2015/08/20 冷静なチャンピオン - Card of the Day -今日の1枚-

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冷静なチャンピオン/Stoic Champion

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 激情型か...あるいは劇場型なんてのもあるが。皆が思い描くチャンピオン像ってどういうものだろうか。感情剥き出し闘志満々、王者の貫録盛り上げ重視、あるいは...クール・冷静・勝負に冷徹...そういうチャンピオンもカッコイイ。格闘技やスポーツの世界で勝つには情熱が必要だが、頭に血が昇ってもうまくいかないことがある。そこを冷静沈着にプレイして勝利するチャンプの姿は、どんな競技でも輝いて見える。そう、マジックもね。グランプリやプロツアーで勝利する人は皆、とても落ち着き払ってゲームしているように見える。

 カードにおいても、そんなチャンピオン像=戦士・英雄の姿を表した1枚が存在する。《冷静なチャンピオン》、読んで字の如くだ。『レギオン』にて登場したこのカードは、当時の兵士のステレオタイプな外観をしている。その見た目には大きく2種類あって、スキンヘッドで肉塊的な顔に白目のみ...アメコミの雑魚敵っぽい顔のマッチョマン・グループと、甲冑で身を覆い、その兜の下の素顔は発せられる光によって見えないアーマード・グループに分かれる(この分類名は今付けたので、知人にドヤ顔披露とかはやめてね。と言ってもそんな機会がないか)。

《冷静なチャンピオン》は後者であり、首が埋まっているかのように見える重装甲は某マーク44を思い起こさせたり。ガッシリボディに携えるは、これまたこの頃の兵士のメインイメージである斧。2マナ2/2と軽量クリーチャーではあるが、そのイラストは5/5くらいあってもおかしくないように見える。

 その見え方も間違いではない。実際にこのチャンピオンは、巨大なビーストをぶち抜くより強大な存在へと成長する可能性を秘めている。白のダブルシンボルでパワー2となると《白騎士》や《サルタリーの僧侶》といった面々を思い浮かべることだろう。彼らと違ってプロテクションこそ持たないが、個人的にはそれらにも負けないポテンシャルを持った1枚だと信じている。プレイヤーがカードをサイクリングするたびに、+2/+2の修正を受ける。2回サイクリングすれば6/6だ。《忘れられた洞窟》に代表されるサイクリング土地や《アクローマの祝福》といったカードは、1マナでサイクリングが可能。これを2ターン目に出して、3ターン目に全力サイクリングすればMAX8点ダメージ。このアクション、手札の消費がないというのが驚きだ。同じくサイクリングに2点ダメージを付与する《稲妻の裂け目》よりも、ダメージ効率自体は良い。

 このカードの面白いところは、これ自身の能力を起動してサイズを上げているわけではなくあくまでサイクリングによる誘発である点。即ち、複数体並べてサイクリングを行えば、4点以上のダメージをそれこそ1マナ以下で・手札消費もなしに行えてしまうのだ。これに《霊体の地滑り》なんかが絡むと...考えただけで恐ろしい。

 かつてオンスロート・ブロック構築にて《総帥の召集》をキーとするデッキが流行った。前述の《稲妻の裂け目》や《めった切り》を有しクリーチャー除去を得意とするサイクリングデッキは、どれだけ除去してもワラワラ湧いてくるこの《総帥の召集》デッキを苦手としていた。これに対して、かのズヴィ・モーショヴィッツ氏は《冷静なるチャンピオン》を初めとするクリーチャーをサイドイン。速度で優位に立ち、向こうが召集を打つ頃にはライフは数点、という状況を作り火力で勝利するスタイルでプロツアーに臨んでいた。彼がそのプロツアーの王者となることは叶わなかったが、絶望的と言われる相性差を前に投げ出さずに、冷静な対処法で挑んだ姿勢はこのカード名と被っていてカッコ良かったものだ。

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