【マジックフェスト・京都2019】 土曜ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選 第4回戦:鈴池 史康(東京都) vs. 福嶋 謙悟 (兵庫県)

By Riku Imaizumi


ジェスカイコントロールは去ったと思われていた。
『ラヴニカの献身』の加入で《屈辱》《ケイヤの怒り》が参戦。鳴り物入りで環境入りしたエスパーは、そのままコントロールの座を奪い去った。


だが、一人のHareruya Hopesが奪還を図っていた。
《パルン、ニヴ=ミゼット》の力を思う存分に発揮させようと、鈴池 史康が牙を研いでいたのだ。
順調に勝ち上がってきた鈴池。このままシングルエリミーションまで駆けることができるだろうか。
相対するのは同じく勝ち上がってきた福嶋 謙悟。その実力は果たして。


139113.jpg


ゲーム1


先手は福嶋。山を置くと、《狂信的扇動者》から勢いよく1点を刻みだす。
赤単の初速はもちろん、絢爛のスイッチまで。多芸な1マナクリーチャーだ。


《神聖なる泉》をタップインする鈴池に向けて、振り切るかのようにダメージを重ねていく。2ターン目は《ヴィーアシーノの紅蓮術師》だ。


一方の鈴池は、まだ焦る時間じゃないとばかりに《宝物の地図》を設置。デッキに眠った"宝物"、命尽きる前に探しに行けるか。福嶋とのレースがスタートする。


ターンをもらった福嶋は、小考の後アタックすると、《山》を置いて《危険因子》。タップアウトの隙にバリューの高い呪文を通す胎か。鈴池はわずかに悩んだ後、ドローさせることを選択する。


アップキープに《神聖なる泉》を使って《宝物の地図》を起動すると、鈴池は《硫黄の滝》を置いて終了する。福嶋の快調な走りと裏腹に、鈴池の足は重い。


福嶋に睨みを利かせるのは赤と青の土地2枚だけだ。《シヴの火》2枚か? 単に土地がないだけか? あるいは土地がない"フリ"か? これまでの鈴池のプレイから狙いを見通せるか。福嶋はターンに入ると、2点ダメージを受けながら《踏鳴らされる地》をショック・イン。
《運命のきずな》デッキへの対策に、《燃えがら蔦》を搭載した赤単タッチ緑の様子を鈴池に見せる。


4枚そろえた土地から、おもむろに《稲妻の一撃》を打ち込んだ福嶋。一方の鈴池、投げられた火力への抵抗は見せない。
鈴池が稲妻に焼かれたことを確認すると、福島の手札から2枚がこぼれた――《ギトゥの溶岩走り》×2。墓地には2枚のインスタント。数ターン前から狙っていたかのように鮮やかな強襲だ。


《狂信的扇動者》、《ヴィーアシーノの紅蓮術師》と共に戦闘へ。このまま攻撃が通ってしまうと、《稲妻の一撃》のダメージも含めて10点ものライフが削れる計算になる!


わずか1ターンでこの高火力、さすがにたまらないと鈴池は《選択》。確認したカードを下に送ってカードを引くと、《シヴの火》でダメージを軽減する。
続くターン、鈴池は"宝物探し"には目もくれずにドロー。即座に《轟音のクラリオン》を打ち込んだ。


ようやく赤単の攻め手を押しとどめる。ここまでの攻防でライフは5点にまで減っていた。
このままゲームを掌握できるか――ようやくスタートラインに立った鈴池。
その時、福嶋の手札から2枚のカードが躍り出る。



3001451.jpg3001437.jpg



すでに福嶋は鈴池を追い越していたのだ。


鈴池 0-1 福嶋



ゲーム2


鈴池は先手を選ぶと、手札を一瞥しキープを選択。
福嶋はマリガンだ。コントロール相手に貴重な一枚。占術で取り戻すことができるだろうか。
手札を見て表情を崩すと、それをキープした。


先手の鈴池、《神聖なる泉》をタップイン。やはり静かなスタートを切った。


一方の福嶋、少し悩んだがトップランナーを送り出す。《ギトゥの溶岩走り》だ。
キープに悩んだことを踏まえると、万全ではない手札であることが見え隠れする。


鈴池は自分のメインフェイズで《選択》。《硫黄の滝》を追加してターンを終了する。


福嶋は《ギトゥの溶岩走り》で鈴池に傷をつけた。そのまま《舞台照らし》を唱えると、《山》と《争闘+壮大》を見つけ出す。マリガンのハンデは埋めることができただろうか?
鈴池は福島のターン終了時に《選択》をプレイした。


3ターン目に鈴池が場に出したのは《宝物の地図》。アンタップ状態なのは《神聖なる泉》のみで、《シヴの火》の脅威はない。さらに《舞台照らし》がカウンターされなかったことを考えると、《呪文貫き》が鈴池の手札にある可能性は低いと見える。


