こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第69回です。
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
サニーサイドアップ
サニーサイドアップというデッキを聞いたことがあるでしょうか?
もともとは、生け贄に捧げることでカードを引けたり、マナを生みだすことができるパーマネントを大量に展開し、それらを《第二の日の出》で使いまわすコンボデッキのことでした。
サニーサイドアップとは目玉焼きを意味する言葉であり、《スカイクラウドの卵》と《第二の日の出》を使用することから名づけられています。
モダンでも大きな活躍を見せたデッキでしたが、大会進行に影響を及ぼすという観点から《第二の日の出》は禁止とされてしまい、以降は《信仰の見返り》を使うようになりました。
さて、以前ほどの存在感がないように思えるサニーサイドアップですが、このたび大きく構成を変え、その姿を現しました。
Designed by Furuya Ichiro
定番の《彩色の星》《彩色の宝球》に加え、土地によるコンボを搭載しています。
《ズアーの宝珠》でありったけの土地を生け贄に捧げ、それを《信仰の見返り》で全て場に戻す。《霧深い雨林》などのフェッチランドも同一ターンに使用していれば、場に戻る土地がさらに増えます。
この動きにそれぞれのカードを組み合わせていくようです。
《アルゴスの庇護者、ティタニア》なら、生け贄に捧げた土地の数だけ5/3トークンが生成されます。
《信仰の見返り》が4マナである、つまりプレイするときには4枚の土地があるであろうことを考えれば、5/3トークンが4体手に入ります。
《水蓮のコブラ》や《創造の座、オムナス》ならマナが手に入ります。
最低でも4枚は土地が場に戻ることを考えると、《信仰の見返り》を撃てば8マナ使えるようになりますね。
そして、《信仰の見返り》を撃つたびにマナが増えるのであれば、《死の国からの脱出》も強力なコンボパーツになるかもしれません。
墓地さえ確保できれば《信仰の見返り》が打ち放題。つまり上陸し放題であり、《彩色の宝球》があればその分だけドローも増えていきます。
ただ、墓地を増やすカードが入っていませんね。《壌土からの生命》を一枚墓地に仕込んでおけば、《彩色の宝球》のドローを墓地肥やしに変換できるので相性が良さそうです。
即効性のあるフィニッシャーといえば《ヴァラクートの探検》なのでしょう。
《信仰の見返り》を回しに回して上陸した分がそのままダメージに変わります。
コンボパーツでありながらアドバンテージを稼げるカードなので、サイドボード後には重宝するでしょう。
さて、《信仰の見返り》コンボを安定させているのが《ウルザの物語》。このカードのおかげでこのデッキが生まれたのかもしれません。
なんといっても《ズアーの宝珠》をサーチできるのが長所です。単体ではほとんど何もできないのに、コンボパーツだから複数枚入れる必要がある。そんなジレンマを解消してくれました。しかもマナすら必要ありません。
それだけではなく、もともと《彩色の宝球》などを使うデッキだったので、《役畜》トークンを生み出す能力も活かせるのです。八面六臂の活躍とはまさにこのこと。
メイン戦はコンボで勝ちに行き、
サイド後は《ウルザの物語》《ヴァラクートの探検》《創造の座、オムナス》によるアドバンテージで相手の対策を躱していく。
なかなか強固なデッキに見えますね。
少なくとも、墓地対策だけでは全然止まらなさそうです。
超軽量ジェスカイ
Designed by ZaBar in Magic Online
『モダンホライゾン2』の加入がもたらした影響は計り知れません。このデッキもその影響のひとつと言えるでしょうか。
メインデッキの90%以上が0~1マナのカードで構成された超軽量アグロです。
2マナ以上の呪文はわずかに《表現の反復》4枚を残すのみ。
メインアタッカーの役目は『モダンホライゾン2』のトップレアたる《敏捷なこそ泥、ラガバン》を筆頭に、同セットの1マナクリーチャーが担っています。
その一方、モダンでは線の細さから派手な活躍はしていなかった《ボーマットの急使》も肩を並べています。軽量呪文でデッキを埋め尽くしているからこその採用でしょう。
軽いカードしかデッキに入っていないことから想像のできるように、テンポデッキに分類するのが正しそうです。
たった1マナで《タルモゴイフ》から《ドミナリアの英雄、テフェリー》まで除去できる《邪悪な熱気》に、現環境では数多くのパーマネントを追放できる《ポータブル・ホール》。
苦慮するのは《濁浪の執政》くらいでしょうか。
テンポデッキといえば中長期戦が弱点でしたが、いまやそんな常識も過去のものとなりつつあります。
《夢の巣のルールス》が生み出す無限のアドバンテージさえあれば、長期戦も闘えます。
《ウルザの物語》は巨大なトークンを生み出し、《真髄の針》や《魂標ランタン》などの特定のカードへの対処手段を探してくれます。《上天の呪文爆弾》を持ってくれば先ほどの《濁浪の執政》だって対処できてしまいますね。
そもそも《敏捷なこそ泥、ラガバン》の攻撃が通った分がそのままアドバンテージになるので、テンポデッキの特性を持ったミッドレンジデッキ、と考えるほうが近いかもしれません。
なんにせよ、環境の変貌ぶりを示唆しているデッキです。
ソウルシスターズwith《永久の優雅》
Designed by PlichoW in Magic Online
このコラムでも何度取り上げたかわかりませんが、今回もソウルシスターズです。
様々な型がその姿を見せてくれているので、日々研究されていることが伺えます。
さて、本デッキリストの特徴は《永久の優雅》です。
これもまた『モダンホライゾン2』収録の一枚。このデッキでは主に《砂の殉教者》を場に戻すのでしょう。
能力起動のマナこそ必要なものの、毎ターン3~12点のライフゲインができると考えるとかなりのリターンではないでしょうか。
昔からの相棒だった《戦隊の鷹》ももちろん併用されています。《孤独》が加入したことにより、さらに使いやすくなったように思えますね。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》と、苛烈なまでに強力な1マナクリーチャーが増えましたが、ソウルシスターズの1マナ域はそれに負けていません。
下準備は必要ですし、《邪悪な熱気》には除去されてしまうものの、1マナのスペックとしては群を抜いていることに間違いありません。
何度除去されようが《永久の優雅》で帰ってきます。《虹色の終焉》だけは素直に追放されておきましょう。
《永久の優雅》や《戦隊の鷹》と相性の良い《密輸人の回転翼機》も試されており、今後の進化が期待されます。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。