BIGs 松本友樹『ゼンディカーの夜明け』ドラフトガイド

『ゼンディカーの夜明け』 ドラフトガイド


目次



0.はじめに
1.『ゼンディカーの夜明け』環境について
2.各色について
3.各アーキタイプについて
4.余談:MTGアリーナとMOとリアルの違いについて
5.終わりに





0.はじめに


お久しぶりです。松本友樹です。
今回も何とかドラフトガイドの記事を書くことができました。少々長くなってしまいましたが、お付き合い頂けますと幸いです。


また、この記事はBO3かつドラフトピックを行った相手とのみ対戦を行う特殊な対戦形式(いわゆるリアルドラフト)を前提とした記事になっています。
リーグ形式(ピックした相手と戦わないMOリーグやMTGアリーナのプレミアドラフト形式)や、BO1のゲームとは異なる可能性がある点ご注意下さい。
基本はあまり変わらないかと思っていますが、参考程度にご覧下さい。


 



1.『ゼンディカーの夜明け』環境について


『ゼンディカーの夜明け』ドラフトは、私が知っているこれまでのドラフトと大きく違う点があります。それは「多くの色がアーキタイプを2つ持つ」ということです。例えば青緑ならキッカー、赤緑なら上陸、白黒ならクレリックといったように、通常、2色の組み合わせは1つのメインテーマをアーキタイプとして持っています。


しかし今回はそれだけにとどまりません。各カラーリングのテーマに加えて、多くの色が「パーティー」というアーキタイプを併せ持っているのです。その為、各カードの評価も普段と大きく異なります。


『ゼンディカーの夜明け』は以下の3種類のカードで構成されています。


・パーティー用カード
・(キッカーなどの)各アーキタイプ用カード
・関係のないカード


少し細かく説明すると、パーティー用カードとは《共同突撃》のようにパーティー中心に組まなければ使えないような狭いカードではなく、《岸壁安息所の売剣》のようにただ種族がパーティーに関連するカード、というところまで含んでいます。アーキタイプ用カードはそのまま普段通りなのでわかりやすいですね。それらと関係のないカードとは《生ける嵐》のように、種族も能力もこれらに一切関与しないカードとなります。


ZNRdraft 34.jpg


ここで重要なのは、パーティー用カードが多いならパーティー用カードを中心にピックすること、またアーキタイプ用カードが多いならアーキタイプ用カードをピックすることです。シナジーが無いデッキよりシナジーが豊富なデッキがより強いのは当然ですし、高レアリティのカードもきちんと噛み合うデッキで使って初めて強力なカードとして機能します。


アーキタイプを絞ってピックを行うということは、結果的により強力なカードを手に入れることに繋がります。パーティーか色アーキかを決めず、受けの広さを重視して「関係ないカード」ばかりを集めていると、最終的に、逆に受けが狭くなってしまうのです。


《生ける嵐》あたりは非常にわかりやすいと思います。色んなセットに入っている5マナ3/3瞬速飛行、特別弱いカードではありません。5マナ域として悪くないカードです。しかし、この『ゼンディカーの夜明け』においてはこのようなカードの評価を下げるべきです。「関係ないカード」とパーティーデッキを組んでいるときの「各アーキタイプ用カード」(又はその逆)は「上手く組めた時にノイズになるカード」です。この「上手く組めた時にノイズになるカード」は極力レアリティの高いただ強いカードや、マナカーブを埋める為に取っておく方が良いです。


早いタイミングで取ってしまうと最終的に無駄なピックになってしまうことが多々ありますし、最悪の場合色判断を間違える要因になってしまいかねません。ピックをするときは「どの色のカードが流れてきたか」よりも「どのアーキタイプのカードが流れてきたか」を重視すると良いでしょう。


 
本来ドラフト環境においてアーキタイプは10個程度しかありません。このアーキタイプとは色で明確に区切られているため、上下との色被りは忌避すべきものです。上家との2色被りは言語道断ですし、上下に囲まれての3兄弟次男はもう0-3必至です。


しかし『ゼンディカーの夜明け』では極端に言えばアーキタイプが20個存在します。上家と2色同じ色で被ってしまってもアーキタイプが異なればカードは手に入るのです。逆に色が異なっていてもアーキタイプが重なってしまえば流れてくるカードは限られてしまいます。


普段よりも多くのアーキタイプがある『ゼンディカーの夜明け』環境では、とにかく卓1を目指します。実際のところ、これだけアーキタイプがあるので適当にピックしても卓1になり易かったりします。勿論被ってしまうこともありますが・・・。その場合、それを察知して避けることも難しくありません。


例えば《コーの祝賀者》《目覚めし激浪》《ハグラの締めつけ蛇》《アクームのヘルハウンド》あたりは特定のアーキタイプ以外ではプレイアブルとは言い難い性能のカードです。


ZNRdraft 33.jpg


こういった特定アーキタイプ用のカードが1-1で放流したのに帰ってこないのであれば、卓のどこかと被っていることがわかります(逆にこれらのカードが1周したなら、そのアーキタイプは空席ということでもあります)。そして1周までで有力なカードが取れていないのであれば上家かその上と被っています。今すぐ色・アーキタイプを変更すべきです。


このまま続行した場合、1パック目と3パック目を捨ててしまったに等しい結果になってしまいます。1周までで有力なカードを多数ピック出来ていたのであれば、すぐ下かその下あたりと被っています。この場合、2パック目に全く期待できない事を考慮した上で続行するか色替えするかを考えましょう。


通常色替えには大きなリスクを伴いますが、この『ゼンディカーの夜明け』環境は比較的リスクは少なめです。1周の結果を見て色替えするという事は、そのまま1パック目を捨てることに他なりません。そして2パック目で色替えという選択が間違っていたことが判明した場合、取り返しがつきません。しかしアーキタイプが空いているか被っているかどうかを高い精度で確認しやすいこの環境であれば、結局のところ1パック目を捨てるか2パック目を捨てるか、どちらが良いかを選ぶ行為でしかないのです。


1パック目で十分に優れたカードがピック出来ているなら2パック目を捨てて続行すべきですし、1パック目がそうでもないなら、1パック目を捨てて色替えした方がお得です。そうして1パック目を全力で見に回し、卓1のポジションを確立しましょう。それがこの環境で目指すところです。


