こんにちは!「BIGs」&「MTG通販Nageya」 の斉田です。
いつもはモダンでお届けしている「50マッチ」ですが、今回は6月10日に行われたRPTQ用に調整をしていたスタンダードでの投稿になります。
RPTQの結果自体はチーム5-2(個人5-2)の20位という可もなく不可もない非常に記事にしにくい成績だったため、チームとしての調整部分は割愛させていただき、私個人の調整記をお届けします。
また、チーム内で使用するパーツが被らないようにデッキを選出したため、チーム用に構築を妥協した点は特にありません。そのまま通常の個人戦スタンダードに置き換えることができますので、 その点はご安心頂ければと思います。
それでは早速行ってみましょう!
0.デッキ選択
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
環境初期から存在する『緑単ガルタ』。このデッキは主軸となる《ラノワールのエルフ》《鉄葉のチャンピオン》《原初の飢え、ガルタ》以外のパーツの選択肢がいくつかあり、色も単色の他にタッチ青や黒などがあります。
私が最初に試したリストはプロツアーで8勝2敗を記録したタッチ青でメインに《暗記+記憶》、サイドに《否認》が採用されたこの形でした。
《立て直しのケンラ》はほぼクリーチャーしか入っていないこのデッキでは擬似的なスペルの役割を兼ねているため見た目より強く、それがきちんと4枚採用されている点や《マーフォークの枝渡り》《翡翠光のレインジャー》などサイズが不安定な探検クリーチャーを採用しない構築は非常に好感触でした。
しかし肝心の色が足されている部分である《暗記+記憶》が、メインだと腐ることがなく頼もしいものの、逆にサイド後は相手の脅威にしっかりと対処したいときも、あくまで一時的な凌ぎ方になるのが弱点でした。
具体的には《スカラベの神》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》、次点で《黎明をもたらす者ライラ》などですね。このあたりにきちんと対処できないとコントロールへの不利は否めません。
メインは一度だけ要所をはじいて無理矢理押し込むで通用することもありますが、相手の除去が増えるサイド後はなかなかそうもいかず。序盤1:1交換を取られ続け、フィニッシャーが着地した時点では相手のライフがほとんど削れていないということもしばしば。その状況で《暗記+記憶》をプレイしても、2ターン後にもう一度出てくるだけという展開になりがちです。
《否認》は『青白コン』に対しては全体除去に対抗できるようになり優秀ですが、『青黒コン』の場合は全体除去がないので役割が《顕在的防御》と近くなり、そこまで《否認》が必須という印象はありませんでした。
加えて「サイドボードの選択肢が少ない」という点も気になりました。 特に緑単でしかお目にかかることのない《自然の流儀》《英雄的介入》《押し潰す梢》などは緑としては良い役割を持っていますが、カード単体では力不足と言わざるを得ず、使わずに済むのであればそれに越したことはありません。
また、これらの問題点はタッチ青だけではなく純正緑単色でも同様のことが言えました。単色のメリットは土地にストレスが無くテンポよく展開ができることですが、それでもトップスピードが上がるわけではないので、これらの問題と向き合うことになるのは変わりません。根本的な対策をしない限りコントロールへの相性は覆らないと感じました。
ちなみに赤系のデッキに対しては、『赤単』であれば特に対策を講じずとも《原初の飢え、ガルタ》の対処手段がないことから少し有利に戦え、『赤黒機体』には残念ながらどう構築しても有利にはならないという感覚でした。チーム戦で考えると色の都合で『赤単』が多くなりそうだったので、「コントロールへの相性」さえ克服できれば立ち位置はそこまで悪くないだろうと判断し、とりあえずここまでに得た情報を整理してみました。
・《スカラベの神》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》への対策が必須
・《否認》には頼らず、メインの戦略と別軸のコントロールに強いカードが欲しい
・《立て直しのケンラ》4枚、探検クリーチャー不採用の感触は良い
・『赤単』には有利。ただし《原初の飢え、ガルタ》が前提なので枚数が多めに欲しい
