墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/05/30

墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus

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 セルフパロディってのは意外に難しい。作品的お約束をただ踏襲する、それだけのことだと「前にも見たじゃん」となるし、そもそも元ネタを知らない人に「???」と思われては作品としてどうなのか、と思う。過剰に気合いを入れて挑んで、ダダズベリで従来のファンが離れることもある。映画・音楽・漫画と、ジャンルを問わず存在するセルフパロディは、とっても難しいのだ。それはマジックも別ではなく。過去に存在したカードを、オールドファン向けに「これ懐かしいでしょ」と今風アレンジを加えて作られたというカードは多くある。その全てが、成功したか?と問われると難しいクエスチョンだが...成功したものもしっかりと存在する。

 

 その1つが、今週一週間お届けした「モダマスでカムバックならずウィーク」のシメを担当する《墨蛾の生息地》だ。このカードには『ミラディンの包囲戦』で帰ってきたこのカードには、皆さんご存知の元ネタが存在する。《ちらつき蛾の生息地》だ。両者の英名は「Inkmoth」と「Blinkmoth」と語感もほぼ同一と徹底した似せっぷりだ。ミラディンを舞台にしたブロックの第2セットで登場と、デザイン以外の面でも共通点は多数存在する。

 

 起動すると1/1飛行のアーティファクト・クリーチャーとなる《ちらつき蛾の生息地》。これを踏襲している《墨蛾の生息地》は、ちらつき蛾のようなもう1つの起動型能力は持たないが、"感染"持ちであることがアイデンティティだ。

 

 ミラディンがファイレクシアに浸食される様を描いた感染という能力。10個貯まると敗北となる毒カウンターをパワー分与えてくる感染持ちは、実質額面の2倍のパワーを持っていると考えてよい。墨蛾も、土地が1マナで2/1飛行になるようなものだ。それだけでもう、強力だと分かる。

 

 「感染」デッキを組むのならば、必要不可欠な土地である。墨蛾なくして感染なし。デッキの一番強い部分と言っても良いかもしれない。打ち消されず、ソーサリー除去で落ちない、最後の隙を狙って構え続けるスナイパーのような土地である。

 

 それ以外のデッキでも、「鍛えられた鋼」ではこれのみが感染持ちであっても第2の勝ち筋として、また地味ながら金属術支援としても機能するために使用されていた。「ケッシグ」でも《原始のタイタン》で引っ張ってこれて《ケッシグの狼の地》で文字通り一撃必殺に成長させることが出来る、裏フィニッシャーとして大活躍。そして時を越えて、モダンの「親和」にて元ネタであるちらつき蛾と夢の共演。クリーチャーだけでなく、2種類の土地からのプレッシャーは他のデッキには見られないものだ。初登場時と同様のノリで、『モダンマスターズ』のちらつき蛾に対して『モダンマスターズ2015年版』再録待ったなし!...と思われていたが、まさかのちらつき蛾再々録。どうも感染という軸がずれた能力が、再録を困難にさせているらしい。


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