BIG MAGIC所属プロ 松本友樹 グランプリ・名古屋2018 レポート

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0.はじめに

お久しぶりです。松本友樹です。

今回は名古屋で開催されたチームリミテッドグランプリで、中村修平さん、井川良彦さん(どちらも説明不要の有名プレイヤーですね)とチームを組み、トップ4に入賞することができました。

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国内GPで勝てたのは久しぶりで、せっかくなのでレポートを書いてみたいと思います。



1.そもそもチームシールドって?

 国内では年に1回くらいの頻度で行われているチームシールド。
この特殊なフォーマットについての記事はあまり見かけません。
そもそもチームシールドとはどのようなゲームなのでしょうか?

実は僕もそのあたりが大分曖昧だったので、リミテッドGP優勝7回(凄い!)を誇るチームメイト、中村修平さんに尋ねてみました。
するとこんな答えが返ってきました。

「チームシールドは(デッキが)ドラフトよりも基本強くなりますね。ドラフトで普通(1-2~2-1)くらいのデッキだとまず勝ち越せないと思っておいたほうが良いです。」

凄く当たり前の事ですが、使えるカードの総枚数は

ドラフト>チームシールド>個人シールド

という順番になります。
シールドは6パック、チームシールドは12パック、ドラフトは24パック。
必然的に、マナカーブが綺麗・シナジーが揃っているなどでのデッキの完成度はドラフトが最も優れています。

逆に、一人一人が使えるレアの枚数は逆転します。

個人シールド(6枚)>チームシールド(4枚)>ドラフト(3枚)

これも当たり前の話ですが、MTGには色という概念があり、パックから出たカードすべてを使い切ることはできません。
個人シールドで使えるはずの6枚のレアはたいてい2枚くらいしか使えず、ドラフトではレアが3枚も入れば大成功と言えます。

チームシールドとは、個人シールドとドラフトの良いとこ取りをしたようなゲームです。
12パックのカードを最適に分配し12枚のレアを最大限活用できます。
個人シールド、ドラフトよりも多くのレアを運用するため、平均的なカードパワーが向上します。
デッキの完成度についてはドラフトの成功デッキよりかは劣ることが多いものの、デッキの軸はしっかりしています。
最上級のパーツだけでデッキを組むことはできませんが、同じマナ域を適当なカードで埋めてマナカーブを整えるくらいならば簡単ですからね。

また、アーキタイプについても同様です。
アーキタイプが最も色濃く反映されるのがドラフトなら、チームシールドはそれに準じます。
例えば卓内の8人中2人いても強いのがディミーアであるなら、チームシールドにおいてディミーアは強アーキタイプであり、積極的に狙うべきものになります。
8人中1人でなければ強くないもの、例えばゴルガリならば、弱アーキタイプとなり、基本的には狙わないものになります。

数字で見てみましょう。
ラヴニカのギルドのコモンは106種。
チームシールドでは12パックを用いますので、120枚のコモンカードが手に入ります。
ここから単純に計算すれば、チームシールドにおいて、同名のコモンは平均1.1枚手に入るということです。
卓に1人でなければ強くないアーキタイプとは、プレイアブルなコモンが少なく、特定の強力なコモンを要求し、さらには高いレアリティのカードを要求する傾向にあります。
24パックあることをフルに活かし、競合がいないときに卓内の強カードを全て手に入れて組み上げるのが弱アーキタイプの戦略です。
平均1.1枚のコモン・・・つまり、強い特定のコモンが無い可能性もあれば2枚、3枚と重なる可能性が稀であるチームシールドにおいて、弱アーキタイプは組めない(組めても弱い)可能性が高いのです。

まとめ
①チームシールドのデッキはドラフトよりも強い
②ドラフトで強いデッキ(ギルド)はチームシールドでも強い
③ドラフトで弱いデッキ(ギルド)はチームシールドでも弱い



2.グランプリ前~練習期間~

前置きが長くなってしまいましたが、ようやくレポートの本文に入っていきます。
ここではどんな練習をしたかについて書いてみようと思います。

先ほど示した通り、チームシールドで組むべきアーキタイプはドラフトが基準になります。
なので、最初にするべき練習は以下の2点です。

1.ドラフトではどんなアーキタイプがあるか?
2.各アーキタイプの最適な形は何か?

この2点はチームシールドを練習する前の段階として最も重要であり、かつチームメイト3名が揃わなくても練習できる要素です。
逆にこれらを把握しないままチームメイトと集まって練習をしても、効率は決して良くならないでしょう。

幸いにも、今回もTeam Cygamesによる『ラヴニカのギルド』合宿に参加させて頂きました。
日本どころか世界を見渡しても間違いなく最高の環境の中で経験を積むことができました。
井川さん、中村さんのお二人もドラキチ合宿に参加し、ハイレベルながらもとんでもないペースでとんでもない期間ドラフトを行いました。

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その期間以外にもちょくちょくドラフトをすることで、この段階で学ぶべき2つの要素は概ね理解することができました。

