2014/06/27 Phantasmal Sphere - Card of the Day -今日の1枚-

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Phantasmal Sphere

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幻影とは。幻の影。感覚の錯誤によって、実際には存在しないのに、存在するかのように見えるもの。まるで現実に存在しているかのように、心の中に描き出されるもの。ありもしないもの。ありもしないのに、見える・見えてしまうもの。心をとらえるもの。


その幻影を生み出す宝球なのか、幻影により生み出された宝球なのか、イラストを見た限りではちょっとわからない。しかし、これがかなり怪しい・危ないアイテムなのはよく伝わってくる。アイテムというより、生体兵器というところか。何にせよ「禁断のテクノロジー感」がたまらない。

このカードは「Sphere」と名がつくのにクリーチャーであるというなかなか珍しい1枚だ。最初は2マナ0/1飛行という貧弱極まりない体格の持ち主だが、ターンを経るごとに1/2、2/3、3/4と成長してゆく。5/6なんかになれば制空権は握ったようなもの、2マナで《マハモティ・ジン》!勝った!…と喜ぶのは早い。そうもお得なカードを、この時代の「シビアすぎる」デザイナー達が許してくれるわけがない。アップキープの開始時に+1/+1カウンターが乗った後には、厳しい「お支払タイム」が待ち受けている。カウンター1つにつき、1マナ支払わねばこの生ける宝玉は砕け散る。世の中、安い話ってないものだ。


それでもコツコツと支払いを続けて、人に自慢出来る立派な体格に成長したので満を持して戦線に送り出そうと、試みたタイミングで土地が止まってしまった。悲しいものだ。

アップキープに支払いが出来ずに、それまでの育成は水泡に帰した。そして、悲しみはこれだけでは終わらない。ふと視線を上げれば、相手の戦場に先程まで自分が育てていた禁断の風船型生物とうり二つの物体が浮かんでいる。そう、このカードが戦場を離れてしまうと、対象の対戦相手の戦場にこれに乗っていた+1/+1カウンターと同数のパワー・タフネスを持つ飛行生物が出現するのだ。

それまでのターン、何かを展開したり構えたりすることを放棄してコツコツ投資してきたものが、たった一度の支払いを怠っただけで崩れ落ち、そして裏切られる。そのリスクをしょってまで使えるカードなのかと言うと、全くもってそうではない。

このカードは「この世の不条理を凝縮した物体」として、永遠に語り継がれるべき存在だ。悲劇を繰り返しては、いけない。再録禁止カードで本当に良かったと思える、数少ない1枚だ。レアだからとりあえず使ってみよう、と犠牲になる少年少女が1人でも少ないに越したことはない。

こんだけ言ってるけど、僕は結構好きなカードなんですよ。イラストとかデザインの雰囲気は素晴らしい。弱くても、良いんです。

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