Awesome Vegas!!~岩SHOWのラスベガス現地レポ~

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0.ベガスの起こり

1820年代、ユタ州ソルトレイクシティからカリフォルニア州を目指して移動中のモルモン教徒たちは、ネバダ砂漠にて窪地となっている地域・オアシスを発見した。

この地はスペイン語で"肥沃な地"と名付けられ、それがそのままLas Vegasという固有名詞となったそうだ。

その後、カリフォルニアにおける金発見、所謂ゴールドラッシュに伴い、Las Vegasは旅の中継地点として機能し始めた。

蒸気機関車の給水所として駅も建設された。

ゴールドラッシュの熱狂もさめ、さらに1929年のウォール街株式大暴落事件を経て、ネバダ州は危機に直面した。

これといった産業もなく、それに輪をかけて中継点としての仕事がなくなり世界恐慌にも巻き込まれては、税収がなくなってしまう。

そこで、賭博を合法とすることにしたのだ。

また、"フーバーダム"なる巨大なダムがアリゾナ州との州境に建設開始され、かのフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策を進めるさ中1936年に完成。

これによりラスベガスは安価で安定した電力を得るに至った。

第二次世界大戦終結後、ベンジャミン"バグジー"シーゲルなるギャングがフラミンゴホテルを建設。

これにより「カジノホテルは儲かる」という事実が知れ渡ると、マフィア達はこぞってホテルを建設。

他のホテルとの差をつけるため、各々がフランク・シナトラなどのスターを招いてショーを行った。これが現在のショービジネスの発端となっている。

マフィア達が築いた眠らない街、しかし徐々に彼らへの取り締まりが厳しくなっていったことから、マフィア達はこれらのホテルを手放した。

1990年代にはほぼ払拭されたと言われている。

こうして、ラスベガスは今日、クリーンにカジノを楽しめる地として世界でも屈指の観光地となっている。



1.ベガスとマジック

マジックとラスベガスの関係は深い。

近年の巨大グランプリの開催地としてのイメージが定着しているが、最初に開催されたグランプリはなんと2001年。

エクステンデッドで開催されたこのグランプリ。「The Rock」の優勝、「グロウフィッシュ」の登場などその後の同フォーマットの方向を定義づけた重要なトーナメントとなった。

それから時は過ぎて2013年。

『モダン・マスターズ』の発売を記念して開催される、同セットを用いた唯一のリミテッドのグランプリが開催され、史上最多人数4500人のプレイヤーが参加。世界を驚かせた。

同様の流れで2015年、『モダン・マスターズ2015年版』のリミテッドが開催される。

同日に日本の千葉、オランダのユトレヒトでも同フォーマットのグランプリが開催されたが、その影響を受けても歴代断トツの7551名のプレイヤーが参加!

あまりの人数故に当時のシステムでは運営が不可能だったため、参加者を半数に割って史上初の同日・同会場でのダブル・グランプリ開催となった。

そして2017年。

今回はモダマスシリーズとは関係ないが、同じ週に同じ会場で3つのグランプリを開催するという前代未聞のメガ・グランプリが開催される。

2015年の際には黒田さんと実況の仕事で行ったが、「ラスベガスは行き得」感が尋常ではなかったので、今回はプレイヤーとして参加しに行くことに。

とは言っても真剣にグランプリ優勝を狙っていたり2敗以内で抑えてプロツアーに...なんてことはまったく思っておらず、全部初日落ちでもええわ、あの空気が味わえたらそれでええ!

とある意味意気込んで参加を決意。

会場は以前と同じラスベガス・コンベンションセンター。地理的に会場周囲はわかっているので、前回泊まったのと同じ歩いて1分のホテルを予約。

高級ホテルという訳でもないが、昔からあるどっしりとした構えのホテルで安心できる。サクッと部屋も旅券も取れて、ベガスに行くのって簡単だなぁと。

とにもかくにも出発だ。



2.いざベガス

お昼に伊丹を出て、羽田へ。羽田からシャトルバスに揺られて成田入り、かなり余裕があったので下着なんかを購入。旅行の際に新品の下着を買うのがちょっとしたMyルーチン。

