BIGs 人見将亮「みっくすはグリクシスコントロールについてかく語りき」
タグ:BIGs, みっくすはかく語りき, グリクシスコントロール, モダン, 人見将亮, 読み物※2017年01月10日に新禁止カードとして《ゴルガリの墓トロール》《ギタクシア派の調査》が遠くへと旅立ってしまいました。
「発掘」「感染」「SCZ」などのこれらを使用するオールインデッキは大幅なパワーダウンを余儀なくされ、今後その姿を見る事は今よりは稀な事になるかと思いますが、それでもなお生き残ってくる可能性もあるため各段落の当該項目は削除せずに掲載しています。ご了承いただいた上でお読みいただけると幸いです。
新年、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします!ということで、僕です!みっくすです。
実は今現在はまだ2016年12月27日。実家へ向かう新幹線内でこれを書いており、先ほどの挨拶にとても違和感があります。
ここで窓の外に見える田園風景とかそういうところから渋い導入のひとつでも書ければキマるんですが、あいにく文才はどこへ行っても在庫切れでしてね・・・。
さて、今回紹介するのは11月にMOPTQを突破したことでも知られる「グリクシス・コントロール」です。
※年末に開催されたMOPTQでも同じプレイヤーが「グリクシス・コントロール」でまた突破したことで「勝てるデッキ」としてより強く認知されるようになりました(編:リュウジに勝利した相手ですね)。
「グリクシス・コントロール」自体は昔からモダンに存在していましたが、《ゲトの裏切り者、カリタス》や《ヴリンの神童、ジェイス》が入っているなどとリストが固まっていませんでした。今回紹介するリストの原型はGPダラス2016で準優勝したCorey Burkhartさんが使用したものです。
百聞は一見に如かずという諺にもある通り、次の画像で雰囲気だけでもサラッと掴んでもらった後に概要をご覧ください。
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
【グリクシス・コントロールとは】
・カードを引き増して除去と打ち消しで相手の妨害をし続けることを目指したコントロールデッキ
・相手のライフをいち早く0にすることよりも、ゲームを続けることを諦めさせることに力を注いでいる
・相手のアクションに対して少ないマナで有効打をプレイし、勝ち筋を消していくことが理想のゲーム展開
・「アブザン」「ジャンド」よりも《祖先の幻視》《黄金牙、タシグル》《瞬唱の魔道士》がある分、より一層後半戦に強いが、手札破壊が無く最序盤は除去と打ち消しで耐え忍ぶのみ
過去数回の記事に渡って「モダンは超高速環境でオールインタイプのクリーチャーコンボが主流」と語ってきましたが、2016年12月現在においては《タルモゴイフ》を処理できないそれらのデッキを狙い撃ちにした「ジャンド」や「アブザン」が勢力を伸ばしており、五分以上の戦いが可能な「グリクシス・コントロール」は《タルモゴイフ》と相手がプレイする除去で蓋をされない為、メタゲームに合致している、という立ち位置のデッキです。
また、青赤黒という色はモダンの「バーン」に対して、専用のサイドカードを用意しても不利な戦いを強いられていましたが、黒いデッキが軒並み《集団的蛮行》を採用していることもあり、「バーン」の絶対数が減り、かつ自身もそれを使うことで相性が改善されたのも追い風と言えるでしょう。
【キープorマリガン】
相手のデッキが判別できていないメインボード戦で、「グリクシス・コントロール」のマリガン基準は非常に緩いものとなりますが、以下のような手札はマリガンを推奨。
・3枚以上の《思考掃き》や《祖先の幻視》の組み合わせと土地のみ
・複数枚の《謎めいた命令》《黄金牙、タシグル》の組み合わせと土地
つまり、ドロースペルをプレイすることばかりにターンを費やしてしまう場合や、3ターン目までにこれ以上1枚も土地ドローを許容できないな。
と感じる手札はマリガンしましょう。特に後手番でドロースペルばかりプレイしていると「手札を整えました、負けました」になりかねません。
「グリクシス・コントロール」は各役割のカードがバランスよく投入されているので上記のような手札は稀で、そこが魅力でもあります。
【グリクシス・コントロールの有利不利】
『有利』
感染
SCZ
親和
グリクシスデルバー
エルフ
