By Riku Imaizumi
こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第13回です。
面白いデッキリストを見る機会が減ってきた昨今、
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
今回はなんと《ニヴ=ミゼット再誕》特集!!
スタンダード、パイオニア、モダンの3フォーマットから、一つずつ紹介していきますよ!
もちろん、既存の《ニヴ=ミゼット再誕》デッキとは一味違ったデッキリストたちです。
スタンダード:《ニヴ=ミゼット再誕》・正統派
スタンダードでの《ニヴ=ミゼット再誕》デッキといえば、変わり種ばかりでした。
記憶にあるものは、《魔女のかまど》+《パンくずの道標》デッキと組み合わせたタイプや、MPLプレイヤー・行弘賢選手がミシックチャンピオンシップⅦで使用したタイプ。これらは2色の組み合わせが3~6種類しか入っておらず、「《ニヴ=ミゼット再誕》でとにかくたくさんカードを増やしたい!」というよりも「強いカードやキーカードを引けるから《ニヴ=ミゼット再誕》を使う」というような構築思想が見えていました。
一方、WPNプレイヤーズツアー予選Top8に入ったこちらのリストは違います。
Designed by Mito Yusuke
2色の組み合わせ、実に8種類。しっかりメインボードからこれだけの種類数が確保されています。
さすがに10種類コンプリートとはいきませんが、《ニヴ=ミゼット再誕》から8枚ドローできる可能性があると考えれば十分でしょう。おそらく平均でも3枚程度、上振れれば簡単に5~6枚引けるはずです。
デッキの構造は《創案の火》をベースとしています。
5枚の土地がある状況であれば、土地から4色しか出せない状況でも《ニヴ=ミゼット再誕》をプレイできるようになります。一種の《彩色の灯籠》のような役割を担えるわけですね。
《ヴァントレス城》は入っていませんが、《創案の火》状況下でのマナの使い道は2種類用意されています。
どちらも起動を続けられればそれだけでゲームに勝てるようなカードたち。
特に《帰還した王、ケンリス》は(2色のカードではないということを除けば)このデッキに本当に最適な一枚です。
1. 《創案の火》がある状況で《帰還した王、ケンリス》をプレイ
2. 5番目の起動型能力で《ニヴ=ミゼット再誕》を墓地から場に戻し、その能力でデッキトップから2色のカードをかき集め、その中から一枚をそのままプレイ
3. 《帰還した王、ケンリス》の1番目の能力で速攻を付与し、11点分のアタック
この時に《狼の友、トルシミール》を手札に加えられれば、実に17点分のダメージをたたき出せることになります。ほとんどゲームが決まるレベルのダメージを(《創案の火》状況下であれば)《帰還した王、ケンリス》一枚で達成できるのです。
なお、《帰還した王、ケンリス》の5番目の能力は、《秋の騎士》や《狼の友、トルシミール》など《ニヴ=ミゼット再誕》以外のクリーチャーも場に戻すことができ、応用が効きます。サイドボードの《拘留代理人》も相性が良いですね。
採用されている2色のカードについては現環境に適応したカードを選んでいるのでしょう。多数採用された《秋の騎士》、《戦争の犠牲》からその狙いを読み取れます。
《魔女のかまど》《パンくずの道標》《幸運のクローバー》《創案の火》など、メタゲームのトップを走るデッキには多数のエンチャントやアーティファクトが採用されていますので、腐るシーンはほとんどない......むしろ活躍するシーンばかりのはずです。
また、エンチャントに触れるカードはこのデッキならばより有効活用できます。それは自分の《創案の火》の呪文プレイ制限をリセットしたいとき。
《創案の火》が置いてある状態で《ニヴ=ミゼット再誕》をプレイ。能力で《戦争の犠牲》と他の呪文を回収した場合、通常はもうひとつしか呪文を唱えられませんが、《戦争の犠牲》で自分の《創案の火》を巻き込んで破壊してしまえば、《創案の火》の呪文プレイ制限がなくなります。最後の押し込みに有効です。
これと同様のことは、《秋の騎士》や《時を解す者、テフェリー》でも可能です。
ちなみに、デッキに使われていない2色の組み合わせはラクドスとイゼット。
