再録ウィークのラストを飾るのは黒の万能サーチ呪文、《魔性の教示者》だ。万能サーチという言葉に偽りはなく、デッキ内のカードであれば文字通り何でも持ってくることが出来る。サーチカードには制約がつきものだが、ここまで自由でありながらデメリットが何も付加されていないカードというのも珍しい。かといって強すぎるカードでもなく、4マナダブルシンボルというコストは絶妙なバランスなのだろう。
リメイク元である《Demonic Tutor》のコストを倍にしてみたらどんな環境でも再録できるほど良い1枚となった、というのは面白い(つまりはDemonic先輩はどんな環境でもダメってことだ)。
そんなにあらゆる環境にあるか?と思われるかもしれないが、実は『オデッセイ』で登場した後に9つものセットにて再録されている大ベテランだ。とはいってもそのほとんどが基本セットなので、それも手伝って印象がやや薄いのかもしれない。
なんでもサーチできるノーリスクのカードということで、登場当初はかなり注目されていたが、そのフルパワーを発揮したのは『トーメント』発売後。"黒で戦え"をキャッチコピーに黒いカードをとにかく強化した同セットには、《沼》の枚数分黒マナを生み出す《陰謀団の貴重品室》があり、これでもって大量のマナを生み出せるので教示者に払う4マナなんてタダみたいなもの。
黒いコントロールデッキで《もぎとり》を探しにいったりフィニッシャーにアクセスしたりと大活躍。まあ構築的なピークはこの頃で、以降はどちらかというとリミテッド・初心者向けカードとしての役目を基本セットで果たしてきていた。
『第10版』再録時に新しいイラストを得る。髑髏に囁かれ目を見開く怪しげな男の姿が印象的だ。このイラストは以後基本セットの定番となるのだが、公式サプライよりスリーブが作られたり、ホリデーギフトカード《Naughty+Nice》の元ネタとなったりとかなり人気が高いようだ。
このスリーブを使っているプレイヤーは相当にコアな黒好きと見て良いんじゃないだろうか。このイラストが《魔性の教示者》というカードの顔になっていることは、最新バージョンのそれ自身からもうかがい知ることが出来る。
『カラデシュ』に再録されたものはイラストがチャンドラとリリアナという2大人気キャラクターとなっているが、このカードの構図は先述の男に囁く髑髏のものと小穴字でパロディになっているのだ。
そうそう、イラストという話であればこのエピソードは外せない。『オデッセイ』に収録された初代《魔性の教示者》は蛇と魔術書と祭壇が描かれ何かの儀式にワンシーンに見えるが、実はこれはこの最初にこのカードのために用意されたイラストではない。担当アーティストから送られてきたこのカードのために描かれたイラストには、歯を剥いて不気味な笑みを見せる血色の悪いドレッドヘアの魔術師が描かれていた。
このイラストのインパクトは絶大であり、開発スタッフは《魔性の教示者》ではなくもっとこのイラストにふさわしいキャラクターをカードとして生み出したいと考えた。そうしてイラストを元に作られたのが《陰謀団の先手ブレイズ》である。昔のカードはイラストに関するエピソードが多数あって、話のタネに尽きないね!
今週は「再録カード」特集
岩SHOW Card of the Day 2018/03/01《軍団の征服者/Legion Conquistador》
岩SHOW Card of the Day 2018/02/28《ネシアンの狩猟者/Nessian Courser》
岩SHOW Card of the Day 2018/02/27《青霊破》《赤霊破》(『マスターズ25thプレビュー』)
岩SHOW Card of the Day 2018/02/26《竜使いののけ者/Dragonmaster Outcast》