 
長くなってしまいましたが、とりあえずピックするときは
・パーティー用カード
・各アーキタイプ用カード
のどちらかを集中してピックすることで、強力なデッキを組みやすくなる、とだけ覚えておいてください。


 


もう1つ、『ゼンディカーの夜明け』ならではの要素を忘れていました。両面土地カードについて、です。


『ゼンディカーの夜明け』環境では土地はどのくらい入れればいいの?と質問されることがありますが、現時点で私が持つ回答は以下の通りです。
・両面土地が0枚なら通常通り、16~18枚
・上陸があって両面カードが3~5枚程度あるなら土地枠20
・上陸が無いがキッカーがあり両面カードが3~5枚程度あるなら土地枠19
・両面カードが少ないか0で上陸があるなら土地枠19
・両面カードが少ないか0で上陸がなくキッカーがあるなら土地枠18


また、両面カードは全て土地換算するわけではありません。
カザンドゥのマンモス》や《ハグラの噛み殺し》のようにスペルとして強力なカードの場合、土地としてプレイすることはほぼ無いので完全にスペルとしてカウントします。一方《巨森の補強》や《ベイーンのヴェール》のように、プレイしてもカード1枚分の働きを行えない場面が予想されるカードは土地換算します。


ZNRdraft 32.jpgしかし完全に土地換算するとタップインで不都合が出たり実際にプレイした際にマナスクリューを起こしたりと様々な問題を引き起こすため、これらのカードが複数枚あるときは土地0.5枚分として換算しています。これは『ゼンディカーの夜明け』環境に限りませんが、ドロー呪文がある程度入っていれば土地の枚数を減らすことができます。今回、キャントリップやルーティングが多めに収録されているので少し注意が必要です。


*これら(そしてこの先の記述も全て)現時点での考えであるという点にご注意下さい。今後のやりこみ次第で答えが変化することは十分に考えられるため、あくまで参考程度にご覧頂けると幸いです。


 



2.各色について


ここでは各色がどれくらいパーティーを組みやすいかについて、またそれ以外のアーキタイプがどんな種類なのかを説明しつます。それぞれ各色がどのような特徴を持っているかを理解して頂くことで、ピック段階から一貫性を持ったデッキが組みやすくなるはずです。


尚、ここでいうパーティー要素とはパーティーデッキをどのくらい組みやすいかを表しています。パーティー関連カードの枚数が多かったり強かったりしてもパーティーになり辛い場合は低いと表し、パーティー関連カードが少なかったり弱かったりでもパーティーを作りやすい、パーティーになり易いのであれば高いと表現します。


初手級のコモンについても記載します。基本的にこのクラスのカードが4手目あたりで流れてくれば上家からのサインとみて良いでしょう。そのカードが示すアーキタイプ、色が空いていると判断できます。


 
【白】
パーティー要素:高
主要部族:クレリック、戦士
アーキタイプ:クレリック(白黒)、戦士(白赤)、上陸(白緑)


パーティーがメインのカラーリング。多くのカードがパーティーに関連しており、2色の内に白があるとパーティー要素が滲み出てしまいがち。しかし「白黒クレリック」、「白赤戦士」でのパーティー要素はデッキを弱くする大きな要因になります。この2つにはパーティー専用カードは全く入らないくらいが望ましいと言えます。


デッキとしてのパーティーは白青で組むのが望ましいですが、白黒・白赤・白緑いずれもカードの出方・取れ方によっては成立します。あと白緑はデッドカラー。極力避けましょう。


ZNRdraft 01.jpg


初手級のコモンは《英雄たちの世話人》。パーティー関係なく強力なカードで、何枚でも欲しいカードです。


  
【青】
パーティー要素:中
主要部族:ならず者、ウィザード
アーキタイプ:ならず者(青黒)、ウィザード(青赤)、キッカー(青緑)


複数のアーキタイプで求めるカードが重なりやすいカラーリング。逆に言えば受けが広いカードが多いとも言えますが、求めるカードが重なりデッキパワーが落ちやすいところに注意が必要です。


パーティーデッキではリターンのあるカードがコモンにないため、相方の色に依存します。特にコモンでのリターンが小さい黒・緑とはパーティーで組むメリットが薄く、パーティーを軸とするなら青白で組むのが理想です。


ZNRdraft 02.jpg


初手級のコモンはありません。強いて言えば《乱動への突入》《泡の罠》あたりですが、アーキタイプカードを優先してピックした結果流れてくることが多いので、4手目くらいで来てもあまりサインにはなりません。もうちょっと遅いタイミングで来たらサインだと思っても良いでしょう。


 
【黒】
パーティー要素:低
主要部族:ならず者、クレリック
アーキタイプ:クレリック(白黒)、ならず者(青黒)、+1/+1カウンター(黒緑)


THE・最強カラー。近年でも稀と言えるほどに除去が充実しています。クリーチャーの質は全体的に低めですが、アーキタイプ毎に使い分けて最大値を発揮させてあげればそれぞれが強力なカードとして運用できます。


逆に言えばアーキタイプがごちゃごちゃになってしまうとパワー不足になりがち。除去から入ったものの色が混んでしまい、とりあえず取った肉で何とか枚数だけは・・・という流れには要注意。黒のパーティー用カードは全て、パーティーで使わなくても非常に強力。パーティーデッキ以外にもどんどんピックされてしまうため、黒いパーティーデッキを狙うのは難しかったりします。


ZNRdraft 03.jpg


初手級のコモンは《命取りの協力》。アンコモンまで見ても最強の除去かもしれませんね。4手目で流れてくることはほぼありません。


  
【赤】
パーティー要素:高
主要部族:戦士、ウィザード
アーキタイプ:戦士(白赤)、ウィザード(赤青)、上陸(赤緑)


乱動の噴火》という強力な火力を持ちますが、クリーチャーはどれも一癖あるものばかり。色の特徴としては黒と近く、アーキタイプをしっかりと意識して各カードの最大値を発揮させてあげる必要があります。そしてどのアーキタイプも一癖あり、上手く使うのが難しいカラーと言えるでしょう。


パーティーカードは集めれば強く、種族さえ散っていれば赤単でもそれなりに力を発揮します。赤いアーキタイプが失敗しやすいのもあり、赤が濃い失敗アーキでは中途半端なパーティーデッキになることが多々あります。


