【BIG MAGIC Open Vol.9】 BMOスダンダード Round6 竹内 亮太(静岡) vs 田中 瞬(静岡)

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【BIG MAGIC Open Vol.9】 BMOスダンダード Round6 竹内 亮太(静岡) vs 田中 瞬(静岡)

text by Seigo Nishikawa



全9回戦の前半を、5勝0敗で折り返し目下絶好調の二人をお呼びしよう。ここで顔を合わせたのは共に静岡からやってきた二人。実は竹内と田中、顔見知りの二人であり、PPTQの会場などではこれまでも幾度となく組み合ってきたとのこと。フィーチャーテーブルの席に着くときも、これからの展開を前に会話が弾み、実に楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

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そんな二人の、相手を知っているが故の笑いと苦しみを感じる一戦をお送りしたい。



Game1

田中が《秘密の中庭》、竹内が《進化する未開地》と土地をセットすると、どちらとも無く「いつもどおり」と笑う。ならばと田中は《山》から《キランの真意号》マルドゥ機体であることを包み隠さない。竹内は《進化する未開地》を《沼》へと変えると、《花盛りの湿地》から《歩行バリスタ》という初動。

田中はそれをみて《異端聖戦士、サリア》で応じると、竹内は《ピーマの改革派、リシュカー》で、《歩行バリスタ》の+1/+1カウンターを二つとし、即座に《異端聖戦士、サリア》を打ち倒す。



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田中瞬



「難しいなぁ」と呟きながら黙考する田中。考えをまとめると、《ピア・ナラー》をキャスト、彼女が生成した飛行機械と一緒に《キランの真意号》に乗り込ませ、攻撃。まずは一太刀を竹内に浴びせる。竹内《進化する未開地》をセットしてターンを終えるのみ。

田中、カードを一枚ドローすると、それを見て「むむっ」と一言、引き込んだ《無許可の分解》をそのまま《ピーマの改革派、リシュカー》に打ち込み、今度は《ピア・ナラー》と飛行機械で攻撃をしかける。《ピア・ナラー》こそは、竹内に《闇の掌握》されるが、機体に乗せず確実に1点をもぎ取る冷静なプレイ。

竹内は、《進化する未開地》を再び《沼》へと変えると、新たに加わったカードを一瞥するや「むむむっ」と言いながら《森》をセット。果たして二人は「む」の数で争っているのだろうか。

田中「あれ? 普通のBGっぽい。いつもと違う? まさか一色引けてないだけ?」

竹内はこの問い掛けには言葉ではなく《精神壊しの悪魔》をキャストするという形で応えると、この悪魔がライブラリーから墓地に《無許可の分解》を送りこむ。

竹内「やべっばれた」
田中「知ってた」

何も言わなくても竹内のデッキがジャンドカラーであるのは、自ずと明らかになる運命であったようだ。

一色が無く、満足に動けていない竹内ではあるが、それでも4/5という壁を作り上げたのは事実。田中はそれを乗り越える必要があるが、なかなか容易ではない。田中の《歩行バリスタ》X=2が乗り込んだ《キランの真意号》には竹内から《致命的な一押し》、《歩行バリスタ》自体も《刻み角》の前に沈み、加えて《巻きつき蛇》まで追加されてしまう。

場を作られてしまったかのように見えるが、だからと言って田中があきらめる道理も無い。「6?」と竹内のライフを確認した田中は、唯一残った飛行機械で攻撃。これが通るの確認すると、《精神壊しの悪魔》を《無許可の分解》、《巻きつき蛇》は《致命的な一押し》して「後2点!」。

続くターンには《スレイベンの検査官》《屑鉄場のたかり屋》と連弾し、すべての手札を使い切る。

後は竹内の手に何も無いことだけを祈りながら全軍に攻撃宣言をすると、除去を使い切っていた竹内はデッキを片付けることとなった。

竹内 0-1 田中

 



お互いのデッキはしっかりと把握できている。何をしてくるか、対して何をしなければいけないかもおおよそ言い当てることができるだろう。

竹内はこれまでの経験をもとに、一枚一枚の入れ替えを吟味する。
田中はあらかじめ用意していたメモを見返し、改めてそこに書いていることに間違いが無いかを、しっかり確認しながらサイドボードを進める。

