プロツアー『ドミナリア』終了。赤黒がTOP8に7人、成績上位全体で見てもビッシリ...最大勢力は間違いないけど、ここまでになるとはね。このセットが発売された直後にこの結果を読めたプレイヤーはいるのだろうか。もっと色んなカードが活躍すると思ったに違いない。よく言われるのは《ベナリア史》。このカード、3マナで2/2警戒を2体生成してそれらをパンプして...アドバンテージを取りながら打点も稼ぐスーパーカードに見えるんだが、現状のスタンダードでは所謂"つよわい"系のカードである。青白コンのサイドに積まれる形が最も多いか、プロツアーではこれを主軸としたデッキは活躍できず終い。
MTG Arenaをやっている身からすると、カラデシュブロックが存在しない同ゲームにおいてはかなり強いカードなので驚きを隠せないが...まあ、季節が変わればこれを軸とした騎士デッキなんかが活躍するかもしれない。今日はそんなデッキに確実に採用される《善意の騎士》をご紹介。今週は騎士ウィークといこうじゃないか。
《善意の騎士》はあらゆるものがリバイバル、在りし日を思い出させる『ドミナリア』らしい1枚。かつては基本セットで定番だった《白騎士》の系譜に名を連ねる、最新型だ。2マナで先制攻撃を持つ2/2、という戦闘スペックの時点で多くの2マナ域のクリーチャーよりも優秀。偉大なる先祖白騎士様には、さらにプロテクション(黒)までついていた。この1行のテキストにより除去耐性と回避能力、戦闘での不死身ブロッカーぶりを兼ね備えていたのだが...時代は変わり、プロテクションは分かりづらさもあるのと壊れになりがち、とのことで今後これを持つカードはほとんどなくなるという方針が打ち出された。まあ、軽くてサイズのヘボいプロテクション持ちにこっちの攻撃を食い止められる、とかはリミテッドではかなりストレスがあったので、これ自体は良い方針かなと。
でも今後白騎士系のカードが作られなくなるのもそれはそれで寂しいなと思っていたら、このカードが「黒からの呪禁」という能力でその予想を覆してくれた。なるほどね、これなら初心者にもプロテクションよりは随分分かりやすい。呪文や能力の対象にならなくても接触戦闘自体は出来るし、戦闘ダメージも受けるので2ターン目に出てきたこれが強すぎて黒単終了、なんてことにもならない。良いデザインだ。
これだけでも十分なのに、黒いパーマネントが戦場にあるとパワーが上昇するという能力まで付いている。嫌いな色には徹底して、というのは昔から変わらないな。ただ、過去にもあった似たようなカードと違い、対戦相手でなく自身が黒いパーマネントをコントロールしていても良いという点には時代の流れを感じるね。黒と白はいがみ合い続けている色だったが、いつしか対抗色の概念も薄れ、今では相性の良くない2色の組み合わせがないレベル。白騎士とそのライバル黒騎士の系譜も、こうやって現代風にアレンジされてきたのだなぁ。
ちなみにこれの黒版は《悪意の騎士》。名前が対となっているが、いつものテンプレで訳すならこのカードは優雅(Grace)の騎士となっただろう。『ウルザズ・サーガ』にてプロテクション(黒)に関するカードは共通して優雅という単語をそのカード名に冠していた。英語版はその伝統を、日本語版は2枚を対とすることを重視したって感じだね。