パーティーとしての理想は赤黒。どちらも除去が強く色の許容量に対して混みやすいカラーリングですが、上手く組めれば強力です。


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初手級のコモンは《乱動の噴火》。


 
【緑】
パーティー要素:低
主要部族:全部
アーキタイプ:キッカー、+1/+1カウンター、上陸


アーキタイプに関連するカードはどれも優秀で、逆にパーティー要素が薄めなカラーリング。ユーティリティーなカードも優秀で、個人的にかなり評価している色です。


パーティーに関しては、種族を揃えるだけならば一番簡単な色だったりします。しかし種族を揃えたリターンが一番薄い色・・・というかまともなリターンが《結束の力》しかありません。
それも非常に使いづらく、というかレアケースでしか強く運用できません。ということで緑を含むパーティーデッキはもう片方の色に強く依存します。強いデッキになるためには、概ねアンコモン以上のカードが複数要求されるでしょう。


ZNRdraft 05.jpg


初手級のコモンは《狂気の一咬み》。緑という色は除去が極端に少なく、大抵のアンコモンでは代替できません。そのためこのカードが4手目以降で流れてくるという事はアーキタイプを問わず緑が空いていることを表しています。


 



3.各アーキタイプについて


アーキタイプの強弱は以下の通りの順番です。


1:「白黒クレリック」「青黒ならず者」「黒赤パーティー」
2:「赤緑上陸」「黒緑カウンター」
3:「白赤戦士」「青緑キッカー」「青赤ウィザード」「白青パーティー」「白赤パーティー」
4:「白緑上陸」「青赤キッカー等」「白黒パーティー」


ただし卓1の「白赤戦士」>卓2の「白黒クレリック」くらいの温度感。強いアーキタイプに固執したり決め打ちしたりするより、柔軟に空いている色に入るのが望ましいと考えています。


 
【白青】
主要アーキタイプ:パーティー


「白青パーティー」
白青パーティー.png


一番わかりやすいパーティーデッキ。基本的には白をやっているときに青含むパーティー用高レアリティカードが流れてきて・・・という流れでなりやすいデッキです。


「白青パーティー」に行ける!と思えるサインとなるのは《エメリアの隊長》《冒険の戦利品》の2枚。この2枚が3手目くらいで流れてきたらとりあえずピックして白青を狙ってみましょう。


ZNRdraft 06.jpg


訓練された戦術》《ズーラポートの決闘者》をはじめとして、戦闘で使える1マナのスペルが充実しているカラーであり、戦闘を優位に運ばせやすいカラーリングです。
細かいコンバットでちまちまライフを削り、飛行やブロック不可クリーチャーで押し込むのが理想。


部族配分として、主要部族に据えたくないのは戦士・ならず者。このカラーでは部族を揃えたリターンをもたらしてくれるのがこの2部族な為、マナカーブを埋める適当なカードをこの部族にするとリターンが取り辛くなってしまいます。なお《石造りの荷役獣》は戦闘がし辛い上に後半引いたときに辛いので、デッキに1枚を目安に。入れすぎるとデッキが弱くなりがちです。


ZNRdraft 07.jpg


1周するか様子を見たいカードは《遠見の達人》《カビーラの先導》《海底の忍び寄り》あたり。1周しないからと言って確実に被っているわけではありませんが、高確率で被っています。無理やり白黒クレリックや青黒ならず者に向かおうとしている人が色を絞るためにピックした可能性もあるため、余裕があればそこを見ておくと卓の状況がわかりやすくなります。


 
【白黒】
主要アーキタイプ:クレリック
サブアーキタイプ:パーティー


「白黒クレリック」
白黒クレリック.png


最強アーキタイプの一角。基本的にみんなやりたいので、上家にやれと言われたときだけやりましょう。自分から目指すと死にます。サインとなるカードは大体以下の3枚。
生命の絆の僧侶》《従者つきの癒し手》《秘宝の薬瓶


ZNRdraft 08.jpg


この辺が流れてきたら上家はクレリックをやらせてくれるという事なので、大人しく従いましょう。人気が高い色なので大体どこかで他の人もやろうとしていますが、1パック目は様子を見て良さそうです。カードがそこそこ取れるなら続行、この辺が流れてきたにも関わらず1周目でクレリックっぽいカードが取れなかったら危機感を持って色替えを検討します。


ZNRdraft 09.jpg


1周するか様子を見たいカードは《コーの祝賀者》《略奪する破戒僧》あたり。アンコモン3枚組のどれかが取れた上でこれが1周したら確実に卓1クレリック。おめでとう!高確率で3-0です!
1周しなかったら黄信号。強アーキのカードなので適当にカットされている可能性もあり、1-2~1-7までの流れで判断する必要があります。


また1-1で流した白いカードと黒いカードの枚数を覚えていると非常にやりやすいです。無理やりクレリックに行こうとしている人がいる場合、微妙な白いカードや黒いカードが消えているはずです。もし《コーの祝賀者》《略奪する破戒僧》あたりが返ってこないのに加えて白か黒の微妙なカードが全く返ってこないようであれば赤信号です。卓3以上は確実。もう諦めて色替えしましょう。今ならまだ間に合います。


 
「白黒パーティー」
白黒パーティー.png


このサンプル画像は白黒パーティーを目指すぞ!と向かった結果完成した理想形です。ですが、このアーキタイプは99%違う形で作られます。「白黒クレリック」の項目で黄色信号や赤信号という表現を使いましたが、このデッキはその赤信号のまま突き進んだ結果生まれてしまうことがほとんどなのです。


このデッキ画像ではクレリック要素が抑えられた理想形なのですが、クレリック派生のパーティーデッキはクレリック要素が濃くなっているため、様々なカードの点数が変化しています。
まずは「白黒パーティー」の理想形から解説します。


部族配分として、主要部族に据えたくないのはクレリック・戦士。戦士は「青白パーティー」でも述べた通り、種族を揃えたご褒美をくれる傾向にある部族。その為、戦士が多くなって場で重なってしまうとパーティーボーナスが少なくなってしまいます。


そしてクレリック。クレリックもご褒美をくれる部族で、その上白・黒の共通部族として意識せずとも増えてしまいます。その上半端なシナジーしか形成できないぐらいの数でデッキに入るとあまり強くありません。


