横揺れの増長/Rolling Spoil

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横揺れの増長/Rolling Spoil

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群れで生活する生き物は、春に集う。冬眠から目覚めし虫達はワラワラと蠢き、ヒヨドリやメジロなどの小鳥は群れで庭先にやってきて、花の蜜などを楽しむ。今が旬のホタルイカも海面に群遊している。ヒトだってそうだ、卒業に入学・入社と群れで行事を行う。「春の目覚めウィーク」に相応しい群れを...と思ったらこんなカードが思い浮かんだ。なに、グロテスク?申し訳ない。でもイラストの色合いがとても春っぽく...ない?気にしない。《横揺れの増長》を紹介しよう。

Ron Spencerという稀代のグロテスク絵師(本当はかわいいリスとかも得意なので、稀代の絵師と言うべきか)が手掛けたイラストは、最高に汚く禍々しく、そして謎のほんわかさがある(よね?)。羽虫の類を筆頭に、地を這う昆虫なのか粘菌なのかわからぬモンスターの群れ...それらが腐食の臭気を放ちながら、コロッセオ風の建築物をへと侵食してくる光景...Ron Spencerワールドここにあり、素晴らしい。

さてカードとしての能力はどうか...というと、4マナのソーサリーで土地破壊。かつて緑で同じマナコストであれば、土地だけでなくアーティファクトやエンチャントも対象にとれたのだが...『ラヴニカ:ギルドの都』のタイミングでは、その万能除去の役目は同じゴルガリに属する《化膿》に譲っている。この呪文は、ゴルガリというギルドにおける他の役割を担っている。この呪文は"向上呪文"と呼ばれる呪文サイクルの1枚として作られている。単色の呪文ではあるが、ギルドの対となる色マナが不特定マナコストの支払いに充てられていた場合、ボーナスが得られ、効果が向上するというものだ。この呪文は前述の通り緑の4マナの土地破壊であるが、そのコストを緑緑黒①という多色呪文同然のコストで払った場合、土地1枚の破壊に加えてすべてのクリーチャーに-1/-1修正を与える。軽い全体除去としての機能が付随してくるわけだ。というより、こちらの効果を前提として用いてナンボだ。使われ方としても、ラヴニカブロック構築において《巨大ヒヨケムシ》《闇の腹心》や苗木トークンといったタフネス1のクリーチャーを展開してくるアグロデッキ相手に、それらを流しつつギルドランドを割れる激シブサイドカードとして使われたりもした。これで勝負が決まる類のカードではないため、どうしても派手な活躍というのはないが...クリーチャーの群れと土地の両方を同時に対処できるカードとしてのオリジナリティは高く、マジック界のニッチを埋める1枚である。

個人的にはカードの能力云々以前に、イラスト右中段を飛ぶイカのようなクリーチャーが気になってしょうがない。5億年ほど昔、カンブリア紀。この太古の海には、バージェス・モンスターと呼ばれる、現代の生き物達と大きく異なる見た目の海洋生物達が生息していた。その中のイカ・タコの祖先であるとされるネクトカリスを想起させる見た目で、このどうやって浮遊しているのかわからないピンクのヤツが、愛おしくてしょうがないのだ。

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