SucideBloo(青赤果敢《ティムールの激闘》)
赤白プリズン
白黒エルドラージタックス
『不利』
バーン
ウルザトロン
タイタンシフト
発掘
アドグレイス
バントスピリット
ナイトフォール
バントエルドラージ(サイドに《安らかなる眠り》3《世界を壊すもの》1《頑固な否認》3以上採用の場合)
マーフォーク(《海の要求》がメインから4枚採用されているタイプ)
「ジャンド」「アブザン」にはお互いの構成次第で微不利~微有利とまちまちですが、テンプレ構成対決であれば《祖先の幻視》《瞬唱の魔道士》で少しグリクシス側に分があります。
最近Magic Online上で出現した新種のデッキに「《死の影》ジャンド」があります。このデッキとはマッチアップ回数が少なく検証できていませんが、手札破壊がフル投入されており《稲妻》は効果がなく、《終止》を落とされてしまうグリクシス側が微不利だと思われます。
「グリクシス・コントロール」は除去コントロールにもかかわらず《祖先の幻視》から除去と《瞬唱の魔道士》や、1ターン目フェッチランドから《思考掃き》、2ターン目に《黄金牙、タシグル》などのブン回りもあり柔軟性も高いので、最序盤の相手の動きを見て受け攻めのゲームプランを瞬時に判断できるようになれば非常に頼もしいデッキになるでしょう。
【グリクシスコントロールのセオリーと小技】
・ライフをケチって1ターン目に《島》からスタートすると《終止》はプレイできない(不慣れなうちは絶対やります)
・《血清の幻視》で2枚ほしいカードを上にしたのにフェッチを切る(これも絶対やります)
・相手がマリガン後の占術や《血清の幻視》で上にカードを積んでいる場合《思考掃き》は相手を対象にプレイしても良い
・《謎めいた命令》をドロー+バウンスやオールタップ+バウンスでプレイする場合にバウンス先の対象がスタックで破壊、生け贄などで戦場を離れた場合、そのモードでは対象が1つで不適切となり《謎めいた命令》は打ち消されてしまう
・序盤で悩んだら構える方を選ぶのが無難
・相手の《呪文滑り》は《コラガンの命令》の2点とアーティファクト破壊を4ライフですべて吸い寄せてしまう
・《黄金牙、タシグル》をプレイする時の墓地はできる限りほしいカード1~2種類と土地になるように探査する
・《思考掃き》を相手にプレイして《外科的摘出》
【採用を見送ったカード達】
今回紹介している75枚の中には入っていませんが、想定するメタゲーム次第では採用および増量を検討するべきカードを、少数ですがパパッと紹介しておきます。
・《四肢切断》
「バントエルドラージ」「感染」が多い場合に《仕組まれた爆薬》《マナ漏出》の枠をこれに。
2回プレイする余裕はないので、1枚に留めておくのが無難。
・《対抗突風》と《否認》
「ウルザトロン」「タイタンシフト」「アドグレイス」などのコンボデッキへの対策として《呪文嵌め》《仕組まれた爆薬》の枠。
相手の潤滑油部分は無視して《風景の変容》《解放された者、カーン》《むかつき》などを対象に。
「親和」「感染」「ジャンド」「アブザン」により強くしたい場合に《謎めいた命令》や《マナ漏出》の枠に。
「親和」と「感染」には飛行機械トークンがブロッカー兼除去になり、「ジャンド」や「アブザン」には単体除去1枚でクリアできないカードとして。
・《血染めの月》
「ウルザトロン」になんとしても抵抗したい場合やサイドに《外科的摘出》+《大爆発の魔道士》セットを採用する枚数の余裕がない場合に。
【主要デッキへのサイドボーディング】
「バーン」
in:2《集団的蛮行》、2《払拭》
out:4《祖先の幻視》
相手はこちらが序盤のクリーチャー処理に手間取っている間に2マナの火力を積極的に撃ち込んできます。
「バーン」視点では最後のとどめに《溶岩の撃ち込み》をとっておいて《払拭》と《呪文嵌め》に引っかからないように立ち回ってくるので、逆にこちらはそれらを温存せず、
すぐにプレイしていきましょう。
今回紹介したリストでは相性は「ぼちぼち」程度にしか改善されていませんが、それでも《瞬唱の魔道士》での使いまわしがありますし、どうしても「バーン」に勝ちたい場合は《集団的蛮行》を4枚にすれば簡単に勝てます。
《神々の憤怒》はクリーチャーを並べてくるこの相手に有効と思いがちですが、序盤から単体除去でつぶしていくため大きなカードアドバンテージが見込めないのでサイドインしません。