航空会社にもよるんだけど、座席間とか足元の作り次第で膝が痛くなることがあるので、ここは妥協せず少し料金追加してエコノミープラスにアップグレード。はっきり言ってやり得。

条件悪い席でただただ耐えのフライトをするよりは、現ナマで打開したいというのが僕の信条。今回も列の一番前の通路側で快適、これで寝たいタイミングで眠れる。ただそれだけのことが嬉しい。

それに、これから行くのはラスベガスだ。カジノの街。少々の課金くらい、一発で取り戻せばええ!余裕でしょ、と。根拠は全くない。

フライト自体は特に問題もなく。乗った飛行機の最後のフライトだったらしく、そういう旨がアナウンスされていた。

初めてのことだったので、なんかほんのりラッキー感。機内食はその域を出ないものであるのはしょうがないんだけども、親子丼にちゃんと三つ葉があしらわれていたのはエライなと。

ただほんの少しのことが嬉しくなる、こういうピュアな気持ちが海外旅行においては肝要だ。

多少のミスは笑ってスルーし、些細なことを喜ぶ。細かいことを気にしていてはどうしようもないからね。ただ自分が明らかな損を被りそうなときは全力で抗おう!

行きのフライト時間は9時間いかないくらい。あっという間だった。飯食って寝て、ダウンロードしておいた映画を観る。

Amazonプライムビデオは旅の相棒。久しぶりに観たくなったミッキー・ロークの『レスラー』を。

プロレスラーの実態を生々しく描いた名作だ。血や痛い描写に抵抗がなければ観てみるのが良いんじゃないかな。

堪能した後、タイトルを覚えなくても良いレベルのB級をうとうとしながら鑑賞、寝る。

起きたらちょうどいい時間で、朝食を食べたらすぐサンフランシスコに到着。

ラスベガスに行くルートはいくつかあるが、このサンフランシスコを経由するルートが一般的かなと。

ロスアンゼルスや、あるいはカナダ経由のようなルートもある。今度はカナダ経由で行っても良いかななんて考えている。

さて、サンフランシスコでの乗り継ぎだが、これが少々焦らされる。時間は2時間以上あるのだが、入国審査と乗り換えの際のセキュリティ・チェックがまあ混んでいる。

待っている間は割と焦るのだが、列が進みだすと割とザクザク消化されていくので、間に合わないなんてことは無いんじゃないかなと思う。いざとなったら職員に助けてもらえばいいだろう。

ラスベガス行きに乗り換えて、97分。ほとんどスヤスヤ寝ていた。

あっという間に着陸、ああもう着いたんやと目を覚まして、14時ごろ。2年ぶりのラスベガスに還ってきたぜ!


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ベガスの空港に降り立って最初に目に入るのはスロットマシン。これは嘘偽りのないガチ。

果たして空港でスロット打って当たるのか?怪しいが、しかし少なくない人が実際に回していた。フライトまでの時間潰して割り切ってやっているのか、あるいは。

そんなラスベガスのマッカラン空港で荷物を受け取るために歩いていく。ツノトカゲがお出迎えだ。


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無事に荷物を回収し、さっさとタクシーを拾ってホテルへ。マッカラン空港から今回の宿泊先、ウェストゲート カジノ&リゾートへは20分かからないくらい、約20ドル。

シャークされることもまあないでしょう。Uberを使ってもほとんど変わらず、空港に呼ぶのは少々難しかったりするのでタクシーを使うのが無難かなと。

僕は17ドルでついたのでチップ込みで20ドル渡しておきました。そうそう、アメリカのタクシーの話を1つ。

この時乗ったタクシーの運転手さんは純粋なアメリカ人という訳ではなさそうだった。

アメリカのタクシーの運転手さんは移民の方がとても多く、皆出身地を聴くとスロバキアだのナイジェリアだの。


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そして彼らの多くが、自国語でハンズフリーのスマホでず~っと通話していることが多い。今回もそうだった。

最初はビックリするけど、まあそんなもんと思ってください。通話中にこっちに質問された時にわからんかったりするので、どっちかにせえよとは思ってるけどね(笑)

目的地には早くついて満足。タクシーから降りるとカッと刺すような日差しがお出迎え。ベガスに戻ってきた感を再度実感。

すぐさまホテルでチェックイン。リゾート料がかかるでと追加料金の説明が。これもまあそういうもん。ホテルや料金プランによっては取られないこともあるかもね。

ちなみにホテル内で使えるWi-Fi、繋ぐ際には14.99ドル必要と出るのだけどもちゃんと説明を読めば「リゾート料を払っていれば無料」と書かれている。そういうところに泊まった際には焦らずにじっくりと目を通してみよう!

