【BIG MAGIC Sunday Modern】デッキテク~櫻井 祐太の「ナヤ・エボリューション」~

By Yohei Tomizawa



 マジックの新セットが発売になると、スタンダードには多大な影響を及ぼす。3~5ブロックと使用できるものが少ないため、各カードの使用頻度は自然と上がる。


 では、モダン以前のブロック数が多い構築戦では、活躍は見込めないのだろうか。


 そんなことはない。これまで強固な基盤を持つデッキたちも自身を強化する友を、苦手デッキを克服する新戦力を、新たなデッキの想像力を求めている。実際モダンで開催された『プロツアーイクサランの相克』で活躍した行弘 賢の「ホロウワン」は、「アモンケット」ブロックの影響を色濃く反映したものだった。


 ならば「ドミナリア」からも新戦力を取り入れたデッキがあるはずだ。会場を見渡して、目についたのは、このデッキだ!




「ナヤ・エボリューション」


土地
4《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《乾燥台地/Arid Mesa》
2《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》
1《寺院の庭/Temple Garden》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
1《地平線の梢/Horizon Canopy》
4《森/Forest》
2《平地/Plains》


クリーチャー
4《極楽鳥/Birds of Paradise》
4《献身のドルイド/Devoted Druid》
4《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
3《貴族の教主/Noble Hierarch》
3《復活の声/Voice of Resurgence》
3《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》
1《療治の侍臣/Vizier of Remedies》
1《無私の霊魂/Selfless Spirit》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
1《改革派の結集者/Renegade Rallier》
1《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
1《月の大魔術師/Magus of the Moon》
1《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
1《賞罰の天使/Angel of Sanctions》
1《鷺群れのシガルダ/Sigarda, Host of Herons》


スペル
4《異界の進化/Eldritch Evolution》
3《召喚の調べ/Chord of Calling》


サイドボード
3《焦熱の裁き/Fiery Justice》
2《石のような静寂/Stony Silence》
2《血染めの月/Blood Moon》
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
1《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》
1《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
1《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1《土覆いのシャーマン/Loaming Shaman》
1《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》
1《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk》
1《酸のスライム/Acidic Slime》




 使用者は静岡県のコロッサス静岡店でモダンを中心にプレイするのは櫻井 祐太。フルフォイル仕上げの《献身のドルイド/Devoted Druid》+《療治の侍臣/Vizier of Remedies》による無現マナデッキを『BIG MAGIC Sunday モダン』へ持ち込んできた。


 既存デッキの「カウンターカンパニー」と表現しなかったのは、そもそも《集合した中隊/Collected Company》を採用していないためだ。代わりに投入されているのはモダン版《自然の秩序/Natural Order》こと《異界の進化/Eldritch Evolution》。もちろん「ドミナリア」からの新戦力を忘れてはいけない。メインボードに3枚採用されているのは、レジェンダリーエンジェル《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》。


 BIGsの石田 龍一郎とも親交があり、今大会にはモダンに調整時間を割けなかった彼にもデッキをシェアしている。"日本王者"お墨付きのデッキについて、櫻井本人から簡単に説明をいただいた。




◆先ずはデッキの根幹を
 このデッキは「カウンターカンパニー」と同様に《献身のドルイド/Devoted Druid》と《療治の侍臣/Vizier of Remedies》を揃え、無限マナを生み出します。マナは《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》や《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》で致死量のダメージに変換します。


 通常の「カウンターカンパニー」では《療治の侍臣/Vizier of Remedies》のように単体ではあまり活躍しないカードまで、コンボのために複数積まなければなりません。また《集合した中隊/Collected Company》はインスタントタイミングで動けるのは魅力的ですが、不確定要素が多いのが難点です。採用されているクリーチャーは多くても、出てくるのがマナクリーチャー2体や同じコンボパーツでは意味がありません。


 その点このデッキでは枚数を1枚に抑えつつも、《異界の進化/Eldritch Evolution》で確実にサーチすることが可能となっています。コンボももちろんですが、《月の大魔術師/Magus of the Moon》のように特定のデッキへのメタカード積むシルバーバレット戦略を採用しています。


 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》、《復活の声/Voice of Resurgence》はアグロ、コントロールに強いクリーチャーですが、《異界の進化/Eldritch Evolution》元としても頭数を減らさない優秀なカードたちです。


◆「ドミナリア」からのニューカマー
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 このデッキのマスターピースです。これまではジャンドのように単発除去の多いデッキに対してはコンボはおろか、クリーチャー自体が残らず、非常に苦しい戦いでした。《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》はその相性差をひっくり返します。味方クリーチャーを守るだけでなく、プレイヤー自身も呪禁を得るため、手札破壊、火力呪文、「ストーム」や「タイタンシフト」も防ぐことが可能となっています。実際今日の対戦でも《献身のドルイド/Devoted Druid》から《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》に繋げ、呪禁のバックアップの元安心して無限マナを決めました。相手の除去呪文に対するカウンターカードでありながら、エンドカードでもあるため2つの役割をもち、スロットを圧迫しすぎずに採用することができます。


 サーチして場に出すのではなく、直接召喚し、その後の展開を有利に進めたいため、3枚採用しています。


 自身のタフネスが4であるため、火力呪文1枚では落ちません。仮に落とされたとしても、2枚の除去呪文を使わせれば、ほかのクリーチャーが生き残る確率はグッと上がります。環境的にも除去の一番手は《稲妻/Lightning Bolt》に代表される火力呪文。《致命的な一押し/Fatal Push》や《流刑への道/Path to Exile》の採用率によって、また変わってきますがね。全てはメタゲームです。



◆フリースロットフルスロットル
 コンボパーツ以外の1枚はシルバーバレット用の選択肢になります。そのため環境に変化に合わせカードの種類と枚数は調節可能です。特にメインの《月の大魔術師/Magus of the Moon》、サイドの《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk》は出せば勝ちに直結するほどのカードです。
 《月の大魔術師/Magus of the Moon》は本家《血染めの月/Blood Moon》と違い、除去られやすいカードですが、《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》がいれば安心して場にだすことができます。
 《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk》は親和や人間といった横展開するデッキに強く、全てのパーマネントに対し効果があるため「ランタンコントロール」のようなデッキにも絶大な効果があります。



 たった1枚のカードが相性を変え、デッキの細部までも影響を及ぼす。《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》はそのいい例ではないだろうか。


 櫻井の言葉をかりれば「ナヤ・エボリューションの可能性は無限大」だ。フリースロットのカードを好みとメタゲームから選択し、自分だけの「ナヤ・エボリューション」を作り上げてみては、いかがだろうか。

櫻井.jpg


 


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