次のステップで行うべき練習は以下の2点です。

1.それぞれのメンバーが得意なアーキタイプの把握・担当決め
2.ドラフトデッキとチームシールドデッキとのギャップを埋める

ここでようやく実際に会って練習する必要が出てきます。
それぞれ何が得意で何を使いたくて~~と話をしながら、実際に12パックを使いながらデッキを組んでみます。
そして可能ならば実戦を行います。
あまりたくさん行う必要はありませんが、できれば2回くらい大会に出られると理想的ですね。
ドラフトの3-0デッキを理想としてチームシールドのデッキを構築していきますが、よほどカードプールに恵まれなければ理想的なデッキが3つできることはありません。
そこで必要になるのは、チームシールドらしい構築です。

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具体的には(ドラフトでは)普段メインボードに入ることの少ない《罪人逮捕》などの重い除去の使用や、過剰にマナカーブを意識してバニラのようなカード(《第10管区の守備兵》など)を入れないこと。
そして、ゲームを決めるフィニッシャーを複数用意すること(《悪賢い隠蔽》で水増ししたり、ボロスからイゼットにタッチしてまで《薙ぎ払いの巨人》を使ったり)です。

実際、3人で集まって大会に出られて非常に大きな収穫がありました。
それぞれが担当するアーキタイプの確認ができたことはもちろん(井川さんはボロス、自分はコントロールイゼットかセレズニア、中村さんはなんでも!)、チームシールドで意識すべき構築が定まったのです。
普通のドラフトではアグロイゼット・ボロス・セレズニアと序盤から攻め立てるアグロデッキが様々あります。
しかし、チームシールドではアグロデッキは必要とするパーツに被りが多い上に、要求されるデッキパワーのレベルも高く、1チームに2人以上共存することは稀だったのです。
ドラフトならばメインボードで序盤からしっかりと耐える構成を心がける必要があるのに対し、チームシールドではサイドボードからアグロ対策をする方が勝率は良さそうだぞ、という事です。

そんなこんなで各々がやることも定まり、全体の構築の方針も定まった後、最後にすべき練習は以下の2つです。

1.自分の得意なアーキタイプを研究し、専門家になる
2.勝てる・勝てないをぱっと見で判断できるようにして、構築の際にゴーサイン(あるいはストップを)出せるようにする

この練習も一人で出来るものです。
私はGP前の平日にリアルでドラフトを行ったり集まったりして練習する時間は取れませんでしたが、Twitterで様々な方がアップしてくれるドラフトの3-0デッキや0-3デッキ、チームシールドで勝ったデッキ・負けたデッキを見ることで、どういうデッキが良いか/ダメかを学びました。
そうして専門家になることで、本戦でカードプールを並べたときに「このセレズニアなら行ける!やりましょう!」と太鼓判を押すことができますし、色が被ったときのカードの分配で間違えづらくなります。
「このカードだけは渡せん!これ渡したらこのデッキは勝たん!」とか、「これなら渡してもまあ頑張れるわ・・・」っていう感じですね。

ということで、チームシールドの練習と言いながらも、ほとんどは1人でできる・・・というより、1人でやるべき練習ばかりでした。
実際、今回のチームでも3人揃っての練習はわずか1日、1回のチームシールドの大会だけでした。
それでも僕ら3人は十分な量の事前準備ができたと信じていますし、その甲斐あって・・・かはわかりませんが、幸運にも良い結果を残すことができました。
練習とはがむしゃらに量を行えばよいものではなく、正しい道筋で、かつ効率的に行われるべきです。
そういう意味では、今回はとても質の高い練習ができていたのではないかと満足しています。

まとめ
① 集まって練習!・・・の前に個人個人の準備が大事
② 集まっての練習で一番大切なのは担当を決めること
③ 自分の担当をやりこんで専門家になる


3.グランプリ本戦~スイスラウンド~

 初日のカードプールはかなり珍しい内容でした。
青いカードが極端に少なく、緑のカードが溢れていたのです。
『ラヴニカのギルド』チームシールドでは青を2つに分けてイゼットとディミーアを作り、余ったセレズニア・ボロス・ゴルガリのいずれかを作ることが理想的です。
しかしどうやってもそれはできず、カードプールを並べていくうちに以下のようになりました。

松本:セレズニア
中村:イゼット
井川:ゴルガリ

まさかのセレズニアとゴルガリ、緑ハイブリッド!


