SSSスタンダード(ゼンディカー) ROUND9 坂東潤一郎(茨城) vs 斎藤 慎也(東京)

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ROUND9。スイスラウンド最終戦。 トップ4のみが決勝トーナメントへの進出ということから、 ID(合意引き分け)は1卓しか行えず、ライン上の殆どはバブル・マッチとなった。

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坂東はROUND3でもフィーチャーとなっている。 そこで破れこそしたものの、残り7試合で堅実な勝ちを収めてきた。

対する斎藤、7戦0敗2分。 引き分けの内容が気になるところだが、無敗という事実がある。 スタンディング的に2番卓ということもあり、このマッチに勝った方が決勝トーナメント進出を確定させる。

GAME1

先手、斎藤。 デッキは、最近のグランプリでもその実力を知らしめている4色《先祖の結集》(ラリー)だ。《進化する未開地》1枚と2マナのアクション数枚という6枚を悩み、2マリガンを選択。占術は上。

坂東、キープ。   斎藤、《窪み渓谷》、《溢れかえる岸辺》から《梢の眺望》、《エルフの幻想家》を唱えて《大草原の川》。 坂東、《乱脈な気孔》、《島》、《溢れかえる岸辺》。静かに、しかし確実にゲームが進んでいく。   斎藤、坂東の《溢れかえる岸辺》起動に合わせ、2マナしか使えないところで《集合した中隊》。 めくれたのは《シディシの信者》と《ズーラポートの殺し屋》。《シディシの信者》の生け贄で《エルフの幻想家》をハンドに戻す。

その後、坂東、ドラゴン公開のない《忌呪の発動》。《ズーラポートの殺し屋》が墓地に落ちるが、この過程で斎藤はハンドを減らさずライフ4点差を得ている。  

坂東、《強迫》で《先祖の結集》を残し、《集合した中隊》を落とす。 斎藤、再びの《エルフの幻想家》から再びの《ズーラポートの殺し屋》。 坂東も再びの《忌呪の発動》で《エルフの幻想家》を撃ち落とすものの、 1度動く度に坂東のライフは少しずつ減っていき、斎藤のライフは少しずつ戻っていく。  

坂東、メインで自らの墓地を一掃して《時を越えた探索》。 そのまま掘り当てた《絹包み》で《ズーラポートの殺し屋》を封じる。  

斎藤、坂東の《強迫》の際に既に見せた《ナントゥーコの鞘虫》を着地させる。 坂東、このキー・パーツを《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》で対処するも、 残る浮きマナは一つで、斎藤のメイン《先祖の結集》X=3の解決を受け入れるしかない。 《シディシの信者》、《ナントゥーコの鞘虫》、《ズーラポートの殺し屋》、《エルフの幻想家》の4枚が戦場に。 先ほどと同様、《シディシの信者》が《エルフの幻想家》をハンドに戻す。   本当に少しずつ、しかし確実に、坂東のライフを蝕む《ズーラポートの殺し屋》への対処は、 見た目以上に時間制限が差し迫っているようでもあった。  1度のアタックも経由せず、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》によるドロー能力も含めてだが、 坂東のライフは既に10を切っている。

  しかしそれでも積極的にカードを引きにいった坂東の姿勢はドローに反映され、 《龍王オジュタイ》、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》、 《ヴリンの神童、ジェイス》、《龍王シルムガル》―... 《軽蔑的な一撃》を構えつつの物量展開を行っていく。  

斎藤、2枚目の《先祖の結集》を比較的坂東のマナに縛りのあるタイミングを見つけて唱えたが、 これが《軽蔑的な一撃》で払われると、次なる矢を放てず、 二匹の龍王のアタックを受け切るライフの担保も早々に底をついてしまった。  

斎藤 0-1 坂東 

スタンダードきっての純粋なコンボデッキ、4色《先祖の結集》(ラリー)。 必ずしも《ナントゥーコの鞘虫》を経る必要のない《ズーラポートの殺し屋》ルートは デッキによって致命的とも言えるほどに強力だ。 坂東はどのような回答をサイドボードに用意しているのだろうか。   斎藤もまた、《命運の核心》《衰滅》のような全体除去への対策を用意しているはずである。  

