【マジックフェスト・京都2019】 土曜ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選 第2回戦:岡井 俊樹(東京) vs. 河野 融(福島)

By Yohei Tomizawa


 グランプリ本戦も折り返しに差し掛かるころ、裏・本戦ともいえるイベントが開始しようとしていた。ミシックチャンピオンシップへと至るもう一つの道、ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選だ。本戦での権利獲得を目指したものの残念がら成績が振るわず、ドロップを余儀なくされたプレイヤーたちがここへ集結している。


土曜・開始前.jpg

 岡井 俊樹もその一人だ。スタンダード神の称号こそ高橋 優太に奪われたものの、スタンダードというフォーマットを彼抜きにして語ることはできない。プレイはもとよりデッキ構築で、過去には神として試合の解説で、スタンダードへの造詣の深さを示してくれた。岡井は、彼が彼たるフォーマットへと再び挑む。


 対戦相手の河野 融は宇都宮 巧を中心とした東京近郊の競技プレイヤー集団"Tsukisashi Pros"の一人だ。私生活の変化により福島へ転居となったため実際の練習こそ困難となってしまったものの、これまでのコミュニティーの力と新たな電脳ツールMTGA(マジックアリーナ)を駆使して、腕を磨いてきた。

 これより2人が行うのは、「スゥルタイミッドレンジ」のミラーマッチ。ドローやプレイだけではなく、長期的な視野とバランス感覚、根気と集中力も要する複雑なマッチアップだ。


土曜・ラウンド2.jpg

:ゲーム1

 「スゥルタイミッドレンジ」のミラーマッチは複雑なゲームだ。ゲームレンジにおいて核となるカードは変わり、相手の選択肢によりゴールも変化する。

 互いに《マーフォークの枝渡り》を召喚し合うと、小粒なクリーチャーが並び合う序盤戦。河野が《野茂み歩き》をコントロールしていたものの、《マーフォークの枝渡り》にスタックして《ヴラスカの侮辱》がキャストされると、膠着を見せる。

 こうなると次は消耗戦だ。岡井は先手の利を活かし《ビビアン・リード》をキャストし、《ハイドロイド混成体》を牽制する《人質取り》を手札へと加える。後手に回っている河野に選択肢はない。《ビビアン・リード》を放置するわけにもいかず、《ヴラスカの侮辱》をキャストするとタップアウト。盤面に変化は起きない。

 早くも岡井は目指すべき道筋を見極める。対抗手段の限られる《殺戮の暴君》を召喚し、除去のバックアップの元押し切ろうというのだ。


殺戮の暴君.jpg

 兎も角《殺戮の暴君》を対処しないことには未来はない。相打てるならばベストだが河野の手札にこれはなく、やむなく《人質取り》で岡井の《マーフォークの枝渡り》を奪い再召喚、頭数を増やしておく。パワーの合計値は6を示し打ち取れるものの、先ほどの《ビビアン・リード》により《人質取り》が見えている。

 岡井は《人質取り》で河野の《人質取り》を奪うと、太古の覇者がレッドゾーンを駆け巡り、河野のライフは11へと落ち込む。

 河野は《殺戮の暴君》か《ハイドロイド混成体》を引き込み場を膠着させたいところ。《ビビアン・リード》をキャストするも、ここでは《ラノワールのエルフ》と《培養ドルイド》を並べるしかなく、パワーラインは6へと届かない。

 《ビビアン・リード》こそ《殺戮の暴君》と《人質取り》のアタックにより屠り、一方的な盤面を作りつつある岡井も問題を抱えていた。ここまで何度も探検を繰り返してきたが、《ハイドロイド混成体》といったリソースを確保できるカードに巡り合わないのだ。

 そこへ河野は《ハイドロイド混成体》をX=6でキャストすることに成功。手札を盤面へと還元できれば優位に立ちそうだだ。

 ここで岡井は割り切ってフルアタックを敢行すると、《殺戮の暴君》と《ハイドロイド混成体》が、《翡翠光のレインジャー》のと《マーフォークの枝渡り》が、《マーフォークの枝渡り》と《ラノワールのエルフ》がそれぞれ相打ち、ライフは9へと落ち込んだ。岡井が追加できたのは《ラノワールのエルフ》2体と寂しく、狙ってというよりもこれ以上リソースゲームでは勝負にならないため無理矢理削りきるプランのようだ。

