【マジックフェスト・京都2019】ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選 第3回戦:石井 泰介(神奈川県) vs. 平見 友徳(大阪府)

By Riku Imaizumi


26年の歴史の中で、マジックは今転換期を迎えている。


マジック・アリーナのリリースにより、紙のカードに触れていなかった人々がマジックを始めている。すでに各地のフライデー・ナイト・マジックに「アリーナ出身」のプレイヤーが参加し始めているほどにその影響は大きいのだ。


e-Sportsへ。


マジックがその方向に進んでいるのは間違いないと見て良いだろう。


かといって、それは26年間変わらずあり続けた「紙」のマジックを即座に塗り替えることはない。


石井 泰介


グランプリ北九州2009での優勝。グランプリ静岡2017でのベスト4。


華々しい成績を持つ彼は、『古豪』と形容されたことがあるほどにこのゲームに精通したプレイヤーだ。


平見 友徳


グランプリ名古屋2016での優勝。グランプリ京都2016でのベスト4。


彼の成績はわずかに3年前と記憶に新しい。ブロンズレベル・プロプレイヤーとして、Hareruya Hopesとして、彼は躍進を続けている。


転換期を迎えたこのゲームにおいて、キャリアを積んだ二名が対峙する。


舞台はミシックチャンピオンシップ予選。駒を進め、過去にプロツアーと呼ばれた舞台に近づくのはどちらなのか。


「アリーナ出身」という新しい世代に、積み上げたキャリアをもって魅せてほしい。


ラウンド3_190322_0003.jpg



ゲーム1


先手をとった石井は、手札を一瞥してマリガンを宣言する。一方の平見は10秒ほど悩み、かすかに鼻息を立てるものの、キープを選択した。
平見は石井のデッキを入念にカットし、手渡す。
石井は6枚のカードを手に少し悩むも、ほどなくキープを選択した。


ゲームのスタートは石井の平地からだった。
先陣を切るのは《短角獣の歩哨》だ。
平見は迷いなく《神無き祭殿》をタップイン。


この環境で白と黒の土地を使う主なデッキというと、エスパーコントロールが頭をよぎる。
そんな予感がしたか、石井は2ターン目に《徴税人》。
派手さはないが、古典的なコントロールの動きを阻害する渋いカードだ。


平見は《水没した地下墓地》を置いて《思考消去》をプレイ。《ベナリアの軍司令》を落とすと、諜報能力で《薬術師の眼識》を墓地に送る。この時点で平見のデッキがエスパーコントロールであることはほぼ明らかになった。


一方の石井はターンをもらうと《徴税人》でアタックし、《神聖なる泉》を置いて静かにターンを返す。3ターン目のアクション(《ベナリアの軍司令》)が落とされてしまい、呪文をひとつも唱えられないことが歯がゆい。


相手の手札に穴を作ることで、相手のターンを無駄にする。ハンド・デストラクションカードの最も有効な使い方だ。


平見の3ターン目。
手札を見て黙考。土地3枚、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》、《ケイヤの怒り》、《アズカンタの探索》、《薬術師の眼識》という手札から、《アズカンタの探索》のプレイを選択。土地を追加して行動を終えた。
《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》をプレイしなかったのは、《アズカンタの探索》により石井への対抗策を探しに行く意図があったのだろうか。


4ターン目を迎えた石井は流れるように《暴君への敵対者、アジャニ》をプレイ、二体のクリーチャーを強化してアタック。
平見のライフは14へ。
平見のアップキープ、《アズカンタの探索》により《ドミナリアの英雄、テフェリー》を墓地に落とし、《ケイヤの怒り》で盤面を一掃!


前のターンから決めていたように淀みのない動きを見せたが、依然として《暴君への敵対者、アジャニ》が睨みを利かせる盤面に変わりはない。《徴税人》の死後能力によるスピリットトークンも現れた。


ここが1ゲーム目の分水嶺と見たか、石井は手を留めてプレイに思考を巡らせる。


土地は4枚。クリーチャーにスピリットトークン。その横に《暴君への敵対者、アジャニ》、手札は2。


戦法を決めた石井は、《暴君への敵対者、アジャニ》で《徴税人》を呼び戻し、《議事会の裁き》で《アズカンタの探索》を追放。「対抗策を探す」という平見の3ターン目の選択を否定する厳しいプレイだ。


続くターンを平見はタップインで返す。



動きを見せない平見に、満を持して石井は《ベナリアの軍司令》を突き付ける!


平見は即座にそれを了承。カウンターはない。石井はクリーチャーを戦闘に向かわせる。


平見は静かに7点のダメージを受ける。除去もないのだ。


《ベナリアの軍司令》、《暴君への敵対者、アジャニ》と完成してしまった盤面に対し、それでも静かに《薬術師の眼識》によりドローを進める平見。


除去呪文を引ければ耐えることができるものの、無情にも《薬術師の眼識》は平見に打開策をもたらさない。


残すチャンスは最後のドローステップのみ。ターンを迎え、カードを引くと......