福嶋は《根縛りの岩山》をプレイ。赤と緑を戦場に揃えると、戦闘に入って《壮大》で《ギトゥの溶岩走》を強化。鈴池は抵抗なくダメージを受け入れる。


鈴池、ターンをもらうと「うーん」と唸りながらアップキープに《宝物の地図》を起動する。
トン、トン、と指でゲームのシミュレーションをすると、そのままドロー。
唱えたのは《轟音のクラリオン》。これで盤面は猶予を見た。


ターンは福嶋に回る。カードを手札に加えると、《狂信的扇動者》を唱えて鈴池にアタック。
手札は3枚、土地は4枚。この状況で福嶋はそのままターンをパスした。


アップキープに《地図》で占術。ボトムへ送ると、"宝探し"は終了する。《宝物の入り江》とともに3個の宝物トークンが鈴池の場に現れた。
その宝物トークンを代償に、鈴池は決定打をプレイした。



2991685.jpg



《黎明をもたらす者ライラ》だ。


しかし福嶋も黙っていない。5枚目の山を置くと、《争闘》を唱えて《黎明をもたらす者ライラ》への対処を目論む!
しかしトレジャーハントを終えた鈴池の手札には潤沢な財宝が残っているのだ。宝物トークンを使用すると、《潜水》で天使を守る。鈴池のゲームプランが綺麗に決まった。


ターンをもらった鈴池。天使で殴る。


福嶋は《狂信的扇動者》で殴り返す。


そよ風でも吹いたように気にせず、鈴池は殴る。殴る。


《危険因子》も意に介さず、殴る。殴る。また殴る。


抵抗むなしく、鈴池のライフはもはや登り坂から変わる様子を見せない。これ以上は無駄と悟った福嶋は、潔くレースを降りた。


鈴池 1-1 福嶋




ゲーム3


《争闘+壮大》を入れていたにも関わらずかわされてしまった福嶋、時間をかけてサイドボードからカードを追加する。
鈴池も先手後手の調整か、カードを入れ替える。綺麗なゲームプランをヒットさせた彼に迷いはないようだ。


両者、時間をかけてシャッフルとカットに行うと、最終トラックに入った。


手札を見てため息をついた鈴池。不満を垣間見せるがキープを宣言。今後の引きとプレイング、そして目の前の対戦相手の動き方。その全てにゲームがかかっている。
一方の福嶋はマリガンを選択。ゲーム2と同じく手札一枚分のハンデを背負う。先手の有利とのオフセットができるかどうか。


苦い表情を見せながら6枚でゲームスタートした福嶋、初動は《踏み鳴らされる地》のタップインだ。
鈴池も《蒸気孔》のタップイン。


静かに見えるが、赤単ならば2ターン目からギアを挙げていくことが予想される。
さあ、福嶋の2手目は――《踏み鳴らされる地》、タップイン! 本格的なレースはまだまだ先になるようだ。
鈴池はこれ幸いと《神聖なる泉》をタップイン。遅いゲームは望むところ。


3ターン目を迎えた福嶋、土地を置いて《稲妻の一撃》を打ち込んだ。わかりやすい《舞台照らし》への布石。そのまま通ると、"絢爛"呪文でデッキトップをめくった。次のターン、舞台に上がるのは《山》と《狂信的扇動者》だ。


鈴池は少し悩むと《蒸気孔》をタップイン。ショック・ランドを連続して置き続ける鈴池、いよいよギアを上げてきた福嶋についていけるのか。
福嶋はようやくこのゲーム初のクリーチャーを呼び、《狂信的扇動者》でアタックする。そのまま《舞台照らし》の2枚目を唱えた。鈴池はカウンターを撃たない。


デッキトップは《争闘+壮大》と《根縛りの岩山》。次のターン、《狂信的扇動者》にパンプアップを使えるだろうか――と、考えていると。



3022130.jpg



そんな考えを打ち砕く、鈴池の《拘留代理人》。
《狂信的扇動者》が拘留されたことにより、《争闘+壮大》はほぼ意味をなさなくなった......ように見えた。


福嶋はその上を行っていた。5枚目の土地を置いて《魔術師の稲妻》で《拘留代理人》を打ち砕く!
帰ってきた《狂信的扇動者》に《壮大》を唱えて5点のダメージを叩き込んだ。いままでクリーチャーを展開できていなかった福嶋の手札には火力呪文が用意されていることが予想される。


福嶋の手札をうまく使わせてしまった鈴池は、5ターン目を迎えて《ドミナリアの英雄、テフェリー》を着地させる。ゲームの流れを呼び戻せるだろうか。ドロー+土地のアンタップをしてターンを返した。


