「マジック開発部、Gavin Verhey(ガヴィン・ヴァーヘイ)インタビュー」

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「マジック開発部、Gavin Verhey(ガヴィン・ヴァーヘイ)インタビュー」

Gavin Verhey & 岩SHOW

通訳:Ron Foster

マジック:ザ・ギャザリングの魅力の1つは日々変化していく環境でしょう。変化は様々な要因から生まれます。プレイヤーの研究、メタゲームの変遷など理由は様々ですが、一番わかりやすい変化はずばり新カードの登場でしょう。

では、その新カードはどうやって開発され生まれているのでしょうか?今回我々は幸運にも開発部スタッフのGavin Verheyさんにインタビューすることが出来ました。Gavinさんと言えばマジック公式サイトで「Beyond the Basics-上級者への道」を連載していることで有名です。コラムではマジックをどのように始めて、そしてどうやって上達するのかが丁寧に解説されています。そんな彼が生み出すカードとはいったいどのようなものでしょうか?

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(写真左:岩SHOW、右:Gavin Verhey氏)

--Gavinさんは開発部でどんな仕事をしているのですか?

Gavin:ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社(以下WotC)でゲームデザイナーという仕事をやっています

Gavin:具体的にどんなことをやっているかと言うと、カードの内容―「どんな能力がどんな影響を与えるのか」というのを考えています

岩SHOW:なるほど

Gavin:1つ面白いのは何年も先のマジックを作っていることです。実は今後発売される1年、2年後のセットのカードは既に完成しています(笑)

Gavin:特に私の仕事では2年、3年、4年後のカードを扱っています

岩SHOW:未来を渡り歩いているのですね(笑)

Gavin:ええ、タイムトラベラーです(笑)

岩SHOW:具体的にGavinさんが作ったカードについて聞いてもいいですか?

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Gavin:勿論!《電招の塔/Dynavolt Tower》はお気に入りの1つです

岩SHOW:ああ!《電招の塔/Dynavolt Tower》!

Gavin:他にもいくつか誇りに思っているデザインがあります。カラデシュと霊気紛争の中では、私がデザインした《上級建設官、スラム/Sram, Senior Edificer 》、《パラドックス装置/Paradox Engine 》も誇りに思っています

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岩SHOW:それらは全日本人が好きなカードですよ

Gavin:hahaha。それと他にもうーん...

Gavin:そうだ!実際にデザインしたカードをファイルにまとめて来たから見せるよ!

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岩SHOW:滅茶苦茶良いカードばっかりじゃないですか!

Gavin:これが全てというわけではありませんが私のデザインしたカードの一部です

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(こちらは開発中につかっていたテストカード)

岩SHOW:日本人が好きそうなカードばかりですね(笑)

Gavin:僕も日本が好きだからね(笑)

--カードをデザインするにあたって(社内で)日々どんなことをしているのですか?

Gavin:毎日3つのことをやります。1つはチームに分かれてカードをデザインします

Gavin:そしてそのあと、みんなで集まって大きなミーティングをします。そこで各チームが作ったカードを発表してどんなことを考えているか共有します

Gavin:最後にテストプレイをします。スタンダードやドラフトなど実際にカードを入れてみて自分がデザインしたカードのバランスをチェックします。

岩SHOW:なるほど

Gavin:あとはそうですね...。一人で机に座ってコンピューターの前で考えることです

Gavin:新しいカードの能力や新しい製品について考えます。例えばコンスピラシーといったMTGをこうしたいという考えをまとめて企画書を書きます

岩SHOW:《瞑想/Meditate》ですね(笑)

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Gavin:その通り!「何かいいアイデアないかなー」って悩んでいます

--今回Gavinさんが日本に来た理由は?

Gavin:日本が好きだからだよ(笑)

岩SHOW:うん。知ってるよ(笑)

Gavin:毎日カードを作っていますが、結局それは会社内でのことです

Gavin:開発部の中にはR&D(Research&Development)という部署があります。このResearchというのは自分たちが作ったカードが広い世界で実際にどういうふうに活躍しているかを調べるという意味もあります。
 
Gavin:社内でテストすることも大切なのですが、それだけでなく実際のマジックがどう動いているのかを調べるのも大事なことです

Gavin:プレイヤーと直接触れあい、プレイヤーが何を楽しんで何を望んでいるのかを知るのは我々にとって重要なことです

岩SHOW:なるほど、なるほど

Gavin:またマジックが好きなプレイヤーにとっても開発部と触れ合うことは良い影響を与えると思っています。マジックをより好きになってもらえる機会になります

Gavin:我々開発部としてもプレイヤーから直接意見を聞くことでより良いイベントにすることができます

Gavin:だから開発部は様々なイベントに行きます

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--Gavinさんから見た日本のイメージは?

Gavin:子供の頃は漫画やアニメを見てすごく興味を持ちました。当時、日本の漫画は中々手に入らなくてあこがれでした

Gavin:プレイヤーのときは日本語のカードを集めていました。(日本語の)見た目が凄く好きでした(笑)

Gavin:また初めて優勝したのがプロツアー横浜の予選なので強く思い出があります。

Gavin:あとグルメなので日本のおいしい料理は楽しみです(笑)

岩SHOW:(笑)

Gavin:日本は複数のカードゲームがある市場です。その中でこれだけ多くのプレイヤーが楽しんでいるのを見るのは嬉しいし、幸せです。

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--日本を意識して開発することはありますか?

Gavin:はい(笑)開発部は色んなタイプのプレイヤーを楽しませようとしています

Gavin:1つはティミー。大きなクリーチャーや派手な呪文を好むプレイヤーです

Gavin:このタイプのプレイヤーはドラゴンやビーストと言った大型のクリーチャーが大好きです

Gavin:もうひとつはジョニー。彼らはコンボが好きです。とにかく何かを組み合わせて使うことを好みます

Gavin:最後のグループはスパイク。スパイクはとにかく勝ちたい。トーナメントが大好きなプレイヤーです

Gavin:私はマジック以外にもデュエルマスターズを開発したことがあります。そのとき知ったのですが、日本はコンボ好きなプレイヤーが多いです

岩SHOW:確かに日本はジョニーカントリーですね(笑)

Gavin:だからコンボとなるパーツを作ったときは「これは日本で流行る!」と思いました

Gavin:《パラドックス装置》もその1つです

岩SHOW:なるほど、なるほど

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(写真左:Ron Foster

--最後の質問です。もし、開発部に入りたいと思っている日本の方がいたらアドバイスをお願いします

Gavin:とにかくMTGが好きでいてください。開発部ではとにかく一日中マジックのことを考えています。それこれそ家に帰ってもまだマジックのことを考えています。それほど好きでないと務まりません

Gavin:(開発部の)壁に目標が書いてます

Gavin:その中の1つが「MTG我々だけのものではない」というのがあります

Gavin:マジックはコミュニティがあってこそです。まずそれが第一で、それこそ自分が退社したあとでもマジックを楽しめる体勢であることを目指しています

Gavin:毎日マジックがもっと良くなるように考えながら仕事をしています

岩SHOW:深いなぁ...

岩SHOW:僕もMTGが好きな気持ちは負けていないつもりなので、いつか(開発部入りを)目指したいですね

Gavin:待ってるよ!

岩SHOW:そのためには英語を頑張って話せるようにならないと!

Gavin:WotCは東京オフィスもあるからそこを目指すというのもあるよ!

岩SHOW:確かに!

岩SHOW:今日は本当にいいことをたくさん聞けました。ありがとうございます!

Gavin:こちらこそありがとう!

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