【マジックフェスト・京都2019】ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選 第6回戦:小宮山 紘平(神奈川) vs. 藏田 真太郎(神奈川)

By Yohei Tomizawa


 9人が全勝で並び、唯一の1分けプレイヤーが追いかけるスイスドロー最終ラウンド。この対戦に勝った上でオポ勝負しなければならない藏田とここまで全勝の小宮山が激突する。

 プロツアー『破滅の時』で彗星の如く現れ、トップ8入賞を果たした藏田 真太郎。今週末の本戦に向けて、実物のデッキを使った対戦相手との練習よりも、MTGA(マジックアリーナ)やMOといった電脳ツールでの練習よりも、頭の中での《思考訓練》に費やす時間が多かったと語る藏田が持ち込んだのはスゥルタイカラーのデッキ。だが、藏田ともなれば、巷に溢れる「スゥルタイミッドレンジ」のわけがない。


 藏田が持ち込んだのはシミックを軸に据え、黒い除去カードを散らせたクロックパーミッション仕上げの「エルフ」デッキだ。《ラノワールのエルフ》と《培養ドルイド》が展開力をサポートし、《成長室の守護者》と《鉄葉のチャンピオン》がクロックを刻み、《火消し》と《エリマキ神秘家》が相手のプランを打ち崩す。多数のショックランドと《培養ドルイド》に加え、《手付かずの領土》が色拘束厳しいこのデッキを支えている。


 対照的に小宮山 紘平は練習環境として、会社内で結成した"マジック部"のことを挙げてくれた。最初は会社内のみで、続ける内にプライベートの時間でも集まり調整をするようになった仲間たちはガチンコとカジュアルのハーフ&ハーフ。各々が得意分野をもち、その思考過程を共有することで練度を高めてきたとのことだ。今回はコミュニティーの半数近くが本戦へも参加予定とのこと。


 小宮山が得意とするのはアグロデッキの部類であり、使用するのは「アゾリウスアグロ」。白単と天秤にかけ、マジックはサイドボード後の勝率こそが重視されるため「ネクサス」と「スゥルタイ」を睨みカウンターを採用できるこのデッキを選択したとのことだ。
 未来を掴むための、第一歩がこれより始まる。


ラウンド6.jpg


ゲーム1

 先手藏田が《内陸の湾港》《森林の墓地》とタップインを2連打しつつ《ラノワールのエルフ》を召喚し、1ターン速く4マナへ到達する上々の立ち上がり。しかし、藏田が上々ならば、小宮山は極上のものであった。

 《空渡りの野心家》から《短角獣の歩哨》と《軍団の上陸》を並べ、あっという間に変身条件を満たしたのだ!続く《ベナリアの軍司令》こそ《火消し》で打ち消されるも、《成長室の守護者》が立っているのも構わず3体をレッドゾーンへと送り、《一番砦、アダント》へと変身させる。その上で2枚目の《軍団の上陸》をキャストする。

 数の暴力に対し藏田はサイズで攻める。《培養ドルイド》と一緒に《鉄葉のチャンピオン》を召喚。

 現状小宮山のパーマネントは8。そこへ《徴税人》と2枚目の《短角獣の歩哨》を召喚することで昇殿を満たす。そして、そのまま5体のクリーチャーをタップし《敬慕されるロクソドン》を召喚。これにより全てのクリーチャーがサイズアップを果たすことに。



敬慕されるロクソドン.jpg


 藏田は次のアタックをシュミレーションし慎重に考えをまとめる。《ハダーナの登臨》をキャストし《培養ドルイド》へと+1/+1カウンターを配置することで、実質フリースペルとして《成長室の守護者》の順応を起動する。更にサーチしたばかりの《成長室の守護者》を3体目のブロッカーとしてターンを返した。

 《ハダーナの登臨》により《培養ドルイド》の生成できるマナが増えたため、小宮山としても時間があるわけではない。4/4の《成長室の守護者》が並ぶ前に勝負を決めるべく、トークン以外全てのクリーチャーをレッドゾーンへ。