3人の練習の経験だけでなく、Twitterにアップロードされている中でも全く見なかった組み合わせでした。

この組み合わせで本当にいいのか・・・と悩みつつも、ここのデッキを見て「勝てる!」とみんなが判断できた結果、構築時間を20分程余らせた状態でほぼほぼデッキを確定させることができました。

各自のドラフト経験からゴルガリ・セレズニアは間違いなくかなり強い部類のデッキだということがわかり、イゼットも(若干苦しいが)何とかなるレベルのものだろうと判断できたからです。

これは各自がしっかりとドラフトを練習していたからこそ、余計な道筋を辿らずにできたことだと思います。


matsumotonagoya2018 04.jpg(写真:松本が使用したセレズニア。井川さんと中村さんが使用したデッキは撮影していませんでした・・・)

 初日を振り返ってみれば、ゴルガリに関しては3人とも専門外という事で組み間違えた部分はありました。
それでもデッキパワーに間違いはなく、無事7勝1敗で2日目に進出することができました。
チームとしての噛み合いもよく、負けるときは0-2、勝つときはほとんど2-1という効率良い感じもちょっと嬉しかったですね。


 2日目は前日から打って変わり

松本:コントロールイゼット
中村:ディミーア
井川:ボロス

matsumotonagoya2018 02.jpg(写真。松本が使用したコントロールイゼット。若干クリーチャーに不安があるものの、よくまとまっていて高得点)


と非常にベーシックな構成。
井川さんのボロスがこれぞまさにパーフェクトボロス!というレベルでエースデッキとなりながら、自分のイゼットも十二分に強く、少し出の悪かった(それでも平均点くらいはある)ディミーアの修平さんデッキが3rdデッキになるという贅沢な布陣。
プールとしては初日よりも強くなったと言えます。
この日も噛み合いが非常によく、全試合2-1で勝利し5-0することができました。
ちなみに修平さんはチーム内3rdデッキながら5-0していて、本当にこの人うまいなぁと思いました。

そしてスイスラウンド最終戦では行弘・佐藤・山本チームとIDしてトップ4を確定。
僕個人としてはGP京都2016ぶりの国内GPトップ4で、中村さんはGP優勝8回目=GP優勝回数単独トップのチャンスでもあります。
トップ4が決まったあと、井川さんとここまで来させて貰った恩を返したいね、などと話したりしてました。




4.決勝ラウンド

 決勝ラウンドはIDを行った行弘・佐藤・山本チームとの対戦。
僕のピックが配信に映っていますので、宜しければそちらを見て頂けると嬉しいです。

個人のデッキだと僕にしては・・・というか6ドラにしては中々といったところ。
8人でも2-1は十分にできそうなデッキでした。(ちなみに僕の生涯チームドラフト成績は勝率20%くらいです。今回は本当に珍しくまともなデッキが組めました)
井川さん、中村さんのデッキも決して悪くはなく、これは何とかなるかも・・・と希望を持っていました。

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 構築段階ではお互いに流したカードを話し、対戦相手である行弘さんたちのデッキを予想していきました。
僕の対戦相手である行弘さんはイゼットであり、《直流》を2枚流していると、遅めのコントロールイゼットの可能性が高い・・・などの情報から高いタフネスを持つロクソドンの修復者をメインに入れ、大ぶりな火力をかわすためにジャイグロマシマシ構成にしました。
中村さんの相手である佐藤さんのデッキは除去が多めの黒いデッキということで、除去を交わせるバウンスを全部入れたり重いカードを対処できるカードを多めにしたり。
井川さんの相手である山本さんはイゼットということで、ダメージレースをずらせる《クロールの食料隊》を採用し、高マナ域の飛行クリーチャーを対処できる《罪人逮捕》をメインから採用しました。

そして行弘さんとの対戦。
こちらは残念ながら2事故というのもあり、負けてしまいました。
1本目はダブルマリガン、2本目はマナフラッド(9枚のドローの内スペル1土地8!)で、どちらももう少しで押し込めそう!という内容だったので残念でした。
そもそも行弘さんのデッキがとても強かったので、こちらが万全でも勝つのは大変だったんですけどね。
対戦して感じたのはやはりというべきか、ドラフト巧者達の圧倒的な力量。
3人ともデッキが本当に強い・・・。
中村さんがメインボードを勝利し2本目の中盤というあたりで、僕と井川さんの敗北によりチーム負けが決定してしまいました。

最終的に、中村さんが無敗のまま決勝ラウンドは幕を下ろしました。
不甲斐ないチームメイトでごめんなさい・・・!


5.終わりに

 決勝ラウンドでは不甲斐ない結果になりましたが、総じて非常に楽しいGPでした。
中でも特に印象に残ったのは、チームとして相談がとても少なかった点です。
相談が多いほうが良いチーム・・・なのかはわかりませんが、今回に限っては各人が各デッキの専門家となっています。
メンバー全員、自分こそがこのデッキをチーム内で一番うまく使える!という自負を持ち、自信をもってプレイしていました。
チームメイトに相談するときも、基本的には背中を押してほしいとき。
難しい局面、リスクのあるキープなんかのときは相談していましたが、基本的にはそれぞれ背中を押しあえていた気がします。
各人の能力を尊敬し信用しつつ、リスクのある場面はみんなで責任を背負う感じ、非常に良いチームワークを発揮できていたと思います。

さて、次回はプロツアー『ラヴニカのギルド』に参加する予定です。
井川さん・中村さんとは異なるチームになってしまいますが、今期もFinal Last Samuraiの一員として頑張っていきます。
宜しければ応援して頂けるととても嬉しいです!

それでは、また。

matsumotonagoya2018 05.jpg(写真:1没の残念会及びトップ4の祝勝会で名古屋コーチンの親子丼を食べているところ)

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