text by Seigo Nishikawa
旧枠モダンという環境をご存知でしょうか。旧枠もわかるし、モダンもわかるけど、旧枠モダンとは? と思われた方が大勢いらっしゃるのではないかと思います。モダンは通称「新枠」と呼ばれる、カードのフレームが更新された第8版及びミラディン以降に収録されているカードで構築がなされます。
一方でマジックのエキスパンションは新しいカードだけで構成されるわけではなく、過去に輝きを放った魅力的なカードの数々が再収録されることが多々あります。最近では《吸収》がラヴニカの献身に登場し、喜んだプレイヤーも多いのではないでしょうか。
この《吸収》のように、初出が旧枠(第8版・ミラディン以前)でありながら、モダンでも使用できるカードのみを使用できるものが旧枠モダンと呼びます。とあるプレイヤーによって提唱され、今じわじわと参加者を増やしてきている環境となります。
どういったカードが対象かと言われて、ぱっと思いつくカードと言えば《稲妻》でしょうか。実際《稲妻》は旧枠モダンでも環境を定義する一枚となっており、《稲妻》を超えるタフネス4のカードはそれだけで重宝されるのだとか。加えて黒除去をもはねのける《秘教の処罰者》は最高峰のクリーチャーとして扱われているという話もあります。
一方で《溢れかえる岸辺》などの所謂フェッチランドは存在しますが、《神聖なる泉》などのギルドランドは存在しません。多色土地はダメージランドなどになり、単純な多色化は難しくなっています。
それでは他にはどのようなカードがあるのでしょうか、実際に試合を見ていきましょう。
《ミラーリ》から《時間の伸長》!
《モグの歩哨》に殴られたことはありますか?
ビッグブルーの権化《大気の精霊》
古き良きステロイド
《怒りの天使アクローマ》はいずれのプレイヤーに勝利の祝福をもたらすのでしょうか
さてそんな旧枠モダンを楽しみにしていたという二人のプレイヤーが決勝戦で対戦をしていました。ゴブリンvsトリココントロールという何とも言えない懐かしさを感じさせる試合を繰り広げたお二人にお話を伺ったので少しご紹介したいと思います。
(都合によりお二人の写真は未掲載となります)
志浦健之さんの赤タッチ緑ゴブリン
千代西尾伊織さんのトリココントロール
-- 旧枠モダンの環境と、なぜモダンではなく旧枠モダンなのかを教えてもらえますか?
志浦 環境は「まだ誰もわかっていない」というのが正しいと思います。大前提として懐かしいのがやりたいな、というのが大きいですね。
千代西尾 (頷く)
志浦 ここ(《包囲攻撃の司令官》1枚)の旧枠が手に入れられなかったのが本当に残念で、そう思えるぐらい楽しいフォーマットです。
千代西尾 こだわって旧枠にしたいですよね。僕は本格的にマジックを始めたのは後のほうなのでまだ仕切れてないところがありますけど。
志浦 本当に自分が始めたころのデッキが使えて楽しいんですよ。
-- テンペスト・サーガやインベイジョンで始めたってプレイヤーは多いですからね。
志浦 Twitterとかで旧枠モダンのことをツイートしている方がいて、皆さんそれを見て始めてる感じだと思います。これから研究が進んでいくんじゃないでしょうか。何回かもう開催されているみたいですね。
千代西尾 今マジックやっていないって人でも、当時はプレイしていたよ、って人本当に多いですよ。
-- 今度モダンホライズンという、まさに旧枠モダンのためなのではないかと思わせるようなセットが来るわけですが、収録してほしいカードとかありますか?
千代西尾 (間髪入れずに)《嘘か真か》ですね。あとは《ゴブリンの塹壕》。トレンチコントロールが好きすぎて、このデッキを組んだようなものです。
志浦 折角《吸収》があるなら《蝕み》が欲しいなと思います。
千代西尾 いいですね。
志浦 みんな懐かしい感じでやってるんだと思います
志浦さん、千代西尾さんのお話にもありましたがプレイされている方の顔が、皆々にこやかな笑顔をしているのがとても印象的でした。旧枠モダン以外にも、ミドルスクール・回顧スタンダードなど、あのころの自分を取り戻す機会が最近増えているように思います。押し入れに眠っているあのカード、大好きなカードを手に入れたあの日あの時、懐かしい友とのあの光景......たまには郷愁に浸ってみるのもの良いのではないでしょうか。
マジックはいつでもあなたをお待ちしています。
実は、志浦さん千代西尾さんのお二人も今日が初対面なんだとか。それでもまるで昔からの知己であったかのように楽しそうに会話をされていました。
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