これらのカラーリングのカードは現環境では合っていないと思われますが、メタゲームが変われば採用されることはあるでしょう。
採用候補となるものを記載しておきます。
《戦慄衆の解体者》、《王家の跡継ぎ》は、特にサイドボードからクリーチャーを増やすのが有効な環境で役に立つでしょう。
パイオニア:《ニヴ=ミゼット再誕》・ in タルキール
Designed by Ajitomi Takeshi
『タルキール龍紀伝』のエルダー・ドラゴンたちは、みな有効色の2色でした。
2色ということは、《ニヴ=ミゼット再誕》の能力の対象である。
そして何より、《ニヴ=ミゼット再誕》もドラゴン。ということは、サポートカードを共有できます。
専用ドロー能力が付属したマナ・アーティファクトに、専用のマナを生み出すプレインズウォーカー、そして専用5色土地! デッキコンセプトをドラゴンで揃えることにより、これらの恩恵をフルに受けられます。
5色デッキではありますが、これだけマナ・サポートがあればそんなに事故を起こすことはないでしょう。
ちなみに本デッキリストの5色地形は《精霊龍の安息地》4枚と《マナの合流点》2枚に抑えられていますが、部族土地の《手付かずの領土》という候補も存在します。現時点で最大12枚の5色地形を運用できるので、軽量なドラゴンさえ獲得できればもっとドラゴンに寄せたデッキを組めるかもしれません。
他にも興味深いドラゴン・サポートが採用されています。
ドラゴンが速攻を持つ《龍の大嵐》。《ニヴ=ミゼット再誕》が6点速攻で攻撃を行うのはもちろん、《龍王オジュタイ》や《龍王ドロモカ》が速攻を持つと追加のカードやライフを獲得できますね。速攻を付与できるカードが他にも使われている(《混沌をもたらす者、ドムリ》)ところを見るに、重要な能力なのでしょう。
ドラゴン召喚時のダメージも見逃せません。接死を持つ《龍王シルムガル》なら確定で相手のクリーチャーを破壊できます。
《開拓地の包囲》はマナ加速と除去のどちらもできる便利な一枚。《森の女人像》から3ターン目にプレイすると、次のターンには《龍王アタルカ》に届きます。
黒・赤・緑のジャンドカラーを中心としているためか、《ニヴ=ミゼット再誕》の採用枚数は1枚と控えめ。しかし《ニヴ=ミゼット再誕》の後から龍王たちが登場するのは非常に楽しそうです。
ちゃっかり《破滅の龍、ニコル・ボーラス》も入っています。
モダン:《ニヴ=ミゼット再誕》・with サヒーリ・ライ
モダン環境の《ニヴ=ミゼット再誕》といえば、《パルンズの柱》や《アーカムの天測儀》をマナ・ベースに組み込んだタイプが一般的。大会でも時折見かけるくらいには有名なデッキでしょう。
しかし、今回紹介するのはちょっと違ったコンセプトのデッキです。
Designed by forenmagra from Magic Online
サヒーリ・コンボに《ニヴ=ミゼット再誕》が組み込まれたようなデッキリスト。
《ニヴ=ミゼット再誕》の採用枚数も一枚となっており、メインとなるのは《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》のコンボのようです。
デッキ誕生のきっかけは、恐らく《白日の下に》をより強く使えないかという発想でしょう。
このカードは《守護フェリダー》や《鏡割りのキキジキ》、《詐欺師の総督》をサーチできるため、コンボ・デッキそのものには非常にマッチします。一方で、コンボパーツがデッキの大半を占めてしまうと、単体で強いカードが少なくなってしまうという欠点があります。
コンボパーツを引けていない時に《白日の下に》一枚が手札に来ても何もできない......そんな状況を緩和するための《ニヴ=ミゼット再誕》。《白日の下に》から《ニヴ=ミゼット再誕》を呼べば、6/6飛行が場に残りながら《サヒーリ・ライ》や《時を解す者、テフェリー》、そして2枚目の《白日の下に》を手札に加えられるのです。
コンボパーツをかき集める役割を持ちながら、6/6飛行という頼もしい戦力になってくれます。
《守護フェリダー》や《サヒーリ・ライ》のコピーやブリンク能力の対象としても素晴らしいですね。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。