この手のカードは序盤の攻撃をスルーしてライフが減っても一度盤面をクリアすれば必ず盛り返せる相手、もしくはこちらが大きくライフを回復する手段がある場合にのみ投入します。また、相手は《焼尽の猛火》《二股の稲妻》辺りを優先的にサイドアウトしてくるでしょう。
予想される相手のサイドカード:《流刑への道》《コーの火歩き》《安らかなる眠り》
「アドグレイス」
in:3《外科的摘出》、2《払拭》、1《仕組まれた爆薬》、1《集団的蛮行》
out:4《稲妻》、3《終止》
《仕組まれた爆薬》はX=0で《睡蓮の花》を破壊することが主な役割で、《外科的摘出》は《思考掃き》を相手にプレイして《むかつき》を落とせればイージーウィンです。
占術土地や《血清の幻視》で上に積んだカードを落とし、《五元のプリズム》を《コラガンの命令》で破壊するのが理想的な動きとなります。
予想される相手のサイドカード:《神聖の力線》《思考囲い》《すべてを護るもの、母聖樹》
「親和」
in:1《滅び》、2《神々の憤怒》、1《イゼットの静電術師》、1《仕組まれた爆薬》
out:4《祖先の幻視》、1《黄金牙、タシグル》
かなり有利なマッチアップで、対処すべきカード自体は多いものの、最速で着地する《刻まれた勇者》だけが厳しい要素です。
「親和」視点で考えると全体除去と単体除去が豊富に入った所謂除去コンに対し分が悪いので、最低限のサイドインのみを行い、オールインしてくる可能性が一番高いです。
具体的には《羽ばたき飛行機械》《大霊堂のスカージ》を仕組まれた爆薬のマナコストずらし兼複数枚引きたくないカードとしてアウトし《信号の邪魔者》&細かい生物+《鋼の監視者》or《電結の荒廃者》で後者のパワーカードに除去を撃たせている間にライフを詰めようとしてくるでしょう。一つの目安として《感電破》1枚のトップデッキで負けないライフ5までは差し出して良いと考えてよりゲームが長引くよう、強いカード順に対処しましょう。
予想される相手のサイドカード:《呪文貫き》《頑固な否認》《四肢切断》《大祖始の遺産》《思考囲い》
「ジャンド」
in:1《滅び》、(《仕組まれた爆薬》を追加する場合は1《思考掃き》をアウト)
out:《黄金牙、タシグル》1
非常に有利とまでは言わないものの、記事冒頭でも書いた通り長期戦にはグリクシス側が微有利です。
《黄金牙、タシグル》の最速召喚はこのデッキの長所ですが、BG系との対戦はまず《闇の腹心》を除去する事、次に《ヴェールのリリアナ》でアドバンテージを取られない事が肝要です。
「ジャンド」目線で考えると《黄金牙、タシグル》は邪魔なので《終止》は残っているでしょうし、自分から《黄金牙、タシグル》を一生懸命だして隙をつかれるのも美味しくありません。
《謎めいた命令》と《瞬唱の魔道士》で少しずつカード枚数差をつけていけば自然と勝ちます。
予想される相手のサイドカード:《大爆発の魔道士》《虚空の力線》《台所の嫌がらせ屋》《反逆の先導者、チャンドラ》《虚無の呪文爆弾》
「バントエルドラージ」
in:1《滅び》、3《大爆発の魔道士》
out:2《呪文嵌め》、1《仕組まれた爆薬》、1《思考掃き》
あまり嬉しくないマッチアップ。
BG系と違いゲームの展開が早く、相手の攻撃を捌ききった後、こちらも速やかに相手のライフを削りにいく必要があります。
《難題の予見者》に手こずることが多く、それらを処理した後に《現実を砕くもの》が走って来るため《終止》の枚数が足りません。
《黄金牙、タシグル》と《謎めいた命令》ですれ違いながらライフを削りきるのが理想です。後手の場合では《大爆発の魔道士》では間に合わない場合があります。特に《作り変えるもの》が採用されている相手の場合は、《神々の憤怒》を優先してください。
予想される相手のサイドカード:《安らかなる眠り》《頑固な否認》《スラーグ牙》《太陽の勇者、エルズペス》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
「ウルザトロン」
in:3《大爆発の魔道士》、3《外科的摘出》
out:3《終止》、1《仕組まれた爆薬》、2《稲妻》
かなり厳しいマッチアップ。
《稲妻》と《瞬唱の魔道士》で速やかに勝ちに行きたいところですが、現実はそう甘くなくほとんど頓挫するので
《大爆発の魔道士》を《コラガンの命令》で回収するか《大爆発の魔道士》or《思考掃き》+《外科的摘出》でトロンランドを久遠の闇に葬るしかありません。
ものすごく地味ですが、祈るようにドローしようとする《祖先の幻視》を《歪める嘆き》でカウンターされてしまいそこまでせんでも・・・となることも。
