トレイリアの風/Tolarian Winds
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「風のような~」「風のように~」風は比喩表現でよく用いられる。目に見えぬものなのに、僕らはそれがどんなものなのか知っているというのは面白い。個人的には、風は変化の象徴であると思っている。自由自在に駆け抜け、時にそよそよと、時に轟々と、包み込み、荒れ狂い、暖かで冷たい風。風が吹けば季節が変わり、風景が変容する...。マジックにおいても、風は大きな変化をもたらす。
《トレイリアの風》は、物理的な変化はもたらさない。この風が吹き荒れるのは、あなたの頭の中・知識を洗いざらい入れ替える。2マナの青のインスタントで、手札をすべて捨ててそれと同じ枚数のカードをドローするという、割と派手な効果を持つ。手札が土地や受け身なカードばかりでスッカスカな時は、これでスパッと入れ替えてしまえと、そういうカードである。
無駄杯を他のカードに入れ替えられるので有用に見えるが、すべて入れ替えてしまうという融通の利かなさは玉に瑕。マジックをしていて、「この手札全部入れ替えてぇぇ」と思うことって、なかなかない。それに、このカード1枚分を消費したうえでの手札を参照するので、7枚の手札を消費して6枚のカードを引く、と考えるとちょっと損しているのだ。
他に手札があってこそのカードでもあるので、手を使い果たしてトップデッキ勝負となった時は何もしなさすぎて泣けてくる。このように弱点は非常に多く、大変使いにくい荒れ狂う風であることが分かってもらえたことかと思う。
この風に上手く乗るのであれば、手札のカードが墓地に堕ちることに意味を持たせたい。例えばクリーチャーを多数捨てて、リアニメイト戦略。スレッショルドのような墓地が肥えていることに意味があるカードも活かしやすい。しかしもっとも相性が良いのは、やはり"発掘"であろう。この能力を持ったカードを手札から複数枚捨て、複数枚のドローをそれぞれ発掘に置換する。一気にライブラリーを20枚近く掘り進めることも可能で、そこからコンボを決めて勝利してしまえるレベルだ。かつてのエクステンデッドの「フリゴリッド」で採用されていることもあった。まさしく、荒れ狂う台風のごとし。
トレイリアは、ジャムーラの西に浮かぶ絶海の孤島。ここではかつて、ウルザがファイレクシアと戦うために「時」に関する研究を行い、事故を起こしたことで有名。狂ってしまった時空間の中で、この風は明日から昨日へと駆け巡るのだろう。