text by Hirayama Shigetaka
少し肌寒かった昨日とすると、日差しが暖かく、会場前の街路樹の桜が春を誇っている。
本選参加者は集いも集い、2200人を超えるプレイヤーが1階のプレイスペースをほとんど埋め尽くしていた。
これだけみんな本戦に出ているのに、サイドイベント集まってくれるかな......、と少し不安になっていたのだが
もう並んでくれている!!
果たして本日最初のサイドイベント『商品2倍スタンダード』には84名ものプレイヤーに集まっていただいた。
『日本統率者選手権 春』
「今日一日あなたの選んだ統率者はあなたの相棒です。この野郎裏切りやがってと思うことがあっても一日一緒に戦ってください」というヘッドジャッジのアナウンスに笑いが起き、和やかな雰囲気で大会は進行する。
各々手元に用紙を持ってプレイしているのが目立つ。
今回のイベントでは勝利点の他に「実績」と「勲章」という二つの評価点が存在し、それぞれについて商品が用意されている他、総合点にも関わってくる。
実績を達成するか、勲章を得るか、貪欲に勝利を求めるか。各自の狙いが交錯し、4名でのゲームでありながら62名全員が同時に争う一大イベントだ。
開始してから数時間。ラウンド3の終了時に再度イベントスペースを覗いてみた。
2種類しかない 「勲章」を独占している男がいる!?
岩出家所属のカワグチミライさん。
「実績の状況は......?」と聞いてみると、「カウンター大好き(10種類のカウンターを自分か自分のパーマネントに持たせる)以外は達成しました。構築段階でこれだけは難しかったんですよね」と、「実績」と「勲章」はしっかり狙ってきたということだった。
「《法務官の掌握/Praetor's Grasp》で相手のカードを唱えまくって、アーティファクトをクリーチャーにして、クリーチャーカードを132枚、プレインズウォーカーカードを8枚コントロールしました!」
残り2ラウンド、この「勲章」を守り切れるのか(他のプレイヤーのデッキは132体以上クリーチャーカードを出せるようになっているのだろうか)、最後まで目が離せない。
『アジア・レガシー選手権2018トライアル』
今年8月18日・19日に開催される日本国内初のエターナル・ウィークエンド。
今回サイドイベントではこのイベントの不戦勝を争うトライアル大会が開催されており、不戦勝が与えられる4-0を目指して定員ギリギリの62名のプレイヤーがしのぎを削っている。
そこであまり見かけない《罰する火/Punishing Fire》が入ったアーティファクトデッキを見かけた。
これはいったいどういうデッキなんだろうかと、プレイヤーにお話を聞いてみた。
フジモトマサキさんの「罰火テゼレッター」
「テゼレッターなんですけど、もうテゼレットにはそれほど寄っていなくって、アーティファクト絡みのプレインズウォーカーデッキみたいな感じですね。
ダレッティや《ダク・フェイデン/Dack Fayden》でもアーティファクトを探せるので、いわゆるソプター・コンボ(《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》と《弱者の剣/Sword of the Meek》コンボ)を揃えたり、《罠の橋/Ensnaring Bridge》を探して、《罰する火/Punishing Fire》で焼き切る勝ち筋になることが多いです。
僕のデッキより相手のデッキの方が面白いですよ」
ハヤキヒロカズさんの「マスクドレッド」
「無色のカードしか入ってないのがこだわりです。
基本的な動きとしては《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》と《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》、《Illusionary Mask》、《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》、《霊気の薬瓶/AEther Vial》などを組み合わせて《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》を早いターンに攻撃に向かわせ、2回殴って勝つデッキです。
《難題の予見者/Thought-Knot Seer》は前方確認用のカードで、《霊気の薬瓶/AEther Vial》と相性のいい《マイアの超越種/Myr Superion》も入っています」
見かけたタイミングによってはエルドラージかな? と思ってしまいそうなデッキだが、なるほど確かな一貫性で早いターンに《難題の予見者/Thought-Knot Seer》という普通のデッキならばメインアタッカーでもおかしくないカードよりはるかに大きいファッティを繰り出すデッキのようだ。
「《Illusionary Mask》、初めて見ましたよ」
お互いのデッキの話をして笑う。
好きなデッキを使い続けられるエターナルの、自分のデッキへの愛と、相手へのリスペクトが確かにあるやり取りを、非常にうらやましく思った。