チェックインして振り返れば、すぐにカジノ!!前回は黒田さんと来て、数千円負けて終わったこのカジノ。今回は喰ってやる...という気概ではあるが、今はまだその時ではない。

部屋は快適そのものだったが、冷房が鬼のように強いので入室後はすぐに切った。ラスベガス、暑いのはそりゃあ暑いけど、日陰はそうでもない。

空気がからっとしているという、ただそれだけの事実で随分と過ごしやすくなるものだ。

だから部屋の冷房を切っても全然余裕。


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窓からの眺めも良く、6日間で仕事をする時も気持ちよく楽しみながらやれたものである(ちょっとウソ)。

出国は火曜日、着いたのも火曜日の夕方。

この時差のお得感よ。なお、帰りは損した気分になる模様。


とりあえずはボーナスステージ感覚で得た火曜の夕方。これをどう使うか...寝る、でしょう。

湯船に浸かって(浅いけど、お湯をはれるだけマシ!)、さっぱりしたらどでかいベッドにゴロン。そのまま3時間ほど眠りについた。


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7時過ぎに目が覚め、さすがに腹が減ったのでエレベーターを降りて1階へ。レストランがいくつかあるが、ここはなんとなくビュッフェコーナーへ。カジノの端にあり、今回のプランに含まれていた朝食もここで摂る。

以前に来た時、昼食兼用で入ったことはあったのだが、ディナーはどんなもんかなと思い入ってみることに。

お金を払ったらレシートを持って席係のところに行って席に案内してもらう。タイミング的な問題か、中はガラガラ。テレビがよく見える良い席に案内してくれた。


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ちょうどNBAの決勝戦をやっているらしく「ここがいいでしょ」と。バスケに興味はないんだけども、アメリカンスポーツの観戦自体は好きなのでありがたや。

NBAの決勝だけあって選手の動きが意味不明すぎて面白かった。ヴィンテージのゲームを観ている感覚に近い。ロータスの加速からの《修繕》で瞬殺!みたいな。

肝心のメニューはというと、ありがたいことに、前回貪り食ったエビが山ほど...カクテルソースとレモンでバリバリ食う、食う、食う!


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ラスベガス最高や...酸味の利いたクテルソースを受け止める、ミディアムレアぐらいの火の通し加減の茹でエビ。パツップリンッとした食感がエビ好き日本人にはたまらない。

まあ全体的には"ビュッフェクオリティ"であることには違いないのだけども、レストランに行くよりも安上がりでチップとか無しで色々と食べられるのは悪くない。

日本ではあまり見ないもやし入りの野菜チャーハンで炭水化物もバッチリだ!カッチカチのパンやダッルダルのパスタくらいしか出てこない国に比べれば、アメリカンチャイニーズの何たる素晴らしいことよ。

晩飯なのを良いことにとにかく色々トライして、腹パンパンになるまで食ってTHE END。

部屋に戻ってソファーでくつろぎながら軽く作業した後、早めに就寝。実に健康的である。



3. トライアル in ベガス

水曜朝。5時くらいに朝焼けで目が覚める。グランドキャニオン的な雄々しい山々の間から朝日が昇る...猛烈に眩しい(笑)

何も見えないレベルで、写真も撮れなかったのは残念だが...美しかった。乾燥=死をもたらす容赦のない存在であることがよくわかる、猛烈な光を放つまさしく灼熱の存在...なのだが、その姿はどこか慈悲深くもあった。風呂に湯をはっている間、ぼーっと眺めていた。


さて、ひとっぷろ浴びて朝飯。


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アメリカの朝飯といえばパンケーキ。

あとはエッグベネディクト風の何かやスモークドサーモンを取っていって...一皿目

野菜は別皿に。ブロッコリーの長いヤツ(通称忘れた)が好物なので取ったのだが、まさかの生!え~

ノーマルのブロッコリーも生。マジか。せめてチンしよう、火を通した方が絶対美味しいよ?

