2015/05/14 テゼレットの計略 - Card of the Day -今日の1枚-

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テゼレットの計略/Tezzeret's Gambit

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マジックは、マナという限られたリソースを元に行動するゲームである。故に、1ターンの間にとれる行動はそれほど多い訳ではない。幾つかある選択肢から、多くて2つ3つの呪文を唱えたり能力を起動してターン終了、というのがもっぱらだろう。

この束縛を突き抜けて異常なまでの行動回数を誇るコンボデッキが強いのも当然。道理から外れたことをやっている訳だ。

このマナ=行動数を前提に考えると、マナをブーストするカードがそう簡単なものにはデザインされてはいけないし、事実されていないということがよくわかる。次いで、ドロー呪文というものも慎重に設計しなければならないんだなということも納得してもらえるだろう。ドロー呪文が軽ければ、限られたマナの中でもドロー→引いてきたものを使用、ということが簡単になってしまう。

《Ancestral Recall》はやはり許されざる存在なのだ。例え手札が増えないタイプのドローであっても、それが軽量ならばそれだけで強烈な存在となることは、モダンで《思案》《定業》が禁止であるという事実が物語っている。近年、基本セットなどでは3マナ2枚ドローのソーサリーである《予言》が採用され、ドロー呪文の基本的なものとして設定されている。3マナ2ドローくらいが、許される限界というところか。

3マナ2ドローと言えば…僕の好きな1枚が、『モダンマスターズ2015年版』にも収録されているじゃないか。というわけで、今週頭から行っているランキング第7位《テゼレットの計略》について紹介させていただこう。

厳密に言うと、このカードは3マナ2ドロー、ではない。歴とした4マナのカードである。ただし、3マナでも唱えることが出来る。それは、4マナ目にあたる青マナシンボルが、“ファイレクシア・マナ”で描かれているから…このマナシンボルは、通常のマナの支払い以外に2点のライフを支払うという方法で代用することが可能。

つまりは4マナ2ドローか、あるいは3マナ2ドロー2点ルーズかの2つのモードを持っている。これだけ聞くと《予言》よりランクが落ちるように聞こえるかもしれないが…青マナをライフで払えるということは《島》などが入っていないデッキでもこれを用いることが出来るということ。手札の消費が激しい赤単にドロー呪文を仕込めるということだ。本来そういったカードを有していない色のデッキに、他の色の特性を持ちこめることの意味は大きい。

さて、肝心なのは《テゼレットの計略》はただのドローだけではないオマケ付な点だ。これがこの呪文の基本的なコストを4に引き上げている要因だ(逆に、このオマケが無かったら全色で使える《血の署名》になっていた可能性もある)。

そのオマケとは“増殖”。戦場のカードとプレイヤーの上に置かれている全てのカウンターの数を1つ増やしても良い、というもの。-1/-1・+1/+1カウンター、蓄積カウンターに忠誠カウンター、プレイヤーを蝕む毒カウンターに《メルカディアの昇降機》独自のウィンチカウンターまで、なんだって1つ増やすことが出来る。

“感染”持ちや蓄積カウンターに溢れた『ミラディンの傷痕』ブロックのドラフトでは、手札を減らさずに相手の弱ったクリーチャーを除去しながら毒を増やしていく、無茶苦茶強い1枚だったのだ。『モダンマスターズ2015年版』では…“移植”“狂喜”“委縮”“頑強”その他の+1/+1カウンター系のカードが山盛り。どういった挙動を見せるのか、今からカバレージや配信が楽しみだ。

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