マジックにおいて、手札はプレイヤー=プレインズウォーカーの脳内・精神を表しているようである。青は知識を得て手札を増やし、黒は精神を崩壊させて手札を奪う。大体手札を扱うのはこの2色の役目なのだが、時折赤が出しゃばってくるものだ。
赤は自ら狂う、という形で手札を放棄したり入れ替えたりするのが得意だ。かなり危険なことを言っているようだが、自らの血をたぎらせ半狂乱の状態に陥って、ハイリスクハイリターンを狙う呪文や能力が多い色だ。そんな赤には、自らでなく対戦相手の手札=記憶を利用して何かをするカードもちょくちょく出てくる。今日の1枚はそんなカードの中でも優秀な方である《記憶の点火》だ。
このカードは対戦相手の手札から1枚ランダムに公開し、そのマナコストに等しい点数のダメージを与える本体火力だ。なんともギャンブル要素が高く、土地が捲れれば0点・そもそも相手が手札を持っていなくても0点と安定感には欠ける。対戦相手が重いカードを用いるデッキであれば、大ダメージが見込めることもあるかもしれない。
ただこれだけの効果のカードであれば5マナというコストは重すぎるだろというところだが、このカードにはストーム能力がついている。だから1回外したくらいでは凹まなくてもOKだ。これを唱える前に呪文を2,3回唱えておけばストームにより生み出されたコピーによって合計二桁ダメージを狙えるかもしれない。まあ、あくまで「かもしれない」カードではあるんだけども、何度もランダムに相手の手札を公開するやりとりをするのは結構ドキドキして楽しいものだ。
こんなランダム性の塊のようなカードではあるが、構築で使われたこともある。『時のらせん』時代に一世を風靡した「ドラゴンストーム」デッキ。
マナ加速から重い《ドラゴンの嵐》へと繋げて勝利するデッキだが、このデッキのミラーマッチ用のサイドカードとしてはなかなかに優秀だった。相手のデッキには《ドラゴンの嵐》《ボガーダンのヘルカイト》と重いカードが複数枚入っていることが確定しており、ダメージの期待値が高く《ドラゴンの嵐》よりも断然早く仕掛けられるという点はなかなか優秀。普通のストームデッキでフィニッシャーに用いるには、ちょっとランダムすぎるんだけどもね。ニッチな居場所を見つけた1枚だった。
個人的な思い出なのだが、友人らと集まって適当なパックでカオスドラフトをやった時のこと。相手のライフは残り5で、手札が2枚。僕は1,2マナのカードを計2枚プレイしてからこの《記憶の点火》を叩きつけた!対戦相手は「さあギャンブルの時間やなぁ~!?」そこには土地と4マナのカードがあり、僕の盤面で唯一殴りに行けるパワー2の飛行と合わせれば、3回中1階でも4マナのカードを捲れば勝ちなのだ。...どうなったかって?このイラストのように燃え尽きた顔をしていたよ...僕がね。
今週は「記憶ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/04/12《祀られる記憶/Enshrined Memories》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/11《痛ましい記憶/Painful Memories》&《苦悶の記憶/Agonizing Memories》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/10《暗記+記憶/Commit+Memory》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/09《倒れし者の記憶/Remember the Fallen》