まあ予想通りのもっさもさでしたわ。身体に良い野菜を摂取するためには、美味しく食べられる調理が必要なんだよなぁ...。

まあ全体的には満足!この安っぽいパンケーキがむしろ良い!


たっぷり食べて夕方まで戦えそうなので、いざ会場へ!


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今日からグランプリ...だけども、本日はトライアルのみだ。

なので、会場も狭いところだった。本会場前でいつになったら開くのかと待っていたら、なんとこちらは今日1日使って設営でオープンしないとのこと。

はよ言うてや!というわけでスタコラサッサと別会場へ...の、その前に。

今回、グランプリ・マスター・パッケージとダイアモンドVIPで登録している僕は、まずそれらのチェックインを済ませなくてはいけないのだ。

さてインフォメーション・ブースへ...オレンジのChannel FireballのTシャツを着たオヤジに聞いてみよう!

「まだここにはPCが届いてないんだ、お昼に来てくれ!」

応ッ!

というわけで、じゃあ先にラストチャンス・トライアル出ておくかと。なんせ不戦勝なし、ノーByeの身だ。

2回戦分の不戦勝は大きい、大きすぎる。9回戦マッチやってごらん、弾け飛ぶで。

ちょっとでも楽したいので、トライアルで不戦勝を狙いに行くのだ。というのはラッキーパンチが当たったら程度で考えていて、まあ練習出来たら良いかなと。

レガシーの「エルドラージ・ストンピィ」を引っ提げて行ってきた。


結果...

R1:Death and Taxes 勝ち!

R2:バーン 勝ち!

R3:感染 負け!


「感染」のドローがホックホク、バターを添えるだけで十分ごちそうなアイダホポテトレベルの温まり具合で瞬殺される。

50くらいのオヤジさんで名前はスティーブン、Byeは取れたんかな...。

勝っても負けても気持ちがいい、とこの時点で気付く。おいおいアメリカでやるマジック、楽しいじゃんかよ~。


お昼を過ぎたのでインフォメーションへ再び。

今度は打って変わってどえらい並んでる。

スタッフが「皆PCのデータ入力にベストを尽くしてるの!ちょっと時間かかってるけど許してね!」と大声で並ぶ僕らにアピール。

日本のグランプリでこんなこと言ったら無茶苦茶叩かれそう(笑)文化の違いを実感する。実際、頑張ってやってくれてるからええかって気持ちになるのが不思議。

いざ、僕の番が来てダイアモンドVIPの受付を。プレイマットやらメッセンジャーバッグやらのオマケはくれるも、名前が印刷されたバッジがまだ用意できてないから明日の朝来てねとのこと。


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ん、それじゃあダイアモンドVIPの特典「すべてのサイドイベントに参加するとスリーブを支給」が受けられないのでは?と思い聞いてみると

「あ~大丈夫、全員がネームカードを持っていないってことは皆把握してるわ。トーナメント受付する時に自分はダイアモンドVIPだって言ってみて!」

とのこと。マジでそれでいけるん?


Channelブースでカード売ったりして少し時間が経ってからの2回目トライアル。

受付で「Ah~ I'am Diamond VIP. So I want...」

「Oh, VIP. Ok.」

サクッとスリーブゲット。お~これがアメリカの大らかさ!

日本の形式を重視するカッチリしたシステムも良いものだとは思うが、アメリカの自由さもまた素晴らしい。

「こんなことで嘘つくやつなんかおらんやろ」ってことなんだろうなきっと。

さて2度目のトライアル。


R1:Sneak Show 勝ち!

R2:グリクシス・デルバー 勝ち!

R3:マーフォーク 負け!


