2014/08/08 偶然の出合い - Card of the Day -今日の1枚-

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偶然の出合い/Chance Encounter

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 「出合い頭」は「出会い頭」と表記しても問題ないらしいが、言葉の本来の意味を重視するならば「出合い」の方がシックリくると個人的には思っている。「出合い」は、川や沢などの合流点のことも意味する。何かと何かが顔を合わせる・直面するということを意味するのが「出合い」だ。

 この《偶然の出合い》は、カード名は「出合い」ではあるが僕にとっては「出会い」だった。「オデッセイ」発売日に出会い、以後長い付き合いになる。ちなみに英名のEncounterも人と人との「出会い」という意味を主で持っているが、同時に「出くわす」「遭遇する」という意味も持っている。

このカードを含む、勝利条件エンチャント・サイクルは、5種全ての英名に「戦闘」に関する単語が含まれているのが特徴であり、このカードのEncounterは「遭遇戦」を意味している。たまたま街角で出会ったツワモノ同士がストリートファイト…格闘漫画の世界が思い浮かぶ。

 しかしこの世界は多元宇宙だ。出合う場所は街角ではなく砂漠地帯、出合うのは二人のシャーマンだ。となれば、ここで競い合うはシャーマンとしての力量・魔術の激突である。しかしてその内容は…「運ゲー」じゃ。唐突にコインを投げるシャーマン。ピンッ「裏!」パタン(裏)「よし!」運勢カウンター1個get!…こんな感じで10回勝利すれば、You Win。シャーマン達は一体何を争っているのだろうか。

 勝利条件カードの多くは、お膳立てが出来る(あるいはお膳立てありきのカードもある)。前回の《死闘》や山のように聳え立つ200枚超のデッキ「バベル」で有名な《機知の戦い》など、そのエンチャントを場に出す前に、勝利に向かう条件を用意出来る。

しかしこの《偶然の出合い》は、そんな「茶番」は許さない。これを場に出したうえで、何らかのコイン投げカードを用意して、その上で10回勝ち、自らのアップキープを迎える。とにかく不正は許さない、実に男らしい、否、「漢らしい」カードである。これで勝つために、1体どれだけの構築を行い、そして大敗してきたかもうわからない…。

そんな日々を過ごしていたある日、2009年4月24日。オラクル更新が行われた。その内容には、コイン投げカードの代名詞《熱狂のイフリート》のパワーレベル・エラッタの解除が含まれていた。《熱狂のイフリート》は0マナでコインを投げることが出来る起動型能力を持っていたが、この《偶然の出合い》と出会う直前に「《熱狂のイフリート》が場に出ている場合」という能力に制限が設けられ、無限にコインを投げることは出来なかった。

そして、これが解除されたことにより、イフリートを無限に起動→どんなに運がなくとも、1億回コイン投げれば10回は勝てるだろ→You Winという「必然の出合い」コンボが誕生したのである!

 …しかし僕は、狂気乱舞はしなかった。やはり、このカードの魅力は「どうしようもなさ」にあるのだと、改めて思ったのだ。僕が出会ったカードは、そういう勝つとか負けるとかコンボとかと全く違うベクトルの刺激を提供してくれた《偶然の出合い》なのである。

ビアトリクス・ポターの名作「まちねずみジョニーのおはなし」に登場する田舎のねずみ、チミー・ウィリー。都会の喧騒に馴染めず、一見退屈な田舎の穏やかな暮らしを愛する彼に感情移入しつつ、随分長くなった今日のお話はここまで。

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