予想される相手のサイドカード:《歪める嘆き》《スラーグ牙》《大祖始の遺産》
「アブザン」
in:1《イゼットの静電術師》、1《滅び》、1《仕組まれた爆薬》
out:1《黄金牙、タシグル》、2《思考掃き》
「ジャンド」と注意点は似ていますが、「アブザン」は《未練ある魂》を4枚採用しており単体除去でコントロールするグリクシスからすると面倒です。
また《包囲サイ》《先頭に立つもの、アナフェンザ》も《稲妻》で落とせず対処を迫られるカードとなります。
《イゼットの静電術師》のサイドインは賛否両論ありますが、《未練ある魂》のほかに《貴族の教主》を採用している場合も多く、僕はおすすめしたいカードの1つです。
予想される相手のサイドカード:《太陽の勇者、エルズペス》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《大爆発の魔道士》《最後の望み、リリアナ》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》《虚無の呪文爆弾》
「発掘」
in:3《外科的摘出》、1《滅び》、2《神々の憤怒》、1《イゼットの静電術師》
out:3《終止》、1《仕組まれた爆薬》、3《コラガンの命令》
《外科的摘出》は《秘蔵の縫合体》か《恐血鬼》にプレイし、発掘カードに使用することは稀です。
《神々の憤怒》を手札に持っている場合は《燃焼》にプレイすることも検討しますが概ね墓地から戻ってくるクリーチャーを対象とします。
《イゼットの静電術師》は《ナルコメーバ》と《恐血鬼》をシャットアウトする便利カード。《コラガンの命令》は《瞬唱の魔道士》を回収するモードは
火力プランと組み合わせることが出来ますが、キープ基準にもならず暇なときに2点とディスカードでプレイすることも危険すぎるのでサイドアウト。
※《ゴルガリの墓トロール》が禁止になり、《終止》を残す意味がないのですべてサイドアウトする形になりました。
予想される相手のサイドカード:《虚空の力線》《自然の要求》《ボジューカの沼》《集団的蛮行》
「感染」
in:2《払拭》、1《イゼットの静電術師》(仕組まれた爆薬を追加したい場合は4《祖先の幻視》をアウト)
out:3《祖先の幻視》
比較的有利なマッチアップ。相手のエンドに除去をプレイしていく殲滅戦になります。
とにかく負けないことを優先するので不用意に土地をメインでフルタップせず《瞬唱の魔道士》や《コラガンの命令》が活かせるようにロングゲームを目指しましょう。
《台所の嫌がらせ屋》をサイドインされた場合は《神々の憤怒》も追加します。
予想される相手のサイドカード:《呪文貫き》《払拭》《四肢切断》《台所の嫌がらせ屋》《ドライアドの東屋》《野生の抵抗》
【終わりに】
「グリクシス・コントール」回、相変わらず長くなっちゃいましたが最後まで読んでくれてありがとうございました。
今回の記事が本当にもう完成間近のところで禁止カードの発表や《致命的な一押し》の登場などで、いっそ別のデッキを紹介するかなぁ・・・とも思ったのですが、「グリクシス・コントロール」そのものが禁止を受けて弱体化したわけでもないので、ここは強気に行きました。
禁止カードは嬉しいことではありませんが、《ギタクシア派の調査》は「SCZ」「青赤果敢」「感染」「グリクシス・デルバー」「死の影ジャンド」の5つの違ったデッキに投入されており、これは仕方ないと思います。
《ゴルガリの墓トロール》は・・・うん、またいつか会おうな。
それとこれは本当に誰得情報ですけど、前回の「かく語りき」から一月ほど空きまして、あれから僕はMOリーグの調子が悪くちょっとスランプでした。
ところが二日ほど前から気分転換でプレイしている「無色エルドラージトロン」が上手いことハマり「今回、これちゃうか?」と、ちょっと書いたところで前回が「ウルザトロン」だったということを思い出してお蔵入りになってしまいました。結構数もプレイしたし、世間で思われているより結構強いデッキなのでそのうち紹介するかもしれません。
次回は2月の後半にオーストラリアで開催されるGPブリスベンで、実際に僕が使用したデッキを特集したいなと思っています。
今のところデッキは決まっておらず、現実逃避に《霊気の薬瓶》をタップしている最中です。そもそもボロ負けしたらどうすんの?とか、語りき(笑)になるかもしれませんがその時はその時で。
それじゃ、ばいばいっ!!