「マーフォーク」とは1ゲーム目、2ゲーム目共に僅差の勝負になりトップデッキ対決となった。

対戦相手がソニック・ザ・ヘッジホッグのキャップをかぶりオレンジのタンクトップにグラサン、筋肉モリモリマッチョマンという情報量が尋常ではないヤツだったが(笑)

すごく礼儀正しく爽やかな好青年だった。ゲームの合間に「Very close!(僅差・紙一重の勝負だ!)」ととてもエキサイティングした様子。

トップデッキ勝負になったりギリギリのダメージレースになると皆「So close」「Close game」と分かり易い英語を言ってくれる。「Yeah so fun!」とか返してあげると良いかなと。

3ゲーム目は《基本に帰れ》を設置され、こちらの土地が機能しなくなり敗戦。これぞレガシーって感じで清々しい。

まだトライアルを受けられる時間だったので、正真正銘ラストチャンスに挑む。


R1:エルドラージ・ストンピィ 勝ち!

R2:Sneak Show 勝ち!

R3:Death and Taxes 負け!


最後の「Death and Taxes」戦もVery closeなゲームで実に楽しかったが、対戦相手の方がマナを縛る戦略に秀でている分、足を止められて負け。

エルドラージは長期戦になった時にただデッキトップでしか勝負できないのが辛いところではあるね。

不要な土地を持っといて、トップした《渦まく知識》で有効牌と交換みたいなことが出来ないから...終盤に引いた2枚目以降の《ウギンの目》とか、マジでどうしようもない。

そんな当たり前のことを久しぶりのリアルマジックで実感できたのであった。


さて、本日の成績は合計6-3。

これをグランプリに換算すれば所謂密入国ってやつだ。

そうなったらどうするのだろう。続けるか、折角のお祭りなのでシールドに出るか。

初日を6-3でドロップしたプレイヤーには、トーナメントの円滑な運営に協力した感謝としてプライズ・チケットなるものが与えられる。

これはグランプリのすべてのサイドイベントで得られるもので、これを特定のポイント数貯めれば、プライズ・ウォールなる景品交換所で賞品と交換してもらえるという訳。


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海外のグランプリでは定番となっているが、日本のグランプリでは大人の事情で導入するのが難しいのだとかなんとか。

ラスベガスのプライズ・ウォールにはパックやサプライは勿論、主催のChannel FireballのTシャツやパーカーなどのアパレル、そしてビックリしたのがシングル・カードまで置いてあった。

《熱烈の神ハゾレト》=50tixみたいな感じで、確かにこれはプレイヤーにとっても下手にパック貰うよりは嬉しいだろうなと。

話がそれたが、まあ9回マッチをやれば6-3くらいはできるかもしれない、というのがレガシーの感想だ。

ホテルに戻ったのが23時過ぎ。レストランは閉まっていたので、ホテル内の24時間営業のスタバでどでかいサンドイッチとスープのセットをオーダー。

十分腹いっぱいに。スープには塩気がなく、カウンターにある塩を振って自分で味を調整するものだったがそれに気づいたのは部屋に戻って口にした時。

まあ、野菜の出汁はギリギリ出ていたから食えなくもない...《滋養の群れ》だと思って飲み干した。

Bye取れんかったし、今日からこっち来てるくーやんと飯行ったらよかったかな...なんて思いながらサンドイッチを頬張り、少しゴロゴロしてから風呂→就寝のコンボ。

本番は明日からだ。コンディションだけは整えたい。何せ9回戦。これ以上ない長丁場!



4. レガシー in ベガス

正直なところ、勝てるなら今日この日しかない。

エルドラージは1年以上存在しているデッキで、その間に多少は触って馴染もある。


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デッキの出来ることの幅も少ないため、難しい2択などはそうそう迫られることは無い...つまりはミスが極力抑えられる。

モダンは練習を積まないと勝てないゲームということは、試行回数が尋常ではないみっくすやりゅうじがそれを証明しているのでまあ無理だろうと。

シールドは論外、アレも完全に練習ゲーで、コンバットトリックもまだ完璧に把握できていない。

だから勝つならここしかない。でもまあ...どっちでも良いかな。楽しかったら良いよ。楽しい一日にしよう。

対戦相手にちゃんとグッドラックと言える、そんな日にしたいなと。

シートオールの席を探し出して着席。デッキリストを提出し、参加賞のデッキケースなどを貰う。この中にプレイマット引換券が入っており、これを持って受付にいけば適当においてあるプレイマットと交換できるという寸法だ。本当に適当に置いてある。