 《短角獣の歩哨》を《鉄葉のチャンピオン》、《敬慕されるロクソドン》を順応済の《成長室の守護者》、《徴税人》を《成長室の守護者/》でそれぞれブロックすると、相打つもライフは7まで落ち込む。

 そこへ、小宮山はダメ押しとなる《ベナリア史》を追加してみせる。

 相手より半歩リードし、維持することを信条とする藏田のデッキは、この盤面を返すカードを持ちえなかった。

小宮山 1-0 藏田



ゲーム2

 《ラノワールのエルフ》と《軍団の上陸》をプレイし合うと、このデッキの真骨頂2ターン目に《鉄葉のチャンピオン》が登場する。

 この規格外のアタッカーを前に小宮山は伝統的な白系ビートダウンデッキの戦法、つまりは数の力に頼る。《空渡りの野心家》、《短角獣の歩哨》とゲーム1のデジャヴかと思える動きだ。

 藏田は《鉄葉のチャンピオン》をアタックへ送りだすと後続として《成長室の守護者》を召喚しつつ、青マナを含む2マナを残す。こちらも《火消し》を構えてのことだろう。

 それでも、藏田の手札を見透かしたように小宮山は《ベナリアの軍司令》をキャストする。そして、それは無事解決されたのだ。

 《ベナリアの軍司令》によりワンランク上のサイズとなった白きクリーチャーたちは藏田へと襲い掛かり、《空渡りの野心家》と《成長室の守護者》の交換を経て《一番砦、アダント》が顕現する。第2メインフェイズに追加したのはまたも《軍団の上陸》。

 たった1ターンで戦況は大きく変わってしまったが、藏田は初志貫徹《鉄葉のチャンピオン》でアタックするとターンを返す。

 小宮山はセットランドで昇殿を達成すると、思考の海へと沈む。手札には《敬慕されるロクソドン》だが、この状況で召集で召喚すべきなのか。もし召喚するならば《一番砦、アダント》でトークンを増やし、《敬慕されるロクソドン》をの効果を最大限に発揮すべきなのか。

 しかしそれは藏田の手札次第だ。《火消し》ならばノーガードとなり藏田へ1ターン与えてしまうに等しいが、トークンを生成して召集するならばスタックして除去呪文により《敬慕されるロクソドン》の召喚すら不可能となってしまう。そもそもは召喚せずにダメージレースを敢行すべきではないかと複数の裏目が存在している。

 リスクとリターンとを天秤にかけ、小宮山は《短角獣の歩哨》でアタックし4点のダメージを与える。第2メインフェイズに《一番砦、アダント》を含む4枚の土地をタップする。トークンを生成しつつ、《敬慕されるロクソドン》召喚と最大値を狙ったのだ。

 藏田「スタックでトークンへ」


渇望の時.jpg


 小宮山のプランを打ち崩すと藏田はライフを13まで回復し、《鉄葉のチャンピオン》をレッドゾーンへと送り、小宮山のライフを7としてみせた。追加したのは《成長室の守護者》、このカードならば次のアタックを受け止めつつプレッシャーをかけられるはずだ。

 だが、この場面で小宮山のデッキは最高のカードを届ける。


ベナリアの軍司令.jpg


 予想外の《ベナリアの軍司令》2体目により、《成長室の守護者》だけでは支えきれない。スタックしてトークンへ《渇望の時》をキャストし数を減らすが、それでは止まらない。

 《ベナリアの軍司令》、《短角獣の歩哨》、吸血鬼・トークンがレッドゾーンへと送られると少考後ブロックせず藏田のライフは3まで落ち込む。


 この場面、解決策はあるのだろうか。例え《採取+最終》を引き込んだとしても《一番砦、アダント》の追撃がある。これまでダメージレースを牽引してきた《鉄葉のチャンピオン》も《ベナリアの軍司令》2体のせいで吸血鬼トークンによりブロックされダメージを与えることはできない。そして何より《成長室の守護者》を順応し追加戦力を得たところで頭数が足りない。どうやって3点抜けてしまう。

 藏田が取れるプレイは、投了の一択しか残されてはいなかった。


小宮山 2-0 藏田

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