマがゴリラとなったわけだ。 そんなセットに含まれるゴリラ・カードの中でも、屈指の名カードがこの《ゴリラのシャーマン》。

1マナ1/1という採用しやすいサイズにして、XX①でマナコストがXのアーティファクトを破壊するという能力を持っている。

一見無茶苦茶マナがかかる駄目なヤツに見えるが…ちょっと待ってほしい。君はヴィンテージというフォーマットを知っているか?

《Mox Peral》《Mox Sapphire》《Mox Jet》《Mox Ruby》《Mox Emerald》《Black Lotus》といった「Power 9」に《Mana Crypt》やアーティファクト土地のような連中を加えた、イカレた超軽量アーティファクト達。

それらが蔓延るこの環境において、この祈祷師は祈りを腕力に変えて1マナでありとあらゆる宝石を叩き割る! その雄姿は「Mox Monkey」という称号に相応しいものだ。

これの新枠日本語版は激レア。何かの間違いで「コールドスナップ」構築済みを購入してしまったそこのあなた、今すぐ押し入れを探索セヨ。

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