以上を踏まえて、様々なリストを見比べては試すことを繰り返しながら、最終的に私が組み上げたリストは以下の通りです。
1.デッキリスト決定
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
「メインボードについて」
・《原初の飢え、ガルタ》4枚
『緑単ガルタ』はアグロデッキですが、《原初の飢え、ガルタ》は「1枚コンボ」と捉えるのが正しいのではないかと個人的には思っています。3マナ5/4は「優秀なマナレシオ」ですが、2マナ12/12は完全に「コンボ」の領域です。
デッキは《原初の飢え、ガルタ》が出るように構築されており、このカードにたどり着けるかどうかは(特に赤単や同系には)勝敗に関わることが多いです。複数引いてしまうリスクがあったとしても、逆に手札に来ない場合デッキとしての強さが一段階下がってしまうので、最大枚数の採用になりました。
ちなみに後述しますが、サイド後はほとんどの場合で枚数を減らし、コントロールに当たった場合は4枚すべてサイドアウトします。メインは自分の最大限を目指し、サイド後は全抜きプラン有りというあたりもコンボカードの立ち位置に似てますね。
また《原初の飢え、ガルタ》を3枚に抑えて《冒険の衝動》で疑似的に水増しする方法も悪くはないのですが、ほとんどの場合マナに余裕がないのでキャストターンが遅れることが多く、仮に1マナ浮いた場合は《顕在的防御》を構えたいので2マナ以上の余裕を求められるため採用を見送りました。
・キープ基準14枚
《ラノワールのエルフ》と《キランの真意号》、タッチ黒にしたことで《屑鉄場のたかり屋》までは確定で、最後の枠は《緑地帯の暴れ者》になりました。(他候補は《導路の召使い》《マーフォークの枝渡り》など)
《鉄葉のチャンピオン》や《打ち壊すブロントドン》もいるのに、ただの3マナ3/4バニラの可能性があるクリーチャーを使うのは最初は気が進まなかったのですが、《キランの真意号》に確実に搭乗でき、2ターン目の3/4が《立て直しのケンラ》と《顕在的防御》のバックアップもあって攻めやすいことや単純に赤系に強いことから思いのほか使い勝手が良く採用となりました。
・その他のクリーチャー
《鉄葉のチャンピオン》は文句なし。《打ち壊すブロントドン》も青黒コン以外のほぼ全てのデッキに対して有効なので4枚採用。
《立て直しのケンラ》は2マナですが、2ターン目には出したくないのでキープ基準からは外しています。《原初の飢え、ガルタ》を出すうえで2マナでパワー4相当のカードはとても重要で、《原初の飢え、ガルタ》が4枚採用できるのもこのカードのおかげです。
しかしデメリットもあります。パワーが上がるのはこちらのターン中のみで《不屈の神ロナス》がブロックに回ることが難しくなるため、こちらは枚数抑え目で2枚のみ。
「サイドボードについて」
メインボードはある程度ブン回りに寄せ、コントロールへはサイドから大きく戦い方をシフトすることにしました。
・《栄光の刻》《最古再誕》
言わずもがなの《スカラベの神》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》対策です。《大災厄》や《魔術遠眼鏡》も試しましたが、結局出された後にしっかりと対処するのが一番効率が良いのでこの2種類になりました。
(《大災厄》は『青黒コン』相手であれば場に出た《スカラベの神》を追放できますが『青黒ミッドレンジ』だと他にクリーチャーがいることが多い、といった点も考慮しています)
・《ウルザの後継、カーン》《生命の力、ニッサ》
《キランの真意号》《屑鉄場のたかり屋》プレインズウォーカーのラインがコントロールに強いことは『赤黒機体』が証明しているので、このデッキも全体除去が効きにくい『黒緑ミッドレンジ』にシフトして戦うことが一番有効です。
《造命師の動物記》も強力なカードではあるのですが、サイド後は非生物呪文が増えることと、たくさんカードを引くよりもある程度テンポ良く脅威を展開して相手を追い詰める動きの方が勝率が良かったので不採用になりました。
《秘宝探究者、ヴラスカ》は攻める役割よりも「一度相手の脅威を排除して」という要素が強いプレインズウォーカーです。青白コンにはエンチャントを割れたり《黎明をもたらす者ライラ》に強いのですが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に触れず、青黒コンには《スカラベの神》への回答になっておらず。奥義のライフ1も直接ダメージのないデッキなので活用できずで、残念ながら不採用にしました。
