2014/06/25 Vibrating Sphere - Card of the Day -今日の1枚-

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Vibrating Sphere

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 「振動する宝球」とでも訳されようか。イラストを見る限りでは、複数の層から構成される、複雑な球体の様だ。内部に脳のようなうねりが見えるのが、なんとも不気味である。球体の周囲に展開されている水色のヴェール状の物は、その振動により発生した衝撃波的なものだろうか。

このイラスト、現在のマジックではおおよそ見られない80年代アメリカンコミック調の画風が特徴的ではあるが、シンプルに描かれているためこの宝球の大きさがわかりにくい。動物の骨で出来た台座にも見えるし、巨木や石柱のようにも見える。とりあえず、骨の台座説で話を進めよう。ありがたいことに、アーカム・ダグソン御大の解説文がフレーバーテキストに書かれている。訳してみよう。

「神秘的で、不可視の繊維がこの球体から発されている。そしてそれは、これに近付く全ての者をもつれさせる。」

見えない糸が放出され、それを生体に接触させることで振動を流し込んでいるようだ。そしてそれにより、対象者は脚がもつれたり痙攣が起こったりしてうまく行動が出来なくなるようだ。

カードとしての機能は、なかなかに類を見ないもので面白い。自分のターンには、その振動を増幅させて兵士達の筋肉を増幅させたり神経系を研ぎ澄まさせたり、単純に興奮させたりしてパワーを+2上乗せする。これは素晴らしい、「早速我が軍でも採用だ」と上官が独断で導入し、兵士達は不可視の糸でパワーアップ。ウォー。

しかし、ターンを相手に返すと、兵士達は突如地に膝をつく。やっぱりドーピングみたいなことって、ダメ絶対。本来受けるはずのない負荷である、反動があるに決まっているのだ。というわけで自分以外のターンでは自軍のタフネスが-2となる。

このデメリットが、このカードの運用を非常に困難にしていることは言うまでもない。これがタフネスでなくパワーだったら、まだ気にならなかった。タフネス-2は「概ね死んじゃう」値である。

全体のパワーを+2して嬉しいデッキは、小粒のクリーチャーを大量展開してナンボだ。例えば《未練ある魂》。殴る時は3/1飛行が2~4体、たまらん。勝てる。相手にターンを返してしまうと場には何も残らない。たまらん。負ける。

往々にして、パワーを2上げるだけの置物をデッキに入れるのならば、もっともっと使い勝手の良いデッキに合ったものが存在するものだ。かと言って、これの利用価値がゼロだと断ずるには早い。例えば、相手に《寄付》してはどうだろうか。ウィニーや部族といったデッキなら継続的な《神の怒り》として機能するぞ!《死の支配の呪い》《仕組まれた疫病》とかの方が…とか言っちゃダメだ。

あるいは、自分で開き直って使うのも良いのかもしれない。死亡した時に何か起こすクリーチャーをズラリ並べて強化して殴って「Go!」と言ったら相手のアップキープにスタック山積み、とか絵的に面白い。《血の芸術家》で残ったライフを吸いつくそう!

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