GAME2  

先手、斎藤。 1マリガンにて再び《集合した中隊》を含んだハンドをキープする。 坂東の《ヴリンの神童、ジェイス》に対して、斎藤3T目《エルフの幻想家》と、 ドローの噛み合いの結果、3T目にして早速、先後が入れ替わる。

斎藤の動きが今ひとつ芳しくないのは、 《集合した中隊》と《先祖の結集》という重めのコンボ・パーツを既に抱えてしまったからだ。しかし《地下墓地の選別者》をトップして、打点と言える戦線を形成した。

その後、斎藤、坂東のセットランド・ゴーのエンドに末裔・トークンを生け贄に捧げ、 《窪み渓谷》を立てての《集合した中隊》。  

坂東、ここは通しがたく、《龍王オジュタイ》を公開して対抗呪文となる《シルムガルの嘲笑》。

斎藤、これに合わせたのは《払拭》。 坂東、《ヴリンの神童、ジェイス》ルーター起動の後、2枚目の《シルムガルの嘲笑》でこれを弾くが―...

斎藤のメイン・アクションは、《アブザンの隆盛》。 打点が高まりつつ全体破壊への耐性もつける。

ここで坂東が抱えていたのが《命運の核心》であればまた展開は違ったのだが。 坂東、これへの回答は《龍王シルムガル》。 《地下墓地の選別者》を殺さず奪い、斎藤の戦力を確実に逓減させる。1手逆順となり、《龍王シルムガル》という回答への回答でもあった《ナントゥーコの鞘虫》が、斎藤の元を訪れる。

続くターン、斎藤は2枚目の《ナントゥーコの鞘虫》こそ《オジュタイの命令》で蹴られるが、 本命の《ズーラポートの殺し屋》は通した。

《エルフの幻想家》と《アブザンの隆盛》によって生むスピリット・トークンを生け贄に、 《ナントゥーコの鞘虫》をサイズアップさせて奪われた《地下墓地の選者》をコンバットで撃ち落とす。

坂東、《束縛なきテレパス、ジェイス》で《完全なる終わり》を使い回して《ナントゥーコの鞘虫》を落としたいが、 パンプアップ能力によって、《ズーラポートの殺し屋》を先に生け贄に捧げてから、自らも"墓地へと逃げる"。 《アブザンの隆盛》によってスピリット・トークンを2体生みつつ、《先祖の結集》への準備を進めていく。   盤面がひと時落ち着いた頃を見計らい、坂東、《無限の抹消》をおもむろに斎藤へと突き刺した。   クリーチャー・コンボに対して比類なき強さを誇るキー・カード対策。 斎藤がスタックに積んだ《先祖の結集》は《風への散乱》し、《ナントゥーコの鞘虫》を4枚追放。

更に続くターン、《束縛なきテレパス、ジェイス》によって再び《無限の抹消》を唱える。《ズーラポートの殺し屋》を4枚追放。

主に知られるルートでは、この2種を対策されてのワンショット・キルを《先祖の結集》デッキは持たない。 坂東、《ヴリンの神童、ジェイス》、《龍王シルムガル》、《束縛なきテレパス、ジェイス》の場に、 《龍王オジュタイ》、《ヴリンの神童、ジェイス》と追加して並べていく。   斎藤、《地下墓地の選別者》や《ヴリンの神童、ジェイス》で凌ぐものの、二匹のドラゴンの咆哮が止まらない。  

斎藤 0-2 坂東

坂東WIN!  



《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を落とすエルドラージランプ用のカードとしても知られる《無限の抹消》。 墓地からも追放させるという点が評価され、《先祖の結集》デッキにもインされる。

「先に指定するのは《ズーラポートの殺し屋》か、《ナントゥーコの鞘虫》か」 後ろから観ていた中島 主税プロを交じえての感想戦では、対《先祖の結集》の定石の再検討となった。

斎藤ら当人を含め、《アブザンの隆盛》が既に着地していた状態では、 《ナントゥーコの鞘虫》の先指定で良かったという意見で、まとまったようであった。   坂東、これで8勝1敗。スタンディング1番卓はIDしており、スイスラウンド1位抜けを決めた。