一方主要部族に据えたいのはならず者。揃えたリターンがあるわけではありませんが、意識して集めることで他の部族を散らすことに繋がりますし、一応おまけがある分他よりは良いかな?くらいの立ち位置です。


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1周するか様子を見たいカードは《遠見の達人》《カビーラの先導》。白青パーティーと全く同じですね。パーティーデッキとしてみるならそれぞれの色で確認したいのですが、黒いパーティーカードは基本1周しないため、判断材料になりません。


本来パーティーデッキで被っていることが判明した場合、被っていない色を中心にピックすることが出来るのですが、白黒パーティーは黒いカードが軒並み高い都合上、そういう道がありません。その為白黒パーティーは、黒という色が空いているときに、白のパーティーカードが流れてきた・・・という特殊な状況でしか成立しません。
という事でこのデッキは本当にレアデッキです。


 
そして「白黒クレリック」から「白黒パーティー」に"なってしまった"場合について。


頑張って避けてくれ・・・と言いたいところですが、1パック目でたまたまカードが出過ぎていて、2パック目の後半、あるいは3パック目に入ってようやく気付いた、なんてこともあります。
その場合急激に点数が上がるカードは以下の4枚です。
海門の巨像》《岸壁安息所の帆凧》《岸壁安息所の売剣》《海門の旗騎士


ZNRdraft 11.jpg


すでにクレリック軸でピックしている以上、きれいな形を目指すことは不可能です。そこで戦士・クレリックの2軸を基本として、パーティー関連カードを2種族という最小限の数で運用します。
パーティーデッキを目指している他の人と被ってしまいますが、幸い白いパーティーデッキは低コストの戦士を避けやすい傾向にあるので、比較的ピックしやすいはずです。それからは《海門の巨像》や《岸壁安息所の売剣》を《岸壁安息所の帆凧》で飛ばしてイージーウィンを目指しましょう。自分が辛いという事は同じように辛い「白黒クレリック」がいるはずなので、強いデッキにはならずともそこだけには勝てるようにしましょう。


 
【白赤】
主要アーキタイプ:戦士
サブアーキタイプ:パーティー


「白赤戦士」
白赤戦士.png


レアアーキタイプと言っていいほど成立し辛いアーキタイプ。戦士で固めるリターンがあるコモンカードは《探検隊の勇者》のみ。十全に使えれば強いカードですが、このカードの為だけに戦士に寄せるほどではありません。


戦士デッキはレアリティの高いカードが要求されます。その為自分から突っ込むのではなく、上家から流れてきたカードで判断しましょう。サインになるのは《コーの刃使い》《カルガの戦導者》の2枚です。


ZNRdraft 12.jpg


1周するか様子を見たいカードは《ぐらつく峰の伏兵》《探検隊の勇者》《火刃の突撃者》《拾った刃》の4枚。このうち、弱いカードなのに一周しなかったらやばい!という意味で注意したいのが《ぐらつく峰の伏兵》と《拾った刃》。この2枚は戦士デッキですらデッキに2枚は入れたくないカードなため、ほとんどの場合1周してからピックするカードです。これが1周しないという事は戦士に無理やり行こうとしている(大体《古代を継ぐ者、ナヒリ》か《恐れなき探査者、アキリ》をピックしている)か、赤という色が混み過ぎているかのどちらか。


《火刃の突撃者》も1周が望ましいですが、アンコモンのカードなので取るもの無いからとりあえず拾っておこう・・・という形でピックされることがあり、サインとしては若干不確定より。《探検隊の勇者》はカードが強いため、暇なときに渡りとしてピックされることがあります。あまり1周しないカードなので帰ってこなくても「白赤戦士」で被っている!とはなりません。その分1周した場合はかなりの精度で卓1戦士である(かつ赤も混んでいない)ことがわかります。


 
「白赤パーティー」
白赤パーティー.png


白が露骨に空いているがもう片方の色が決まらない時に、とりあえず各色の優秀なカードだけピックしていたら赤いパーティー向けカードだけ取れて白赤に・・・という感じで出来ることが多いです。サインになるのは《エメリアの隊長》《轟く火花魔道士》の2枚。


ZNRdraft 14.jpg


部族配分として、とりあえず主要部族に据えたくないのは戦士。2色の共通部族である上に、部族を揃えたリターンをもたらしてくれるのがこの部族。どうやっても多くなってしまうのですが、極力抑えたいところです。また、ならず者はアンコモン以上のカードしか存在しません。どうやっても集まらない部族なので、見かけたら意識してピックしたいですね。


1周するか様子を見たいカードは《遠見の達人》《カビーラの先導》《献身的な電術師》《同期した魔術》。


ZNRdraft 15.jpgどちらかの色のカードが1周しなかった場合、その色のパーティーデッキが高確率でいる(白はクレリックで荒れている可能性もある)ので、2色被りしていないか慎重に見極めましょう。「白赤戦士」がいけるかどうかも重要。戦士はレアリティデッキなので空いていても成立しないことがままありますが、2パック目以降から出始めた場合、カラーリングが被っているこのアーキタイプがほぼ確実に独占できます。


 
【白緑】
主要アーキタイプ:上陸
白緑上陸.png


最初に伝えます。白緑はデッドカラー。やってはいけません。


この環境におけるアーキタイプの強弱の指標の一つとして、要求レアリティと専有性を挙げることができます。青黒ローグ、白黒クレリックはコモンが多くても十分に強く、アンコモンやレアが増えれば増えるほどその強さを増していきます。またコモンからアンコモンまで優秀なカードは専有性が高く、他のアーキタイプでは強さを十分に発揮することができません。


アーキタイプとしての強さが劣る白赤戦士はコモンだけでは力不足ですが、アンコモンが沢山あれば非常に強力なデッキになります。強力なカードはコモンもアンコモンも専有性が高く、一部色が被っていても他アーキタイプのプレイヤーにピックされる可能性は高くありません。


一方、この白緑はアンコモンが沢山あってもあまり強くはありません。正確にはデッキを問わず強いアンコモンが沢山あれば強いのですが、専有性が高いコモン・アンコモンが存在せず、強いカードは全て一部でも色が被っている他プレイヤーにピックされてしまいます。その為、強い白緑というものができるときは白と緑を使用するプレイヤーが少ないときに限定されます。


