北風乗り/Mistral Charger

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北風乗り/Mistral Charger

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窓際の席は苦手である。飛行機の話ね。トイレなどで席を立つ時に、隣の人にどいてもらうのが申し訳なく...しかも頻度が高いので。極力、通路側の席にしてもらっている。プロツアーなどで海外に行くことが増えたため、今まで以上にこれを意識している。窓際には窓際の良さが確かにある。雲の上の、現実離れした光景を見ることが出来るのは飛行機の醍醐味でもある。特撮やアメコミのワンシーンを思い浮かべるとともに、マジックのこのカードが想起される。《北風乗り》。今日はこの1枚について、じっくり書いてみたい。

2マナ2/1飛行。今でこそ、アンコモンとは思えないスペック。キーワード能力しか持っていない、所謂「フレンチバニラ」にあたるカードだ。かつては、このスペックを誇るカードは存在しなかったのだ...このカードが出てくるまでは。シングルシンボルでデメリットのない、純粋な2マナパワー2飛行はこの《北風乗り》が初めての存在で、当時パックを剥いてアンコモンのスロットにこのカードがあるのも「まあわかる」ものだった。実際、ドラフトでも2マナ2/1飛行は強い。多色環境においてシングルシンボルという出しやすさもなかなか。

しかし時代は進み、『基本セット2010』にてまったく同じスペックのペガサスである《嵐前線のペガサス》がコモンとして登場。当時は《北風乗り》がコモンとはすごい時代だなぁと思ったものだが、同時に何故再録ではなく同型再録としてわざわざ別のカードが出たのか、という疑問もあった。後から調べてみてわかったのは、カード名からそのクリーチャーのタイプが連想しづらいものを極力排除するという姿勢にのっとり、別名のペガサスが誕生することになったそうな。なるほど、確かにイラストを見ずに「北風乗り」と聞いてペガサスを想像できる人間はそうそういない。この素敵な名前とイラストを再度目にする機会が失われたのは残念だった。Terese Nielsenの描いた、パステルカラーの空の美しさ、馬体の優雅さ...素晴らしい。ペガサスは純白のイメージがあるが、このサラブレッド感溢れる茶色の馬体が、ファンタジーのクリーチャーと実在の生き物の境目をなくし...語りだすときりがないので、ここらにしておこう。

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