待ち伏せ司令官/Ambush Commander

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/11/11

待ち伏せ司令官/Ambush Commander

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 司令官/Commanderという役職は、陸軍なら軍団・海軍なら艦隊を指揮する者を示す。ここでいう軍団というのは複数の師団や旅団の混成部隊で、数万から数十万規模の兵員を有する。艦隊というのも読んで字のごとく、軍艦2隻以上の団体を指す。漫画とか映画で当たり前のように出てくる司令官殿・コマンダーは比類なき偉~いお方なのだ。確かに、スターウォーズでもコマンダーって言われてた人はスターデストロイヤーの艦隊率いてたな。今日紹介するカードも、軍団を率いる司令官な1枚。

 

 知識なしに、《待ち伏せ司令官》というカード名だけでどういうカードなのかわかる人はおそらくいないだろう。まず、このカード名にしてエルフだなんてわかるわきゃーない。エルフの待ち伏せ司令官、じゃないことに当時違和感を覚えたプレイヤーが...実はそんなにいたわけじゃなかった。オンスロート・ブロックは部族間のシナジーをメインテーマとしたセットである。ゴブリンはゴブリンと、エルフはエルフと組ませてなんぼだが...そうなると、デッキに入っているカードが全てゴブリンの○○・エルフの○○だと頭がこんがらがりそうだ。そういう配慮もあるのだろう、このブロックには従来のように部族名+その役職という構図のカード名と、単に役職のみを記したカード名とが混在している。これはちょっと画期的だったな。そんなノリに慣れての第3セット『スカージ』でのデビューとなったので、このカード名も特に違和感がなく受け入れられたのを覚えている。

 

 さて、このエルフ。一体どういう司令官なのかというと...本人は5マナ2/2と貧弱ながら、これが戦場にいるだけであなたのコントロールする《森》はすべて1/1のエルフとなる。待ち伏せという名が示す通り、この司令官が戦場に出て指揮を執ると、森に潜みしエルフ達がその姿を現す、ということだろう。所見の時は森がエルフになる、ってなんかミュータント感があってヤバいなと思っていたが、最近になって「Duel Deck Elves vs Goblins」に再録された際に与えられた新規イラストの大きいものを見て、先ほど述べたようなフレイバーだったんだなと気付いた。待ち伏せということは、エルフ達は《森》がセットされたその瞬間から息を殺してそこに潜んでいたんだなと考えると、以前よりもこのカードのことが好きになってきた。《森》が全てエルフになることで打点は底上げされ、《幸運を祈る者》《森林守りのエルフ》といったエルフの頭数を要求するカードはその威力を格段に増す。そしてこの司令官の能力はそれにとどまらず、エルフを生け贄に捧げることで対象のクリーチャー1体に+3/+3修正を与えることが出来る。なんとも残酷な指令だが、これも勝利のためだ。生け贄にするタマなら山ほど、いや森ほどあるぜ。エルフ1体の攻撃が通れば、そこにオールインで一撃死を演出することも可能だろう。

 

 良いことばかり書いたが、この能力がいつでもプラスに働くかというと、そうでもない。むしろ、派手さの代償としての脆さがかなり目立つ。《紅蓮地獄》《神の怒り》でエルフもろとも土地が一掃されるし、この頃のスタンダードには《仕組まれた疫病》があった。《ゴブリンの名手》1体に土地を根こそぎもっていかれるというのもキツい。セットしたばかりの《森》が召喚酔いで使えないというデメリットも厳しいものがある。このカードと対をなす形で作られた同じ司令官カード《包囲攻撃の司令官》は3体という数字の制限があるが、より安全に運用できるトークンを生み出す。こちらの安定感は凄まじく、スタンダード環境にある時は天下を取る名カードとして時代を問わず活躍。もし《待ち伏せ司令官》もトークンを生み出すタイプの司令官だったら...かなり使えるカードになっていた可能性はある。こればっかりは何を言ってもしゃーない。あるいは、森がエルフになることでえげつない恩恵を与えてくれるカードが現れるかもしれない。その時まで、息を殺して待ち伏せするのだ。


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