【GP千葉2018】グランプリ千葉2018 プロツアー『ラヴニカのギルド』予選 決勝戦 松井 久剛(千葉) vs. 中野 史樹(栃木)

By Yohei Tomizawa



 決勝戦のテーブルに座るのはフレッシュな2人ではなく、豊かな経験と老獪なテクニックを持ち合わせたプレイヤーたちだ。


 千葉の松井はグランプリトップ8入賞、プロツアー6回出場と申し分ない成績をもつプレイヤーだ。練習場所を聞くと、これまでの松井を支え、ともに喜びを分かち合ってきた仲間たちである"及川組"というコミュニティーをあげてくれた。


 準々決勝が終わると、対戦した矢田や矢田の仲間たちは「応援します、絶対抜けてください。」と気持ちを託していた。それは勝った相手だから気持ちを押し付けたのではなく、松井が想いを託すにたるプレイヤーだからこそ、自然と言葉が出てきたのではないか。


 対する中野も何度もプロツアーに出場しており、プロツアー・クアラルンプール2008では25位と好成績を残している。自身の目標のためにプレイヤーとして、同時に10年以上前から栃木のコミュニティー全体を支え、育てる中心人物として活動している。主催者としてイエローサブマリン宇都宮店協賛の元開催されている「あかつき杯」は、129回を数える。中野は単なる栃木のプレイヤーの1人ではなく、栃木コミュニティー全体を支えるプレイヤーなのだ。


 これから行われるのは、若さによる勢いやトップデッキによるカード同士のぶつけ合いではない。テクニックと思考、バランスといった熟練のプレインズウォーカーたちだけがもつ、独特の美技に酔いしれよう。



決勝.jpg

Game1


 後手の中野が《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》でクロックを刻むと、松井は《夜の子/Child of Night》を召喚。しかし《ゴブリンの扇動者/Goblin Instigator》が召喚されたことで、ダメージレースは一方的なものとなってしまう。


 黙ってみているわけにはいかない。《夜の子/Child of Night》でトークンと相打つと、3マナ立てたままエンド。中野も理解しており、《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》のみで攻撃し、《ロクソドンの戦線砕き/Loxodon Line Breaker》を追加。このエンドに松井は《雇われ刺客/Hired Blade》を瞬速で。


 自身のターンに入ると松井は《雇われ刺客/Hired Blade》で3点ダメージを与え、タフネス2のクリーチャーに効果的な《夜の子/Child of Night》を追加。中野はテンポ的には不利な交換を受け入れ、《ロクソドンの戦線砕き/Loxodon Line Breaker》をおかわり。


 小粒なクリーチャーたちの交換に終止符を打つべく松井は《威厳ある血王/Regal Bloodlord》を召喚する。中野はこれを対処できるのだろうか。


 中野の結論はフルアタックからの《ヴィーアシーノの紅蓮術師/Viashino Pyromancer》でライフを攻めるのみ。シナジーの基点となる《威厳ある血王/Regal Bloodlord》は生き残ったのだ!


 ここで《ドワーフの僧侶/Dwarven Priest》で2点ゲイン、2点クロックを刻みだす。ライフを得たことでターンエンドにトークンが生成された。


 凶悪な吸血鬼を前に、隼も飛行を止める。松井は躊躇なく《威厳ある血王/Regal Bloodlord》をレッドゾーンに送り出すが、《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》がブロックし《確実な一撃/Sure Strike》を合わせると、見事なジャイアントキリング。


 しかし、しかしだ。強力な《威厳ある血王/Regal Bloodlord》を失ったというに松井は全く慌てたような素振りを見せない。理由は第2メインに明らかにされ、《グレイブディガー/Gravedigger》が回収を果たした。


