2014/09/08 吸血鬼の夜鷲 - Card of the Day -今日の1枚-

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吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk

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「秋の夜長」というフレーズ。言葉だけが一人歩きしていないか、と思う昨今。暗くなるのが早いから夜が長いとよく聞くが、なんだか納得がいくようないかないような…そんな疑問を払拭するべく少々調べ物をしてみたところ。

江戸時代では、季節によって昼に経過する一刻(いっとき。当時の時間の単位)と夜のそれとの時間が変化するそうだ。秋に入ると一刻が変化し、夏のそれよりも実質的な時間が長くなる。なるほど、これと日が沈む早さとが合わさって夜が長いというわけだね。

マジックを愛する人たちは、この夜長を如何に過ごすかを心得てているエキスパートかと思われる。デッキ調整、ドラフト、配信およびそれの視聴、背景世界の吟味…今週は「ナイト・ウィーク」で決まりだ。

夜を想起させるクリーチャーとして、この《吸血鬼の夜鷲》を最初に挙げる人も少なくないだろう。名前にも「夜(Night)」がしっかり入り、イラストも青白い満月が非常に印象的だ。

そして強力であるが故に、非常に多くのプレイヤーに使われた1枚。なんらかの形で夜鷲をプレイしたことがある人の方が、圧倒的多数であることは間違いない。プレイされた側も含めれば、現役マジックプレイヤーのほとんどをカバー出来るだろう。そういった意味で現在のアイコン(象徴)の1つであると言って良いだろう。

アンコモンではあるが、並のレアを圧倒的に凌駕するハイスペックという言葉も過ぎたるが如しクリーチャーである。飛行・絆魂・接死と、注釈文がなければたった1行、6文字で済むテキストの意味するところは、対航空戦力迎撃機にして補給艦というどんな軍隊でも喉から手が出るほど欲しい柔軟性の塊である夜の猛禽。

これだけの能力を備えた、①BB 2/3というボディも素晴らしい。サイズがこれより大きくとも、マナコストが重くなってしまっては恐らくここまでの活躍は見込めなかったであろう。3ターン目にスラッと出てきて相手の攻めをビタ止まりさせ、しかる後に一転構成・飛行クロックを刻み始めると主には2点のライフを献上し、ダメージレースの概念を踏みにじる。

こちらがサイズで勝る航空戦力を用意しても、だから?と言わんばかりの攻撃を繰り返す。例えそれが《グリセルブランド》のような完全にサイズで勝る相手であっても、接死は自らの命との強制ピントレードを成立させる。

また、吸血鬼という部族面でのサポートもしっかりしており、非常に頼りになる1枚だ。黒の主要部族として吸血鬼がフィーチャーされるようになり、そのタイミングで次代を切り拓くエースとして登場。かつての《セラの天使》がそうであったように、色の顔役として様々なセットに再録された。

「Nighthawk」はヨタカ(小~中型の夜行性の鳥類)、転じて夜型の人間および「夜盗」を意味したりする。ライフやクリーチャーの命を奪うという点で、非常に素晴らしいネーーミングとなっているが…日本語では夜鷹(ヨタカ)ではなく夜鷲(ヨワシ)と訳されている。ヨワシという鳥はおらず、これは造語であるのだが…。

江戸時代に夜道で客引きをする娼婦を「夜鷹」と呼ぶ風習があった。そのため、単語からそのようなイメージを持たれないように…という理由での英断であったそうな。

ちなみに、鷹(hawk)と鷲(eagle)、良く似たこれらの猛禽の区別は「サイズ」で行われており、大型の猛禽は鷲に区分される。「時のらせん2」なんかで、より大型の《Vampire Nighteagle》なんかが登場でもしたら、どのような訳になるのか…そんな妄想を膨らませながら、本日の夜話はここまで。

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