先ほどまで丁々発止繰り広げられたやり取りが一切消える。

見知った対戦相手の場合、サイドボード中はにこやかに、試合中は静かに、と言ったケースはよく見られるが、その反対は実に印象的だ。




Game2

竹内「先攻いただきます。」
田中「ここは後攻ででもいいですよ。」
竹内「いや、(力強く)敢えて、先行もらいます。」
田中「敢えてならしかたないですね。」

先ほどまでの静かな空間はどこにいったのだろうか。そしてここからお互いのやること、やられることが全てわかっていたかのような実に淀みない攻防と会話が繰り広げられることになる。

竹内が《風切る泥沼》《花盛りの湿地》から《巻きつき蛇》、《燻る湿地》と繋ぐのに対して、田中は《感動的な眺望所》から《スレイベンの検査官》。《感動的な眺望所》を追加、ドローしたカードに「違うんだよなぁ」とこぼしながら3枚目の《感動的な眺望所》をセットする




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竹内亮太



竹内が続いて送り出した《屑鉄場のたかり屋》に対して、《致命的な一押し》で《巻きつき蛇》を破壊すると、引き入れた一枚に「これは!?」と声を上げる

それは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》。

戦場を動かしそうな一枚であったが、竹内は慌てず騒がず《致命的な一押し》で駆けつけたばかりの兵士を倒すと、《屑鉄場のたかり屋》で攻撃。少し田中は悩むも《スレイベンの検査官》をギデオンの代わりに捧げるのだが、竹内からは《餌食》が唱えられる。これでギデオンを失ってしまった田中は「《無許可の分解》とどっちがあるか迷ったんだよなぁ」と反省。

それでも続くターンには《死の権威、リリアナ》。

この強烈な第二の矢に「あかんあかん」と思わずこぼす竹内。《屑鉄場のたかり屋》をリリアナに差し向け、ゾンビの犠牲を引き出すと、再びの《餌食》をキャスト。「持ってるなぁ。」とは田中の呟き。

田中は《異端聖戦士、サリア》、竹内は《不屈の追跡者》と少しゲーム的にも会話的にも凪の時間が訪れたかと思った刹那、田中の一枚のカードが竹内の「これはまずい」という悲鳴を引きずり出す。それは《苦い真理》。そして《木端+微塵》で《不屈の追跡者》を破壊。

竹内は《致命的な一押し》で《異端聖戦士、サリア》を打ち倒し、《精神壊しの悪魔》を戦場に送り込むのだが、田中が《スレイベンの検査官》が生み出した手がかりをそのままドローに変えると、即座に《致命的な一押し》でこの悪魔も墓地へ直行する。自分で使用した手がかりが元になって生じる「紛争」行為にさしもの竹内も苦笑いを禁じえない。

竹内は続くターンも《精神壊しの悪魔》。
「《無許可の分解》《無許可の分解》!」
「《屑鉄場のたかり屋》《屑鉄場のたかり屋》!」
田中の望む《無許可の分解》も竹内の望む《屑鉄場のたかり屋》も残念ながら墓地には落ちない。


それを見ると田中、自ターンのドローで「おおおおお」と声を上げる。竹内からは「えええ」と悲しみの声が漏れる。
田中を感動させ、竹内を意気消沈させたそのカードは



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やはり悪魔はリリアナには敵わないのか、更に加えて《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》まで田中からキャストされ、兵士に加えゾンビまでが戦場に参戦することに。

「引きは悪くないんだけどなぁ」そう言いながら竹内が唱えるのは《残忍な剥ぎ取り》。確かに竹内の対応は完璧であったし、デッキもそれに応じて竹内の望むものをもたらしてきたと言っていいだろう。だが

「えいっ」と田中は《致命的な一押し》
「持ってるー。出したクリーチャー全部死ぬ~、どれか一つでも生き残れば~」

田中の勢いは、そんな竹内の引きを上回り、そして竹内の思いを飲み込んだ。

竹内 0-2 田中

 



田中「《餌食》のところ《無許可の分解》と迷ったんだよね」
竹内「《無許可の分解》もってたら多分、最初に検査官にうってたかな」
田中「あーなるほど。そこで持ってないって判断できたかな」

竹内「サイドってアーティファクト抜きます? 《刻み角》残すべきなのかいつも悩む。人によって違うから」
田中「《刻み角》入れられる前提で動くから基本的な枚数は減らしますね」
竹内「まだまだ練習が足りないなぁ」

試合後は、感想戦、サイドのインアウトでまた再び会話が盛り上がる。今日のこの試合もまた二人にとっていい思い出になるのであろうか。大きな大会で顔を合わせ、切磋琢磨していける関係、そんな二人が実に羨ましい。

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