暗黒の雛/Dark Hatchling

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/03/06

暗黒の雛/Dark Hatchling

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暗黒の雛/Dark Hatchling

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 「Hatch」という言葉は、マジックのカード名でもちょくちょく登場し、「Hatcher」「Hatchling」の2つの形で用いられることが多い。今週紹介している「雛」は「Hatchling」の訳。この言葉自体は、生物の幼体・幼生を指す。ドレイクやドラゴンの幼体と呼ぶよりは、雛の方が響きも良いしファンタジーの雰囲気を損なわないので、そうテンプレ訳されているのだろう。

 

ならば本日の1枚、《暗黒の雛》はいかがだろう。「暗黒」という概念の「雛」。詩的で実に良いではないか。「Hatch」には「(卵から)孵化する・かえす」という意味の他に、「(計画を)たくらむ・もくろむ」という意味もある。暗黒の中で練られし陰謀が生まれ...あぁ、楽しくなってきた。

 

 《暗黒の雛》は非常にわかりやすい。何が?どういったカードが強いか、それを示すのにこれほどわかりやすい例もない。誰でも...最近はそうでもないか。最初にマジックに触れた時、クリーチャーを直接除去できる、黒という色の利便性に驚かされるものだ(最近は5色揃って割と出来ちゃう)。ちょっと時代を古くすれば、《闇への追放》がその代表だ。3マナで黒でないクリーチャー1体を破壊・再生不可。《恐怖》と違ってアーティファクト・クリーチャーも葬れる&3マナという絶妙なマナコストで強すぎない、この利点から、古き時代の大型エキスパンションには度々再録されていた。この基本中の基本である除去を内蔵した、3/3飛行クリーチャーが6マナである。単純に計算すれば、4BB-2B=2B、即ち3マナで3/3飛行を召喚していることになる。黒はどちらかというと、飛行は苦手ではないが得意という訳でもなく、マナはかかるが大型の吸血鬼やデーモンがいる、という色だった(度々言うが、最近はアンコモン以上では得意分野)。そう考えれば、この抱き合わせ商品はお買い得感抜群。

 

 マナコストの点もそうだが、除去とフライヤーという役割を1枚のカードがこなしてくれる=カードアドバンテージの概念を説明する上でもとてもわかりやすい。相手のクリーチャーを破壊しつつ、他のクリーチャーを相討ちになるor除去を撃たれる。これだけで1:2交換を達成している。「1枚で相手のカードを複数使わせると、リソースの差が出来るんだよ」ということを体現している。どうしても最初は、同じ6マナなら6/6トランプルみたいなカードの方が気になるのだが、マジックは右下の数字以上にテキスト欄が重要だったりするんだよと教えてくれる、先生的ポジションだ。

 

 そして、ここまで褒めておいて、構築では《ネクラタル》の足元にも及ばなかった、というのもカードの強さを教えるのに丁度良いんだなこれが。同じ役割なら、サイズで劣っても軽い方が強い、そういうことをヒヨッコだった僕らに教えてくれた忘れられない存在なのである。


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