2014/10/18 飢えたるもの、卑堕硫 - Card of the Day -今日の1枚-

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飢えたるもの、卑堕硫/He Who Hungers

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 「食欲ウィーク」、殿におわすはその二つ名も「飢えたるもの」。これぞ食欲の権化と呼ぶに相応しかろう、《飢えたるもの、卑堕硫》だ。英語名も《He Who Hungers》と腹ペコアピールが凄まじい(直訳すれば「腹が減る者」)。この名前のどこにも「卑堕硫」という言葉は見当たらず、日本語名はどういうことなのか?と思われた方も少なくないだろう。その解説は後に回すとして、この飢餓の化身とも呼ぶべき伝説のスピリットの能力についてまずは語ろう。

 5マナ3/2飛行と、まずまず標準的なサイズ。そして「転生」持ちである。卑堕硫は転生4を持っており、これはこのクリーチャーが死亡した時に墓地にある点数で見たマナコストが4以下のスピリット1枚を手札に戻しても良いというもの。あらかじめ墓地に該当するカードが落ちている場合、対戦相手はこれを除去した時点でアドバンテージを失ってしまうことになる。神河ブロックにて登場した数多くのスピリットがこれを持っており、彼らは本来与えられるよりもワンサイズ小さく設定されたパワー・タフネスでありながらもしぶといクリーチャーであるというアイデンティティを持っている。卑堕硫も同じレアリティ・マナコストの《センギアの吸血鬼》に比べると心許ないサイズではあるが、《神の怒り》などへの耐性は勝っていると言えよう。

 そして卑堕硫のキーとも言える能力がもう1つ。スピリットを生け贄に捧げることでの手札破壊能力だ。飢えたるものの称号の通りに、仲間であるスピリットを喰らい、怨敵の記憶・知識も喰らってしまうのだ。この能力はソーサリータイミング限定とはいえ、その捨てさせるカードに特定の範囲が設定されていないのも特徴である。こういったカードには往々にして「土地でない」と書かれているものだが、この能力はさに非ず。《強要》と同じく何でもOKなので、相手が土地が必要そうな状況ならば容赦なく捨てさせてやろう。ブラフで土地だけしか握ってなかったという時も、まあ損をするわけではないのは良いことだ。この能力は、先述の転生持ちを生け贄に捧げることでこちらのカードは減らさずに、一方的にリソースを奪っていくことが出来るのが魅力である。飢え過ぎて自身をも喰らうことも可能だ。これがインスタントタイミングで使用できたならばバケモノとなっていたのかもしれない。

 さて、「卑堕硫」という言葉がどこから来たのかという、このカードのモデルである日本の神・悪霊の1つであると言い伝えられている「ヒダル神」からだ。ヒダル神は山道などを歩く旅人に憑りつく。これに憑かれると、突然異常なまでの空腹感に襲われ、身体も痺れて行動不能に陥ってしまい、ケースによってはそのまま死んでしまうこともあるそうだ。これは餓死・変死を迎えるも山道などで気付かれず供養されなかった人々の霊とも、あるいは山や川の神の仕業とも言われている。ちなみに「ダルい」という言葉は、このヒダル神の地方名である「ダリ」「ダル」が語源ではないかという話もある。神河のデザイナー、渋いところに目を付けたなぁ。

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