 《威厳ある血王/Regal Bloodlord》の召喚を挟み、再びレッドゾーンに送られると、《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》でブロックから《確実な一撃/Sure Strike》のデジャブ。違ったのは、スタックして松井が《悪夢の渇望/Nightmare's Thirst》をプレイしたことだ。これにより一方的な2対1交換が実現し、ライフを得たことでトークンまで生成されてしまう。そして《レオニンの先兵/Leonin Vanguard》をが追加されることで、不確実だったトークンが、《苦花/Bitterblossom》よろしく半自動的に行われることに。


 《ショック/Shock》で元を断つ頃には、空を埋め尽くすコウモリの群れが。上空からの5点クロックを前に、中野は対処手段を持たなかった。


松井 1-0 中野



Game2


 《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》と《吸血鬼の新生子/Vampire Neonate》とそれぞれのデッキを代表する1マナ域からゲームはスタート。《ロクソドンの戦線砕き/Loxodon Line Breaker》、《夜の子/Child of Night》を追加すると、4ターン目にして中野は悩む。
 松井の場は2体の小粒クリーチャーだが、土地は3枚ともアンタップ。《爆発性の機器/Explosive Apparatus》にしろコンバットトリックにしろ、先にキャストし重ねられればカウンターパンチの要領で不利になりかねない。コンバットトリックを構えながら動くため《騎兵隊の教練官/Cavalry Drillmaster》で《ロクソドンの戦線砕き/Loxodon Line Breaker》をパンプアップすると、堪らず《夜の子/Child of Night》がチャンプブロック。チャンプした《夜の子/Child of Night》を《グレイブディガー/Gravedigger》で回収し、カードカウント的に損をしない取引。


 ここで松井の場がフルタップのため《爆発性の機器/Explosive Apparatus》で《グレイブディガー/Gravedigger》を除去し、一気に14までライフを詰める。


 だが《夜の子/Child of Night》、《組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton》が配備されると、クロックを刻めるのは《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》のみとなってしまう。
 クロックがスローダウンしたことで《威厳ある血王/Regal Bloodlord》を召喚する余裕ができ、《夜の子/Child of Night》がアタックすることでコウモリが生まれた。


 《ドワーフの僧侶/Dwarven Priest》によりライフは21まで回復した返しに、中野は自身の大会名を冠した《暁の天使/Angel of the Dawn》で《ロクソドンの戦線砕き/Loxodon Line Breaker》2体を攻撃に送り出すが、マナはフルタップ。松井は盤面で相打つことを選択し、すっきりした盤面に。


 松井は《威厳ある血王/Regal Bloodlord》のおかげでじわじわ戦線を拡大していくのに対し、中野の手札にはコンバットトリックばかり。《暁の天使/Angel of the Dawn》へ《騎士の勇気/Knightly Valor》をエンチャントし攻勢に出るが、《威厳ある血王/Regal Bloodlord》がコウモリを引き連れブロックすると《異様な忍耐/Abnormal Endurance》も合わさり、盤面・カード枚数でも一気に不利に。


 遅れながらも《感電/Electrify》で《威厳ある血王/Regal Bloodlord》を除去するが、《グレイブディガー/Gravedigger》戦場へと呼び起こす。更に2枚目となる《威厳ある血王/Regal Bloodlord》召喚されると、トークンの生成速度が倍化。《吸血鬼の新生子/Vampire Neonate》が輝きだす。


 中野の上空を守るのは、《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》のみ。ブロックをすり抜け3点、5点とクロックが刻まれる。除去も、追加戦力もなく、ただただ受けるしかない。そして。


 《威厳ある血王/Regal Bloodlord》が遂にレッドゾーンに送り出され、これを《錆色翼の隼/Rustwing Falcon》がブロック。《確実な一撃/Sure Strike》で一方的に打ち取るが、松井がキャストした《力強い跳躍/Mighty Leap》は盤面の有利不利ではなく、松井への勝利を届けるものだった。


松井 2-0 中野


優勝.jpg


プロツアー『ラヴニカのギルド』予選、優勝は松井 久剛!おめでとう!!


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