2014/11/08 哀しげなゾンビ - Card of the Day -今日の1枚-

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哀しげなゾンビ/Mournful Zombie

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 個人的なマジック界のアンニュイofアンニュイ、「アンニュイ・ウィーク」のトリに相応しいイラストだ。初めて見たのは「アポカリプス」発売日、中3だったか高1だったかな、パックを剥いたら出てきたコモンの1つがこれ。そのイラストが放つインパクトはなかなかに凄まじく、どことなく某ゾンビ映画を思い出してしまうような魅力にあふれていたのだが、それは後述するとしよう。

 クリーチャーとしては3マナ2/1、強くない。能力は…飛行などの基本的な能力なし、辛い。起動型能力あり、Wとタップで1点回復。1点…辛い。この能力を与えられたことに悲嘆している姿が哀しげに見えるのかと思ってしまいそうになる。そもそも何故にこのようなカードが生まれたのか、その背景を探ってみよう。時は遡り「インベイジョン」、「ウルザ・マスクスと多色のカードを含まないブロックが続いた後に登場したのは、多色最高!と言わんばかりのマルチカラーまみれのセット、続く「プレーンシフト」も同じく多色推進、~の戦闘魔道士といった、本来単色だが他の色マナを捻出できればその強さが増すというカードも多数登場、そしてトリを飾るは「アポカリプス」。この黙示録的最終セットでは、多色の枠を更に広げ「敵対色」と言われる色の組み合わせを推奨。《破滅的な行為》《名誉回復》といった今まで意図的にあまり作られていなかった色の組み合わせで超強力なカードを大量に収録し、大いに話題になった。

ここで、ちょっとした問題が発生する。「インベイジョン」「プレーンシフト」と、リミテッドではカードのベクトルが同じ方向=友好色プッシュだった中に、最後の3パック目で真逆のベクトル=対抗色の流れがドドッと押し寄せてくるのである。これ、カードの収録バランスなどをしくじると大変なことになるのは想像が容易につく。「最後の3パック目は使わないカードばっかり」なんて、ゲームとして酷いなんてもんじゃない。ということで、しっかりと使いたくなるカード・多色を推すコモンが作られた訳だ。ただ、それらがあまりにも強力すぎると今度は逆の現象が起こってしまう。そこで「ほどほど」なカードも多数含まれている…そういう解釈で良いんではないだろうか。長々と書いてきたが、「ブレーキベタ踏み」感が否めない1枚ということだ。

 「死霊のえじき」というゾンビ映画がある。人類がゾンビに敗北し、地表は歩く死体に覆い尽くされてしまった世界で、地下にこもった僅かな生存者。そこでは科学者がゾンビを飼い慣らし、ゾンビも博士になついて人間と共存できるかのように思わせる。しかし博士は不信を買い、仲間に射殺される。この人間に復讐するために、人らしく銃を手に取ったゾンビの姿が、この《哀しげなゾンビ》と重なって見えるような気がするのだ。いちゾンビおたくの戯言でございました。

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