白緑というカラーが弱いため、白緑マルチカラーのレアやアンコモンから白緑に入るのは望ましくありません。白か緑を中心にピックしがら、遅い順手で流れてきた白緑マルチカードをとりあえず取っておく。そうして時間がたつにつれ、どうやら白も緑も卓に人があまりいないようだ・・・とわかって初めて白緑に参入しましょう。白緑で万が一にも2色被ってしまったら終わりです。慎重に見極めましょう。


 


 
【青黒】
主要アーキタイプ:ならず者
青黒ならず者.png


最強アーキタイプの一角。「白黒クレリック」とほとんど同じです。基本的にみんなやりたいので、上家にやれと言われたときにやりましょう。自分から目指すと死にます。


サインとなるカードは大体以下の2枚。
空飛ぶ思考盗み》《秘宝のゴーレム


ZNRdraft 16.jpg


人気が高い色なのでどこかで他の人もやろうとしているはずなので、1パック目は様子を見ておきましょう。カードがそこそこ取れるなら続行、この辺が流れてきたにも関わらず1周目でならず者っぽいカードが取れなかったら危機感を持って色替えを検討します。


1周するか様子を見たいカードは《探検隊の潜伏者》《ニマーナの空踊り》《ニマーナの忍び歩く者》。


ZNRdraft 17.jpg


どれも単品性能だとちょっと劣りますが、その性能を発揮しきれるなら十分強力なカード。必要なものがわかっている後半のならず者か、無理やり行きたい序盤のならず者か、必要なものがわかっている後半の黒パーティーデッキでピックします。その為1周しない場合は黄信号。基本的に無理やりならず者に行こうとしている人がいる前提で逃げ方を考える必要があります。


ただこの手の強アーキタイプ共通の悩みなのですが、強いカードが無い暇な手順で強アーキタイプ用カードをピック(カット)されることがあります。
そのため1周しなくてもサインとして信用しきれないところがあり、1-2~1-8の流れと合わせて判断する必要があるという点に注意が必要です。


ZNRdraft 18.jpg余談ですが、青黒で使える優秀なコンバット・トリック《ズーラポートの決闘者》《隠然たる襲撃》の2枚について。この2枚は青黒以外でもそれぞれ使われる優秀なカードなのですが、こいつらの存在によって2マナ2/1の価値が大きく下がっています。


この環境、すべての色に2マナ2/1(無色にも。緑は1マナ1/1接死)が用意されています。それぞれ能力を見ると優秀そうなのですが、だからと言って採用しすぎるとこの2枚のコンバット・トリックにシャクられてディスアドバンテージを負ってしまいます。特に《ズーラポートの決闘者》。ケアしようと思えばケアできますが、こいつをケアしだすと2ターン目にプレイした2/1が空の盤面で殴らないという意味不明な状況に陥らされます。結局最後は突っ込むしか無く、1枚カードを損して終わることになります。これでシャクられたからといって負けるほど大きな影響があるわけではありませんが、ピック段階から意識出来るなら意識した方が良いぐらいの影響はあります。


「パーティー用でもアーキタイプ用でもないカード」ぐらいには、2/1サイズのクリーチャーは意識した方が良いでしょう。デッキとして必要になる2/1なのかそうでないかを判断することは重要です。


  
【青赤】
主要アーキタイプ:ウィザード
サブアーキタイプ:戦士
サブアーキタイプ:キッカー
サブアーキタイプ:パーティー


まず説明しなければならないのは、このカラーリングは非常に成功し辛いということです。青赤はカードが豊富にあるので主要アーキタイプにウィザードがあって、サブアーキタイプには3つのアーキタイプが用意されています!・・・というわけではありません。「白黒クレリック」が失敗して「白黒パーティー」になってしまうように、「青赤ウィザード」に行こうとした結果失敗して、戦士かキッカーかパーティーかいずれかに寄せた構成になってしまうことが多い・・・この無駄に多いサブアーキタイプはそういう事です。


ウィザードは空いていなかった(またはパックから出なかった)が青緑キッカーが空いていた場合はキッカーになります。同様に白赤戦士が空いていれば戦士になりやすく、赤黒パーティーが空いていればパーティーになります。


「青赤ウィザード」
青赤ウィザード.png


レアアーキタイプと言っていいほど成功し辛いアーキタイプ。ウィザードで固めるメリットがあるコモンは《探検隊の占者》と《凍える罠》のみ。どちらも悪くはありませんが固める労力には見合わないので、アンコモン以上のカードが複数要求されます。


サインになるカードは《崖崩れの魔術師》《ウマーラの神秘家》《秘宝の護符》の3枚。流れてきたらとりあえず取って狙っていいですが、卓1になっても完成するかは運次第です。


ZNRdraft 19.jpg


1周するか様子を見たいカードは《凍える罠》《熟考》の2枚。《凍える罠》《熟考》ともにほぼ間違いなく1周するカードで、青赤ウィザードが被っていたとしても4~5手目で取ることは稀なので、帰ってくる前提のカードです。だからこそ、もし1周しなければ赤信号。高レアリティを要求するウィザードは卓1ですら厳しいのに卓2なんてもう無理です。色を変えましょう。


 


「青赤キッカー」
青赤キッカー.png


先ほど述べましたが、青赤のサブアーキタイプはどこが空いているかによって決まります。一応アーキタイプとしてはパーティーが主なサブアーキタイプなのですが、戦士・キッカー共にそこそこ勝てるデッキにはなるため、サブアーキタイプとしてあげました。いずれにせよ、これらは青赤という色が空いているのに「青赤ウィザード」というアーキタイプが成立するだけのアンコモンが無かった。そういうときにのみ成立します。


それからキッカーというアーキタイプについて。青緑の項目でも触れますが、基本的にキッカーで組むメリットを持つカードはほぼ青に集中しています。青緑マルチのアンコモンがあまり強くないので、青単色でもそこまでは困りません。赤のキッカーはあまり優秀ではないので狙いたくはないのですが、青が空いていたけどウィザードがあまり取れなかった・・・というパターンで出来る分にはそこそこ強力です。サインになるカードは特別ありません。強いて言えば《ドレイクの休息地》ですが、青赤ウィザードが出来るポジションにいることが大前提なので、青と赤の強いカードをピックしていったらこうなってしまったという感じでデッキが出来ます。必要な要素に関しては赤白戦士、赤黒パーティー、青緑キッカーに準ずるので、そちらもご覧頂ければと思います。