行動権を得た福嶋、アタック対象はテフェリーか? それとも本体か?
そんな疑問のヒントを求めるように、《危険因子》を唱える。鈴池はダメージを受けることを拒み、福嶋に新たな選択肢をもたらした。


福嶋には潤沢な手札を活用する6枚の土地がある。《狂信的扇動者》を新たに追加すると、鈴池めがけて戦闘に入った。短期決戦狙いだ。戦闘後、《ヴィーアシーノの紅蓮術師》で追撃。ゲームの終わりが近づいてきている。


鈴池は福島の手札が3枚であることを確認すると、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力でカードを引いた。右手に力が込められているのがわかる。
《轟音のクラリオン》を鳴らすと、《宝物の地図》を追加した。《テフェリー》《地図》と脅威は十分。


鈴池のライフは7。福島からすると近いようで遠い。
合計4枚の手札、どのように使っていくか、福嶋は考えた。


まずは《遁走する蒸気族》を呼び出す。赤単のかなめともいえるエレメンタルは、終盤の福嶋の心強い助力になる。
続けて山を捨てながら《危険因子》を再活。鈴池は再びドローを選択。《蒸気族》がいるなか、福嶋の手札はさらに数を増やした。
7枚目の土地を出し、《ギトゥの溶岩走り》。《蒸気族》のカウンターは2個になる。


福嶋は《魔術師の稲妻》を本体に向けて放つと、《溶岩走り》で攻撃した。
鈴池は《宝物の地図》で占術。ターンを迎えると、額に手をやった。


ここまでほぼ淀みないプレイだったが、「うーん」と声を上げて悩みを見せる。一息置いて、アップキープに《地図》起動。占術を終えて通常ドロー。打開策を、福嶋の走りを止める策を探しに行っている。すでにライフの残りは2点にまで迫っていた。


《ドミナリアの英雄、テフェリー》の+能力を起動すると、ジェスカイコントロールの真骨頂、《パルン、ニヴ=ミゼット》を降り立たせた。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》のドロー前にプレイしなかったことを見ると、最後のドローで引いたようだ。


鈴池のターン終了時、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のアンタップ能力が誘発。この時点で行動を吟味する福嶋。動くならば鈴池がタップアウトしているうちに動きたい。
果たして残り2枚の手札をどのように使うか。考えたうえで、何もせず土地のアンタップを認めた。


佳境を迎えたRound4。
鈴池の場に《パルン、ニヴ=ミゼット》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《宝物の地図》、アンタップ状態の土地が2枚。
福嶋の場に+1/+1カウンターが3個乗った《遁走する蒸気族》、《ギトゥの溶岩走り》。そしてアンタップ・ステップを迎えた土地が7枚。


福嶋は引いたカードを確認すると、《遁走する蒸気族》《ギトゥの溶岩走り》を叩き込んだ。「プレイヤーへ」。


鈴池は考えた末に《パルン、ニヴ=ミゼット》で《ギトゥの溶岩走り》をブロック。さらに《裁きの一撃》を《遁走する蒸気族》へ。
この行動でイゼット団の創始者が動き始めた。鈴池にカードを引かせる能力が誘発する。


一転対応を迫られた福嶋。
しかし、彼の行動は決まっていた。鈴池を打ち破る決定的な一手は彼の手にあったのだ。



3022188.jpg



《壮大》で《ギトゥの溶岩走り》に+4/+2 & トランプルを付与!
《パルン、ニヴ=ミゼット》の能力は誘発するものの、《裁きの一撃》で正真正銘タップアウトした鈴池に為す術はない。


計算の狂った鈴池は、貫通した1点のダメージを受ける。続けて《舞台照らし》から現われた《ヴィーアシーノの紅蓮術師》で勝負は決したのだった。


鈴池 1-2 福嶋



環境から姿を消したかのように見えたジェスカイコントロール。それに新たな息吹を吹き込み、見事なゲームプランを遂行して見せたブロンズレベル・プロの鈴池。しかし、《争闘+壮大》の前に1敗を喫してしまった。


そんな鈴池を打ち破った福嶋のマジックキャリアはなんと2月から。マジック・アリーナの日本語版リリースに合わせて始めたという。紛れもない「アリーナ出身」。"新世代"のプレイヤーだ。


以前にプレイしていたカードゲームの経験を頼りに、手探り手探りマジックをプレイする。
「マジックって面白いですね」。そう語る彼の右手には、4-0を記録した相棒が握られていた。



マジックフェスト・京都2019 サイドイベントカバレージページ


マジックフェスト・京都2019 TOPページ

関連の記事

他の記事

『他のカードゲーム』と同時購入の際は、こちらのカートを総合レジに移動させてから『他のカード』の購入をお願いします

合計 0 種類 0
0

Coming Soon!
under development

Coming Soon!
under development

合計 0 種類 0
0