【GP静岡2017春】ラストチャンストライアル・第20卓:赤井 聡(埼玉県) vs 吉岡 響紀(東京都)

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【GP静岡2017春】ラストチャンストライアル・第20卓:赤井 聡(埼玉県) vs 吉岡 響紀(東京都)

by Kazuki Watanabe

 金曜日に開催されるサイドイベントの目玉が、ラストチャンストライアルだ。

 32名ごとのフライト制、5回戦のシングルエリミネーション。勝ち抜けたものは、明日の2Byeを獲得できる。敗れて不戦勝を得られなかったとしても、明日からの戦いに備える"調整の場"でもあるため、朝10時の開始と同時に大勢のプレイヤーが参加した。

 ここでお届けするのは、20番テーブルの決勝卓。対戦するのは、「4Cサヒーリ」の赤井 聡(埼玉県)と、「マルドゥバリスタ」の吉岡 響紀(東京都)だ。

 両者、先ほどの4回戦では隣同士だったため、お互いのデッキは判明している。赤井が悩んだ末にマリガンを選択したのも、相手のデッキがわかっているからこそ、であろう。

Game 1

 吉岡の動き出しは《燻る湿地》、続いて《歩行バリスタ》。赤井が《霊気との調和》からスタートし、《導路の召使い》と続けると、吉岡はそれを《チャンドラの誓い》で除去。続く《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》は、2枚目の《チャンドラの誓い》で、さらに赤井が唱えた《サヒーリ・ライ》も《苦渋の破棄》で除去し、ペースを握っていく。

 しかし、《つむじ風の巨匠》が遺した飛行機械トークン2体、《苦渋の破棄》によるダメージ、さらに赤井の《反逆の先導者、チャンドラ》がライブラリートップを追放したことで、いつの間にかライフは10まで減少している。相手が一撃でゲームを決めるコンボデッキとは言え、これ以上の猶予は許されない。

 《乱脈な気孔》と《歩行バリスタ》で《反逆の先導者、チャンドラ》に攻撃を与えて、残り忠誠度は3。

 相手に除去はされ続けるものの、落ち着いてゲームを勧めていく赤井。まずは《ニッサの誓い》。

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吉岡 響紀

吉岡「強いなぁ......」

 と思わずつぶやくが、その言葉を忘れさせるかのように、赤井が力強く動き出す。唱えた《守護フェリダー》で《ニッサの誓い》をブリンク。公開されたのは、《サヒーリ・ライ》!

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 《守護フェリダー》と《サヒーリ・ライ》の片方が戦場に、片方が手札にある、ということは、敗北目前の合図である。

 どうにかしてコンボ成立を止めねばならない状況に追い込まれた吉岡は、《守護フェリダー》に《無許可の分解》。あとは《歩行バリスタ》さえ残っていれば......と言いたいところなのだが、ここに《蓄霊稲妻》が刺さる。《サヒーリ・ライ》に飛ばしたかった火力は、飛行機械トークンに飛ばされることになった。

 目前にあった敗北が、赤井の手元に叩きつけられた瞬間である。赤井は手札から2枚目の《守護フェリダー》を唱え、《サヒーリ・ライ》が戦場に。吉岡は「はい」と深く、悔しそうに頷きながら、次のゲームの準備を始める。

赤井 1-0 吉岡

Game 2

 吉岡はマリガン。赤井はキープを宣言してから、深くため息をつく。

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 吉岡の初動は、《領事の権限》。サヒーリ・コンボを止める1枚である。赤井は小さく頷いてから、《霊気との調和》を唱える。

 《導路の召使い/Servant of the Conduit》には《致命的な一押し/Fatal Push》が、続く《不屈の追跡者/Tireless Tracker》には《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》と一つ一つ除去されていくが、それでも赤井はまったく慌てることなく《ニッサの誓い》で《尖塔断の運河》を手札に加える。

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 そして赤井が手札から唱えたのは、《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》! 吉岡は乗り出し、一切の除去を弾く"呪禁"の文字を見つめた。さらに《導路の召使い/Servant of the Conduit》も戦場に。ライフは24まで伸びているが、マナはすべて除去に費やしているため、盤面にクリーチャーを残せていない。ここでは、《逆毛ハイドラ》の攻撃に合わせて《大天使アヴァシン》を降臨させる。

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赤井 聡

赤井「そっちか......では、2個カウンターを乗せます」

 と《逆毛ハイドラ》成長させ、エネルギーは残り3。

 マルドゥ機体にとって、《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》は想像以上に厄介な存在だ。エネルギーさえあれば際限なく成長し、都度付与される呪禁によって、大抵の除去呪文を無駄にさせる。そして、4Cサヒーリは、自然とエネルギーが貯蓄される構造をしているため、手がつけられなくなってしまう。

 少しでも状況を好転させたい吉岡は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を唱える。しかし、これが先ほどの赤井の「そっちじゃないほう」だったようで、しっかりと《否認》で打ち消された。

 《領事の権限》によるライフゲインを意に介することなく、赤井はクリーチャーを増員。《つむじ風の巨匠》を唱えてエネルギーを確保。これは《無許可の分解》に除去されてしまうが、アーティファクトがないため、ライフルーズはなし。さらに、豊富なエネルギーを注ぎ込んで《蓄霊稲妻》で《大天使アヴァシン》を除去してしまう。

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 そして、《反逆の先導者、チャンドラ》が戦場へと躍り出る。

 吉岡は《リリアナの誓い》。《逆毛ハイドラ》に対応できる唯一の手段なのだが、生け贄になったのは《導路の召使い》。

 カウンターが乗りながら、さらに呪禁の可能性も残す《逆毛ハイドラ》。さらに《反逆の先導者、チャンドラ》がめくった、《ならず者の精製屋》も盤面に降り立つ。対する吉岡の盤面には、彼らを遮ることができる存在が一切ない。

 祈るようにめくったデッキトップは《感動的な眺望所》。吉岡は「負けました」と告げてから、勝者を讃えた。

赤井 2-0 吉岡

 通常のトーナメントであればここですべてが終了するのだが、両者は明日ともにトーナメントを戦う仲間である。二人で感想戦を始め、明日の勝利を掴むために情報を共有する。

 赤井はこう語った。

赤井「サイド後は、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》をすべて抜いていたんですよ」

 2ゲーム目、盤面に一切現れなかった2枚。それを聞いて、吉岡は肩を落とした。

吉岡「そうかあ......じゃあ、《領事の権限》はほぼマリガンのようなものだったか」

 ライフゲインによるアドバンテージはあるが「サヒーリ・コンボを止める」という役割は果たせなかったようだ。

 とは言え、落ち込むことではない。敗れた吉岡は、この一戦とここに至るまでの経験を、明日のトーナメントで活かして戦うことができる。だからこそ、吉岡は席を立つ際に、

吉岡「ありがとうございました」

 と爽やかな声で感謝の気持ちを伝えたのだろう。

 不戦勝を獲得した赤井の、そして貴重な経験を得た吉岡の活躍を祈る。

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