 
【青緑】
主要アーキタイプ:キッカー
サブアーキタイプ:パーティー


「青緑キッカー」
青緑キッカー.png先手3ターン目に《目覚めし激浪》を出して《乱動への突入》か《泡の罠》を連打したら勝てる・・・そんなアーキタイプです。上手く回るとコモンだけでも勝ち切れるパワーを持っていますが、上手く回らないとキッカーを吐ききった後に0/5の壁がやってきて、何もしないまま負け・・・なんてこともあります。


コモンだけでも強そうで一見成立しやすそうなのですが、実のところアンコモンの力が無ければ安定しないというアーキタイプです。このアーキタイプは一にもニにも《ドレイクの休息地》にかかっています。サインとなるカードも《ドレイクの休息地》のみ。基本的にはこのカードが流れてきてスタートします。


キッカーすることでリターンをもたらしてくれるカードは4種類存在しています。コモンに《目覚めし激浪》、アンコモンに《ドレイクの休息地》《蔦ヤモリ》《凪魔道士の使い魔》。


ZNRdraft 20.jpg


《蔦ヤモリ》は良いカードですが、キッカーで固めるほどのバリューはありません。適当に緑黒や赤緑で使っても強いカードです。《凪魔道士の使い魔》は実際のところ大したことがないカードで、青緑キッカーをやっていても1周期待で流すことがあるくらいのカードです。《目覚めし激浪》もコモンとしては本当に優秀なカードで、青緑キッカーを組むうえではなくてはならないカードですが、この1種類のみではカードが足りません。


とにかく《ドレイクの休息地》が必要です。アンコモンはパックから出る期待値が0.8枚ほどで、出ないときは出ません。しかしこのカードが無ければデッキとして成立し難いため、《ドレイクの休息地》が流れてきたからやる、と考えておきましょう。青緑キッカーは《目覚めし激浪》《ドレイクの休息地》を軸に、青と緑それぞれのキッカーカードで周りを固めるという形で構成されるのです。


1周するか様子を見たいカードは《目覚めし激浪》のみです。「青緑キッカー」において替えが効かないこのカードは、《ドレイクの休息地》から「青緑キッカー」というアーキタイプをやろうとした場合に真っ先にピックされます。その為1周して帰って来てくれれば無事に卓1であるという事が確認できるのです。もし1周しなかったらおしまいです。《ドレイクの休息地》は他のアーキタイプでもそこそこ使い出があるカードです。諦めて色替えを検討しましょう。


 


「青緑パーティー」
青緑パーティー.png


青緑キッカーはレアなデッキであると記載しましたが、この青緑パーティーは輪をかけてレアなデッキです。緑軸のパーティーデッキは2種類存在します。
「白緑パーティー」と「青緑パーティー」で、どちらも再現性は非常に乏しいものです。戦略はどちらも同じで、パーティーである低コストの回避能力持ちクリーチャーを《結束の力》で強化して殴るというもの。再現性が乏しくなってしまう理由は回避能力を持つ低コストパーティークリーチャーがアンコモン以上にしか存在しないというところで、全色見渡してもコモンには1枚も存在していません。アンコモンでようやく《帆凧の僧侶》《マーフォークの風泥棒》、レアまで見ても《敏捷な罠探し》《泥棒スカイダイバー》でおしまいという悲しい結果に。


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ただしあまりにもレアなデッキな為、狙おうと思えばほぼ100%卓1でピック出来ます。狙う状況としては《イオナの大司祭》《敏捷な罠探し》《泥棒スカイダイバー》のいずれかをピックして、《結束の力》の1周を見届けたら・・・というところでしょうか。


緑のパーティー用カードは需要が皆無で、基本は各アーキタイプの枠を埋めるカードとして兼用されています。その分早い順手で取られることも無いので、緑が多少混んでいてもカードを集めることは容易です。戦略の軸をなす回避クリーチャーこそハイレアリティで集めづらいですが、その数枚がパックから出るようであれば概ね完成します。青白パーティーに行こうと思ったけど被っていた・・・なんて時の逃げ道にもいいかもしれませんね。


 
【黒赤】
主要アーキタイプ:パーティー


黒赤パーティー01.png


「白黒クレリック」「青黒ならず者」が2強と言われていますが、個人的にはこのアーキタイプもそれに並ぶくらいのパワーがあると考えています。とにかく除去が優秀で、《命取りの協力》を1マナでプレイすることも多々。あらゆる面でテンポに優れているデッキです。


反面、とにかく成立し辛いアーキタイプでもあります。そもそも黒という色が人気で混みやすく、欲しいカードが狙って取れることはまずありません。「赤黒パーティー」は空いているのに黒いカードだけが全く流れて来ない・・・なんてことも多々あります。レアアーキタイプと言えるでしょう。


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サインになるカードは《墓入りの妨害》《轟く火花魔道士》《荒廃者の鎚鉾》の3枚。《墓入りの妨害》はただただ強いカードなので滅多に流れてきませんが、もし流れてきたならあらゆる黒いアーキタイプが空いていると考えられます。1周するか様子を見たいカードは《献身的な電術師》《同期した魔術》の2枚。


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《同期した魔術》は青赤ウィザードに適当にピックされることもありますし、とりあえず除去というだけでピックされることもある為あまり信用はできません。1周したら赤という色も空き気味なのがわかるくらいですね。


重要なのは《献身的な電術師》で、こいつは赤いパーティーデッキの最重要カード。1周したなら赤黒に限らず赤いパーティーデッキは競合していないとみることができます。


そしてもし、これが1周しないようなら赤信号。赤黒パーティーは黒という色だけで競合しやすい上に、求められるカードも点数の高いものばかり。卓2ではまずまともなデッキにならないので色替えを検討しましょう。


部族配分として、主要部族に据えたいのは戦士ならず者。逆に中心にしたくないのはウィザードクレリックです。デッキとして重要なのが《献身的な電術師》をフリースペルとして運用できるかどうかで、2マナ域にウィザードを取ってしまうのは上手くありません。極力2マナ域にはウィザードを用意せず、3ターン目か4ターン目に《献身的な電術師》を絡めた2アクションが出来る構築を目指しましょう。


    