 《殺戮の暴君》を耐えきった河野は順次探検クリーチャーを展開し、盤面を押し戻す。次のターンのアタックでライフは5まで落ち込むも、《人質取り》を残す程度となった。

 だがここで岡井は再び《ビビアン・リード》へとたどり着く。2度起動しても《ハイドロイド混成体》に出会えない岡井はクリーチャーを手札へと加え、忠誠値を高めることで数の暴力で押し切ろうと画策する。

 ハイドロイドレスながら、河野が《ヴラスカの侮辱》キャストできなかったこともあり、岡井の戦線は横に広がり続け忠誠値は奥義の8へと到達。そしてここで手札へと加えたのは《人質取り》。更に《採取+最終》により再召喚された《殺戮の暴君》と《翡翠光のレインジャー》がプレッシャーをかける。盤面を再構築しつつ、探検により《喪心》がデッキトップへと置かれる。

 次ターンに確定している《喪心》と《人質取り》。《ビビアン・リード》は奥義を満たしている。

 同時に3つへの解答を持ちえず、河野は投了を宣言する。

岡井 1-0 河野



ゲーム2

 河野は《ラノワールのエルフ》を最大限活用し、続くターンには《翡翠光のレインジャー》を召喚、ここでは《殺戮の暴君》が公開されたデッキトップへと固定した。先手、更には《ラノワールのエルフ》の影響で相手よりも1ターン速くこのファッティを着地させることが可能なのだ。

 岡井は2ターン目に《マーフォークの枝渡り》を召喚すると、マリガンぶんを埋めるが、3ターン目に河野はこのゲームを更に加速させる。4ターン目に《殺戮の暴君》の意思表示と《培養ドルイド》を召喚したのだ。

 マナクリーチャーを除去することができず、岡井はドローゴー。《殺戮の暴君》を受け入れるしかない。

 それでも《人質取り》で《翡翠光のレインジャー》を奪い、リソース面で優位にたてるかと思うも、河野は《採取+最終》をキャストする。

 ゲーム1の熱戦が嘘のように、5分もかからず終了した。

岡井 1-1 河野



ゲーム3

 ゲーム2に続き、再び手札をデッキへと戻した岡井。動くのはいつでも後手の河野の《ラノワールのエルフ》から。

 岡井は《マーフォークの枝渡り》を召喚すると探検により土地を手札に加えマリガン分を埋める。だが、さきほどと違い河野は《ラノワールのエルフ》を活かしきれず、ドローゴー。

 《マーフォークの枝渡り》が淡々と殴り続け、2号機が登場するも河野はまたもドローゴー。気が付けばライフは14まで落ち込んでいる。

 4マナでも動かないため、先ずは河野の《ラノワールのエルフ》へ《喪心》をキャストし、更に1ターンを得ると自身も《ラノワールのエルフ》を。

 ここまで防戦一方の河野は《人質取り》を召喚し、召喚されたばかりの《ラノワールのエルフ》を奪う。

 これにより《マーフォークの枝渡り》ビートは小休止となるも、次は上空からと岡井は《ハイドロイド混成体》はX=3。河野は奪った《ラノワールのエルフ》を召喚すると、4枚の土地をアンタップしたままターンを返す。

 岡井は上空から3点を与え、ここまで全てのゲームを決めている《殺戮の暴君》を投入。このエンドに《喪心》によりハイドラは除去されるが、根本的な解決にはなっていない。

 河野は《ビビアン・リード》で《ハイドロイド混成体》を手札へ加えるもライフは11と心許なく、岡井が《人質取り》をキャストし、河野の《人質取り》を奪う。《殺戮の暴君》、《マーフォークの枝渡り》2体の計3体はプレインズウォーカーではなく河野自身を強襲する。

 河野は《ビビアン・リード》を起動し引き込んだのは《人質取り》。これにより岡井のクリーチャーの頭数を減らし、《殺戮の暴君》を耐えるギリギリのプランを画策するも、無情にも岡井も《人質取り》を提示するのだった。


岡井 2-1 河野


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