ラウンド3_190322_0023.jpg



平見は静かに投了した。


石井 1-0 平見



ゲーム2


淡々とゲーム1に決着をつけた二人はサイドボーディングに入る。
お互いに15枚のサイドボードをカウントし合い、シャッフルが始まった。
両者、7枚でキープを宣言。石井の《短角獣の歩哨》、平見の《思考消去》で火蓋は切って落とされた。
ゲーム1と同じ立ち上がりだが、二つの違いがある。
ひとつは先手後手だ。ゲーム1にて平見は《徴税人》の返しに《思考消去》を撃たざるを得ず、アタックによるダメージを喰らうこととなったが、今回その恐れはない。


もうひとつはサイドボードだ。
公開された石井の手札は《暴君への敵対者、アジャニ》《否認》《呪文貫き》《平地》《神聖なる泉》《氷河の城砦》。


平見の呪文に突き刺すカウンターは、サイドボードから現れたのだろう。
平見が《暴君への敵対者、アジャニ》を落とすと石井にできることはなく、土地を置くのみ。


そしてサイドボードを使うのは石井だけではない。
平見は《正気泥棒》を追加すると果敢に攻めにいく姿勢を見せた。


石井は《徴税人》で応えるが、飛行を持つ《正気泥棒》は止まらない。
能力により《不屈の護衛》と《平地》を落としながらカードを奪うと、《強迫》で石井の《否認》も奪い去る。
さらに《正気泥棒》で奪った《徴税人》で守りを固めると、石井から「つよっ」の一言が漏れた。
攻防に隙のない盤面が出来上がりつつある。


続くターン、石井は《ベナリアの軍司令》を追加したはいいが、《短角獣の歩哨》で1点のダメージを与えるに留まった。
平見は《正気泥棒》で二回目のアタック--からの、《黎明をもたらす者ライラ》を召喚!
《否認》も《呪文貫き》も意に介さないクリーチャーたちが、石井を襲い続ける。
平見を守るのは、正気を奪われた《徴税人》--に加え、こちらも奪われた《ベナリア史》による騎士トークン。
もはやゲームを掌握されたと見た石井は投了を選択するほかなかった。


石井 1-1 平見



ゲーム3


3ゲーム目にもつれこんだ。素早いプレイとうってかわって、両者ゆっくりとデッキを整える。
石井は「難しいな」とつぶやきながらサイドボーディングを吟味する。《否認》も《呪文貫き》も効かなかった。しかし3ゲーム目では?
両者デッキのチューンを終えると、三度のシャッフル&カットを行った。


石井はこのマッチで2回目のマリガン。表情は苦々しげだ。
1ゲーム目と同じように入念なカットをする平見。3ゲーム目はどのような展開を見せるのだろうか。
6枚の手札で石井はキープを宣言すると、再び平地を置き、《不屈の護衛》をプレイする。《短角獣の歩哨》と異なり、序盤から2点ダメージのプレッシャーを携えている。


タップインの平見に対し、勢いよく2点のアタックをしかけた。このままライフを削れれば--と行きたいところだったが、2枚目の土地を置くことができず、石井は力なくエンドを宣言。



ラウンド3_190322_0044.jpg



平見は《思考消去》。《徴税人》《否認》《ベナリア史》《暴君への敵対者、アジャニ》×2の手札がオープン。


平見は小考する。石井に二枚目の土地がないからといって、勝利が決まったわけではないのだ。《暴君への敵対者、アジャニ》を落とし、長期戦の構えを敷く。


一方で石井は3ターン目にも土地を引けないままだ。


静かに土地を置いてターンを返す平見。エスパーコントロールのペースでゲームが進んでいく。
石井は依然として土地を引けないものの、《空渡りの野心家》を追加。


しかしこれは無情にも《喪心》により即座に退場を迫られる。
もう一発、とばかりに、4ターン目を迎えた平見がプレイしたのは《人質取り》。もはや石井の場には平地しか残っていない。いまだに動けないままだ。


すでに盤面は平見に傾いているが、ゲームはまだ終わっていない。
油断なく《黎明をもたらす者ライラ》をたたきつける!


まだ諦めずにプレイを続ける石井。ここにきて待望の2枚目の土地を引いたが、送り出した《徴税人》を《人質取り》に奪われたところで、決着を認めることになった。


石井 1-2 平見



決着がついたあと、石井と平見は感想戦を始める。


キープしたくなかった、とこぼす石井。


しかし、(土地さえ引ければ)1ターン目にも2ターン目にもアクションが見えていたのでキープをするだろう、と平見は返す。


マジックが古いゲームであることは良いことばかりではない。


マジックにおいて毎日どこかで発生する土地事故は、昨今リリースされたばかりのデジタルカードゲームには起こり得ないものだ。



しかし、マジックが古いゲームであることで良いことも少なからず存在する。


石井と平見がするように、数々の経験をバックにした意見交換は貴重なレベルアップの機会だろう。


《敬慕されるロクソドン》を抜くかどうかの話題など、対戦の振り返りに余念がない二人。


これからもマジックには歴史が積み上がっていきそうだ。


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