【黒緑】
主要アーキタイプ:+1/+1カウンター


黒緑カウンター.png


黒が絡む色の中では一番弱いと言っていいカラーリング。とはいえ上から数えた方が良い位置には居る、十分優秀なアーキタイプです。基本的に流れてきやすい専用カードで構成されているため、早い順手では何よりも除去を優先してピックしましょう。


サインになるカードは《玉虫色の角甲虫》《苔穴の骸骨》の2枚。


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《玉虫色の角甲虫》は初めて使うととんでもない量のトークンが生成されてびっくりする事間違いなしの超強力カード。十全に機能するなら大抵のレアより強力です。


1周するか様子を見たいカードは《ハグラの締めつけ蛇》《縄張り持ちの大鎌猫》《忘却の飢え》の3枚。


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どれもノンシナジーで使うと今一つ足りないカード、というかアンプレイアブルなカードですが、黒緑カウンターでは活躍できます。この中で《縄張り持ちの大鎌猫》は赤緑や白緑でも使われる可能性があるため、黒緑が卓1でも1周しない可能性は十分にあります。


《忘却の飢え》も決して優秀とは言い難いカードですが、黒という色の人気故、無理やり青黒ローグや白黒クレリックに参入しようとしている人がピックする可能背があるため、1周せずとも問題ありません。この2枚は1周が確認できれば安心できるな、というカードです。


重要なのは《ハグラの締めつけ蛇》で、このカードが1周しないようなら赤信号。黒が混みに混んでアンプレカードまで取り始めたか、あるいは黒緑カウンターが被っているかです。基本的には被っているので、色替えを検討しましょう。


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余談ですが、いかにも「黒緑カウンター」で使います!という顔をしている《グール・ドラズの泥王》。王という割に弱いので極力ピックしないように気を付けましょう。基本的に相打ちで死亡することが無く、能力をうまい事活用できることはありません。


  


【赤緑】
主要アーキタイプ:上陸


赤緑上陸.png


他と異なり、土地の枚数など独特な構築を求められるアーキタイプ。土地を置くたびにクリーチャーが強くなるので、土地とクリーチャー枚数のバランスが非常に難しい。赤か緑を中心にピックしているときにアーキタイプ用のカードが1周したから入るとか、サインとなるカードが遅い巡目で流れてきたから入るとかの形で参入することが多いです。


ZNRdraft 27.jpgサインとなるカードは《スカイクレイブの鶴嘴》《山火事の精霊》の2枚。積極的に狙うより、赤か緑を触っているときにふんわり上陸を意識し、この2枚か1周したカードによって本格的に参入する形が望ましいです。


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1周するか様子を見たいカードは《アクームのヘルハウンド》《高所の追求》の2枚。《高所の追求》は黒緑カウンターでも使えるカードなので微妙なところですが、《アクームのヘルハウンド》はわかりやすい指標となります。これが1周しなかったら赤信号。色を変えましょう。逆に緑の流れが良い状態でこのカードが1周したなら赤緑上陸というアーキタイプが空いている可能性が非常に高いです。とりあえずピックして赤緑上陸を意識しましょう。


このアーキタイプにおいて重要なポイントとして、いかにダブルセットランド、トリプルセットランドをするかというのがあります。
このアーキタイプを象徴するコモン《アクームのヘルハウンド》は、かつてモダンでも活躍した《ステップのオオヤマネコ》と全く同じ能力を持っていて、構築での活躍も期待されるほどの優秀なカードです。


しかしドラフトにおいて、この「赤緑上陸」以外ではプレイアブルとは言い難いものです。それはなぜかというと、『ゼンディカーの夜明け』環境ではフェッチランドが存在しないため、このカードのパワーの上限が2/3までだからです。ドラフトでは、当然クリーチャーが多数出てきます。3ターン目には2/3か3/3サイズが出てくることが予想されます。そうなってしまえばこのカードはもうおしまいです。《アクームのヘルハウンド》がただの2/3バニラなら、アタックはできずともブロックで活躍できます。しかし上陸という能力である以上、相手ターンにサイズアップすることもできず、3ターン目以降はチャンプブロックをするだけのカードになってしまうのです。


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だからこそ、ダブルセットランド、トリプルセットランドが出来る構築が重要なのです。コモンでは《高所の追求》、アンコモンでは《乱動の再成長》《巨森の波動》がそれにあたります。
アンコモンの2種は特に重要で、通常のセットランドと合わせて6/7まで成長することができます。


《乱動の再成長》は奇襲として素晴らしいですし、《巨森の波動》も土地を伸ばしたうえでほとんどの場合チャンプブロックを強制できます。また、これらのカードが存在していること自体が対戦相手の行動を縛ります。


たとえこちらの盤面に《アクームのヘルハウンド》2体しかいなくとも、《巨森の波動》があれば12点のダメージを受ける可能性があるのです。《アクームのヘルハウンド》を1ターン目にプレイできていれば、3ターン目までに2回は殴れているはずです。そこからアタックできなくなったとしても、この数点が《巨森の波動》のプレッシャーを大きなものにし、一見有利な盤面でさえうかつにアタックすることのできない状況を作り出せるのです。私はリミテッドにおいて攻撃することは守ることでもあると考えているのですが、この《アクームのヘルハウンド》はまさに、それを体現できるクリーチャーだと言えます。


また《乱動の再成長》《巨森の波動》は幸い「赤緑上陸」以外では強いカードとは言い難く、パックから出ればかなりの頻度で流れてきます。これを逃さずピックすることで《アクームのヘルハウンド》をはじめとした上陸クリーチャーを強化し、膠着した盤面をこじ開けましょう。


それからもう一点、クリーチャーの重要度についても触れておきます。基本的に上陸と書いてあって殴れるクリーチャーなら良いのですが、優先度があります。デッキに欲しい枚数から順番にすると以下のようになります。


山火事の精霊》>《アクームのヘルハウンド》>《スカイクレイブの土百足》>《梢のベイロス》>その他


ZNRdraft 30.jpg


《縄張り持ちの大鎌猫》はそこまで優秀なカードではないので、1枚入れば十分でしょう。《火吐きラガーク》は同じマナ域である《ジョラーガの幻想家》よりも劣ると考えています。デッキに入ってもダメではありませんが、決して優先するカードではありません。