・《導路の召使い》
少し珍しいサイドボードかと思います。役割としては「相手によって弱くなってしまうメインのキープ基準と入れ替えて、キープ基準の枚数減少を抑える」というものです。また、サイド後黒いカードをフル投入する場合の黒マナ補填も兼ねています。
・《天導+先導》
RPTQの前日の大会でそれなりにガルタ同系に当たったので、急遽同系対策を探すことになり、チームメイトがこのカードを見つけてくれました。 決まればきっと勝ちます。(本番は同系には当たりませんでした)
2.対戦結果
29勝21敗(勝率58%)
(先手24回、後手26回)
序盤(タッチ黒でないとき)青黒コンにかなり負けてしまい、トータル勝率が5割を下回っていたのですが、最終的には少し持ち直しました。 トップメタの『赤黒機体』に4回しか当たらなかったのは、私と同様にRPTQに向けて練習していた人が多かったためと思われます。
《巻きつき蛇》がデッキの構造上返しで除去できないので、そこの相性だけは改善できませんでしたが、青白コンにかなり戦えるようになったのは調整の賜物で、RPTQ本番でも4回当たって4-0だったので成果が出てホッとしました。
3.サイドボーディング
最後に簡単にではありますが、主要デッキへのサイドボーディングを書かせていただきます。
『赤単』『赤黒機体』
先手
OUT
3《キランの真意号》、1《原初の飢え、ガルタ》
IN
2《栄光の刻》、1《霊気圏の収集艇》、1《領事の旗艦、スカイソブリン》
後手
OUT
先手と同じ4枚に加えて4《ラノワールのエルフ》
IN
先手と同じ4枚に加えて3《導路の召使い》 、1《生命の力、ニッサ》
《ラノワールのエルフ》を抜くのは賛否両論あるかと思いますが、後手は2ターン目の3マナというメリットよりも1度しかマナを出せない(鎖回しされる)デメリットの方が上回っていると感じています。
『赤黒機体』には《原初の飢え、ガルタ》をもう1枚抜いて、《生命の力、ニッサ》を追加します。赤いデッキはサイド後ピン除去をたくさん増やしてくるので《屑鉄場のたかり屋》や《生命の力、ニッサ》は意外と活躍します。
『青白コン』
OUT
3《緑地帯の暴れ者》、4《原初の飢え、ガルタ》、1《領事の旗艦、スカイソブリン》
IN
2《最古再誕》、3《ウルザの後継、カーン》、2《生命の力、ニッサ》、1《導路の召使い》
《黎明をもたらす者ライラ》の枚数が多そうなら《栄光の刻》を検討しますが、分からない場合は入れない方がベターです。《ラノワールのエルフ》は《燻蒸》を撃たれる前に土地に変わった方が強いので《残骸の漂着》があってもガンガン殴りましょう。
『青黒tテフェリーコン』
OUT
3《緑地帯の暴れ者》、4《原初の飢え、ガルタ》、1《領事の旗艦、スカイソブリン》、4《打ち壊すブロントドン》
IN
2《最古再誕》、3《ウルザの後継、カーン》、3《導路の召使い》、2《生命の力、ニッサ》、2《栄光の刻》
《打ち壊すブロントドン》が効かないので青白より相性は悪くなります。前述の通り黒マナの補填と、青白と違って《残骸の漂着》を撃たれないのでデッキを重くする分マナも純粋に増やしたいという意図から《導路の召使い》をフル投入しています。
『ガルタ同系』
OUT
4《屑鉄場のたかり屋》、2《顕在的防御》、1《緑地帯の暴れ者》
IN
3《導路の召使い》、2《栄光の刻》、1《天導+先導》、1《領事の旗艦、スカイソブリン》
飛行しか通らない場面はあるものの、《霊気圏の収集艇》で決まることは少ないのでそこまではサイドインしなくてもいいと思います。《天導+先導》が炸裂した方は是非ご一報ください。(笑)
4.まとめ
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私自身がこの『緑単ガルタ』を使い始めるとき、参考になる記事や動画を探したところ詳しく掘り下げたものが非常に少なく、デッキを深く理解するまでに時間がかかりました。この記事が今『緑単ガルタ』を使っている方や、これから使いたいと思っている方に少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。それではまた!