By Yohei Tomizawa
日曜日の朝が始まる。
グランプリ週末の日曜日は自由であり複雑だ。グランプリ本戦2日目に挑むもの、友人達と観光するもの、サイドイベントやステージイベントを楽しむものと沢山の選択肢があるためだ。
その中でも、本戦に負けず劣らず厳しい1日を過ごすものたちがいる。彼らが挑むのはミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選。プロツアーから名を変えた、ミシックチャンピオンシップへと至る道のりだ。
金曜日から3度に分け行われてきたこのイベントも、これが最後となる。ミシックチャンピオンシップへの参加を渇望する392名ものプレイヤーがここへ集結している。
第2回戦では、グランプリでのトップ8経験もある"ジョニーのお店"スポンサードプレイヤー、杉山 雄哉とシェン ユーフェイ/Shen Yufeiの対戦をお届けしよう。
ゲーム1
《ラノワールのエルフ》と《ギトゥの溶岩走り》と互いのデッキを象徴とする1マナクリーチャーからスタートすると、2ターン目にして変化は訪れる。ここでシェは《山》をセットランドしたのだ。
環境では少ないグルールアグロ。事実、2ターン目にはマナ加速を経て《軍勢の戦親分》が召喚された。
これを放置するわけにいかず、杉山は《魔術師の稲妻》で除去すると《踏み鳴らされる地》をタップイン。こちらも赤単タッチ緑と判明する。
だが単純な生物比ならば、赤よりも緑を基調とするシェが有利だ。《グルールの呪文砕き》を4/4で追加すると、完全に場を支配する。返しの《ゴブリンの鎖回し》は《ラノワールのエルフ》こそ除去するも、ブロックにも回ることはできない。
シェは《稲妻の一撃》を《ゴブリンの鎖回し》へとキャストするとビートダウンをスタート。現状のライフこそ16-14と杉山が有利だが、クロックではシェには及ばない。《生皮収集家》と《ザル=ターのゴブリン》までも追加されると、勝負は決まったかに見えた。
しかし、ここで杉山は《実験の狂乱》をトップデッキ!
ノーガードのため続くアタックでライフこそ5まで落ち込むだろうが、土地がアンタップすればスペルが続く限り手札は無限となる。
予想通り3体のアタックをスルーし残るは5。火力等もなく、何とか踏みとどまったか?
しかし、ここで杉山のデッキが応えない。相性抜群の《遁走する蒸気族》こそ召喚するも、そこでストップしてしまったのだ。ライフはまだあるものの、除去がトップがあるわけでもなく。
再びレッドゾーンへと送りこまれた3体のクリーチャーの内《グルールの呪文砕き》以外をチャンプブロックし、残るは30。
絶体絶命のこの状況で杉山は《ギトゥの溶岩走り》、《遁走する蒸気族》とセットを揃えるも、次が続かなかった。
シェ 1-0 杉山
ゲーム2
シェのマリガンで始まるゲーム2、またも《ギトゥの溶岩走り》《ラノワールのエルフ》と同じ光景が広がる。
アタックし「絢爛」で《舞台照らし》をキャストするも土地と《実験の狂乱》が追放され、少し残念な感じ。杉山は《ギトゥの溶岩走り》を追加する。
だが、杉山の不運などシェに比べれば問題ではなかった。シェは《成長室の守護者》を召喚するも、2枚目の土地をセットできない。
この隙を逃す杉山ではない。《ギトゥの溶岩走り》2体で攻撃し《成長室の守護者》がブロックしたのを確認すると、《ラノワールのエルフ》へと《稲妻の一撃》が飛ぶ。
完全にマナスクリューに陥ったシェ、引けども引けども2枚目の土地は来ない。3枚目の《ギトゥの溶岩走り》を確認すると、気持ちを切り替えるようにデッキへとカードを戻した。
シェ 1-1 杉山
ゲーム3
クリーチャーと火力の1対1交換が続く序盤。シェが《成長室の守護》を追加すると、杉山は《山》1枚をアンタップで残しつつも《ヴィーアシーノの紅蓮術師》を召喚。除去されずにシェは自身のターンを迎える。
順応し次の《成長室の守護者》をサーチすべきか否か。シェはスタックしての除去呪文での裏目も考え、対処手段の限られる《再燃するフェニックス》を選択する。
杉山がエンドに《ショック》、メインで《溶岩コイル》と適切に2体のクリーチャーを対処すると、遂にシェの手も止まる。これにより杉山が自由に使えるターンが訪れる。
最高のタイミングで最高のカードを。《実験の狂乱》は、今度こそ無限にカードを杉山へ届ける。《ザル=ターのゴブリン》とシェが召喚したクリーチャーは悪くはない。しかし、それは《実験の狂乱》がなければの話だ。既に、クリーチャーサイズでの勝負ではなくなっているのだ。
セットランド、《渋面の溶岩使い》《魔術師の稲妻》《狂信的扇動者》とプレイする杉山をシェは見守るしかない。
《帰化》のように《実験の狂乱》自体を対処するか、《成長室の守護者》のようにカードカウントを稼ぐカードがない限り、逆転は難しい。
《ザル=ターのゴブリン》を除去すると、少しずつ杉山のクリーチャーはダメージを与えていく。現代に蘇りし紅き《ネクロポーテンス》は、使用者のライフを必要とはしない。
代わるは相手のライフと敗北なのだから。
シェ 1-2 杉山
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