それからまた、土地を回収する能力も重要です。赤緑では《カザンドゥの踏みつけ》《火砕のヘリオン》の2枚が該当します。


ZNRdraft 31.jpg


これらはデッキに合計2枚程度あると安定します。優先度は圧倒的に《カザンドゥの踏みつけ》で、《火砕のヘリオン》は無くとも構いません。5マナ域を埋めるクリーチャーは《変わり樹の苦行者》が非常に優秀なので、出来るだけ5マナ域はこのカードに枠を割きたいところです。


 



4.余談:MTGアリーナとMagic Onlineとリアルの違いについて


MTGアリーナでは自分以外ピックに参加しないBOTドラフト、プレイヤー8人でピックを行うが対戦はすべてのプレイヤーと行うプレミアドラフトの2種類があります。Magic Online(以下MO)ではMTGアリーナのプレミアドラフト方式であるドラフトリーグ、プレイヤー8人でピックを行い、その8人のみで対戦を行うエリミネーションドラフトの2種類があります。そしてリアル、実物のパックを開封して行うドラフトではMOのエリミネーションドラフト方式が主流です。この内、ランクに影響するプレミアドラフト方式と、PTQやGPで採用されているエリミネーションドラフト方式の違いについてお話します。


まずこの記事の内容について、エリミネーションドラフト方式を前提として書かれています。このエリミネーションドラフト方式の特徴で大きなポイントは以下の2つです。


・対戦相手とカードプールを共有しているため、自分のピックが対戦相手のデッキに影響を及ぼす
・カードプールに限りがあるため、強いが皆が目指すアーキタイプより、弱いが皆が目指さないアーキタイプに大きな価値が生まれる


そして今、多くの方が遊んでいるであろうプレミアドラフト方式で大きく異なるのは以下の2点です。


・対戦相手とカードプールを共有していないため、ピックで自分のデッキを強化する以外の行動に意味が無い。そのため、カットが発生せず、後半のピックでも強いカードが流れてくる
・勝ち進むと常に強いプレイヤー(卓ごとに最強のプレイヤー)とマッチングするため、空いている弱いアーキタイプを狙うメリットが薄く、混んでいる強いアーキタイプの価値が高い


これらは具体的にどう異なるのか。まず、求められる技術が異なると考えています。エリミネーションドラフト方式において、特に重要な技術として挙げられるのが「空いている色を察知し、色替えする」というものです。時に1パックを丸々捨ててでも空いている色を見極め、色替えを行います。


対してプレミアドラフト方式では違います。明らかに空いているのであれば色替えも大事ですが、それよりも、「上位のアーキタイプを把握しデッキパワーを大きく落とさないよう代替カードで枠を埋める」技術が求められます。


「色替え」戦略は何としてでも0-3を避けることが大前提になっているもので、一つのアーキタイプに人が入りすぎて沈んでしまうはずの船から逃げるためのものです。そのうえで早いタイミングで逃げられたり、運よくパックの出が良かったりすれば沢山カードが取れて3-0する可能性もある、というものです。ここには色替えが間に合わず沈んでしまった人には勝てるはずといった考えや、流れているカードから対戦相手を予想して、特定の相手に相性の良い構築をすることで1勝を確保するといった考えも含まれています。最大値を目指すより、最低値を引き上げることを目指している戦略です。


「枠を埋める」戦略はある程度決め打ち気味に上位アーキタイプのいずれかを選び、もし運よく卓一なら最強デッキが完成して7-0。卓二以上ならカードの出次第で運が良ければ7勝で、運が悪いときは通常使わないようなカードをピックしてデッキのバランスを保ち、5勝目標で耐える・・・というものです。結局勝てば強力なデッキに当たる以上、最低値を引き上げる意味があまりありません。その為自分の最大値をより高める戦略を目指しています。


そしてもう1つ。色の強弱が変わる、という点が重要です。エリミネーションドラフト方式を好んでいる私は、緑という色が大好きです。これは生来の傾向として好きという話ではなく、『ゼンディカーの夜明け』環境において、緑の「多様なアーキタイプを内包するが全てが一線級でない」という性質を好んでいるのです。


緑は「+1/+1カウンター」「上陸」「キッカー」という3つのアーキタイプを持っています。それぞれ必要なパーツが明確に区切られており、遅い順手でカードが流れてきたときに判断が明確にできます。それぞれが一線級でないアーキタイプなので、早いタイミングでは色替えの受けとしてピックされる可能性も低く、1周後の情報の信頼性は非常に高いものと言えます。また、役割によって強弱がはっきりとするため、空いている色にぴったりとハマれたときにカードが流れてきやすいというポイントもあります。


プレミアドラフト方式ではそうではありません。緑という色が持つ3つのアーキタイプはどれも一線級ではなく、緑からピックした瞬間、もう絶対に最上位のアーキタイプに絡めないというマイナスがあります。対して黒という色は白黒・青黒・赤黒と最上位アーキタイプに絡むことができるので、多少弱いカードでも黒からピックを始めると受けが広いとみることができます。例えば1-1のパックから《豊穣の碑文》と《命取りの協力》が出たときを考えてみましょう。


ZNRdraft 35.jpg《豊穣の碑文》はコンバットに絡めれば1:2交換を取ったうえで盤面を強化しライフの回復まで出来る可能性があるという、カードそのものとして見たとき非常に強力なレアカードです。《命取りの強力》も強力なカードで、あらゆるコモンの中でも最高の1枚ではありますが、レアである《豊穣の碑文》にはどうしても劣ってしまいます。これがエリミネーションドラフト方式であれば間違いなく《豊穣の碑文》を取ります。しかしこれがプレミアドラフトで、色の強弱という要素が加わった場合、最上位のアーキタイプに絡めないがより強いカードより、最上位のアーキタイプに関われる一歩劣るカードを優先する可能性があるのです。


他にもまだまだ違いはあると思いますが、大きなところとしてはこの2点だと考えています。MTGアリーナを中心に遊んでいる方にとって、この記事はあまり鵜呑みにできるものでは無いと思います。しかし、こういった違いを把握すれば参考にできるところ、できないところが見えてくるかと思います。この記事を上手く活用して頂ければ幸いです。


 



5.おわりに


今回もまた長くなってしまいました。言語化が得意でないのでわかり辛い点も多かったかと思いますが、最後まで読んで頂いて本当にありがとうございました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。また次回、カルドハイムでお会いできれば。


それでは、また。



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