2015/06/17 死者の墳墓 - Card of the Day -今日の1枚-

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死者の墳墓/Lich's Tomb

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死・死体・死者・死神・死の王...メタルとは死を歌うジャンルである。人類にとっての最大の恐怖・存在の終了である死。これと向き合い、理解を深める。1つの信仰であると言って過言ではない。皆の誤解を解きたいので書くが、メタルとはポジティヴなジャンルだ。 死だ哀しみだ憎しみだ殺戮だを歌ったりする曲が多いが、いずれもエネルギーは前向きのものだ。本気で悪魔の王を呼んで地平の向こうまで死を運んでほしいなんて思っていない。これはマジックにも通ずるところがある。 クリーチャーをバンバン生け贄に捧げ、血と破壊と死に彩られたゲームをプレイヤーに楽しむために黒のカードはデザインされているが、何も本気で友人を生け贄に捧げて好きなものを手に入れろ!と啓蒙している訳ではない。 両者に共通するところは、遠くて近い存在である死を親しみ楽しむ、ということ。何の話をしてるかって?今週は「Metal Week Vol.3」。独断と偏見で選ぶメタルなカードをご紹介! 《死者の墳墓》は、もう名前がたまらなくメタル。《Lich's Tomb》ですぜ。リッチ(Lich)というのは、元々単に死体を指す古い英単語であった。これをかの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」がファンタジー用語として広めたのだ。やはりすさまじい影響力があるんだね。 自らに不死の魔法・呪いをかけることで、ゾンビとして生きながらえている高位の魔法使い、転じて死者の王などをリッチと呼ぶ。往々にして、他の能無しゾンビ共を操っていたりする。この不死なる存在の、墓。不死ゆえに、本来墓は必要としていないはずだ。 矛盾した存在...ただそれだけでカッコイイ。イラストとカードの効果からイメージを膨らますと、これはある種の生命維持装置ではないだろうか。吐き出される瘴気、したたる血...不死を願いし者達が生み出した、悪魔の発明だ。 《Lich》という『アルファ』のカードのリメイクである。ライフが0点以下になっても敗北しなくなる、ルール破壊カードの1つである。本家が黒のクァドラプルシンボルで破壊されるだけでゲームに敗北などの辛口仕様だったのを、どの色でも使えるようにして効果もマイルドにした、そんなアーティファクトだ。ライフを失う度にパーマネントの生け贄を要求される。このカードは、4マナであなたのパーマネントの数だけ追加のライフを得る、そんなカードであると捉えて問題はない。 扱うのは簡単ではなく、恒久的にパーマネントを生み出すカードや、生け贄に捧げて美味しいカードと組み合わせなければその力を発揮することはないだろう。 僕は実際に、キューブドラフトでたまたま友人がこれと《キイェルドーの王、ダリアン》を組み合わせたデッキを組んで地獄を見たことがある。 ダリアンはあなたがダメージを受ける度に兵士を生み出す。この兵士を墳墓の生け贄に捧げていれば、ダメージを完封してしまえるのだ。 これで時間を稼がれている間に他のカードでダリアンと墳墓に対処することが不可能になり、敗北。脳内には重厚なギターのリフが流れていたのだった。このコンボと名前が被る「Lich King」っていうバンドも実在したりする(2000年代のバンドとは思えないサウンド。褒め言葉ね)。

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