さて、シートオール後に1回戦のペアリング発表まで若干時間があるのでトイレでも行こうか...と思い席を立つと、見慣れた顔もとい体躯の持ち主が近くに。

我が友、Marshall Satcliffだ!元々はポーカープレイヤーであり、公式のカバレージ・実況・リミテッド記事・ポッドキャスト番組Limited Resourcesの司会を務める、マジック関係コンテンツ界のスーパースターだ。

彼がなぜ僕と仲良くなったのか、正直なところはよくわからないが「My main man(我が親友)」と形容してくれるぐらいにはハマってくれている。有難い限りだ。

僕がプロツアー『アモンケット』にカバレージチームとして不参加だったことを一番悔しがっていたのは彼かもしれない(笑)

そんなわけでアルバカーキでは会えなかったが、こうしてラスベガスで再会を果たすこととなった。

とりあえずめちゃくちゃ喜んでくれて、こちらも嬉しくなる。とりあえずマーシャルはデカい、デカすぎる。

ただ僕もマーシャルにBig Showと呼ばれている。僕らは共にBIGだ!何の話だ。

Marshall「Big Show、勿論君の名前がショウなことは知っている。でもラストネーム(姓)は把握してなかった。教えてくれないか?」

僕「イワタ。I W A T A」

Marshall「Thank you(ニッコリ)」

...I had bad feeling about this.

とりあえずマーシャルにがんばれと一言貰って別れ、トイレへ。

ちょうど出た頃にはペアリングが貼り出されていたので、人込みを泳いで自分のナンバーを確認、そしてまた移動。

最初気付かなかったのだが、ダイアモンドVIPのプレイヤーはプレイエリアが成績に関係なく固定されている。そして、テーブルがクソ広い。一般席の3倍はあろうかというプレイスペースを与えられているのだ。

これは快適だったなぁ。途中のラウンドでプレイヤーが「なんでこんなに席が広いんだ!?」と驚いていたところに他の卓のプレイヤーが「Welcome to Diamond VIP play erea」と言ってて、あ~なるほどそういえばそんなの書いてあったなと。ウェルカムと言われた彼はお~毎回お前らと当たりたいぜと良い笑顔だったのも印象深い。

とにかく広く使ってプレイできるのはストレスフリーで最高だったね。やはり課金こそ正義か。

では、試合の方をザザザッと


R1:エルフ 負け

初戦を落としたんだが、何に負けたのか全く思い出せないので自分のツイートを見たら「エルフ」にボコボコにされていた(笑)

メインは超展開からの圧殺、サイド後は《虚空の杯》X=1で置くも割りつつ鬼の動きで4キル。かぁ~っ。

土地ばっかり引いていた記憶はしっかりとある(笑)

ここですぐ試合が終わったので、これを機にと受付に。

昨日貰えなかったダイアモンドVIPのネームカードとかを回収に。

これで大手を振ってVIPエリアに入れるわけだ。とりあえず行ってみよう!


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通常のVIPエリアはかつて日本にあったそれと大差はない。

日本の方が椅子とか豪華やったね。それは正直なところ。

ただ無料のドリンク(水・コーヒー)とお菓子は有り難い。

ポップコーンをパキパキいただく。うん、アメリカって感じだ。

クッキーも、常に成形された生地が送られてきて、それをおばちゃんがクッキーメイカー的なので焼き続けている。


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これが...早いラウンドではおばちゃんも不慣れなのか、あまり上手に焼けていない。ただ終盤に差し掛かると、熟練度が増して上手に焼けました~なサクサククッキーに進化していた。

進化していく過程に立ち会うのがちょっと面白い。グランプリ期間中はこのクッキーにお世話になった。日を跨ぐと焼く人が代わって、またよく焼けていない状態からやり直しなのも熱い。


ところでこれはVIPエリアの話だ。僕は1つ上の、ダイアモンドVIP。

真の課金戦士にのみ入室が許された部屋はこちら。

ダイアモンドVIPスカイラウンジ!2つ上の写真でも写っている、3階席だ。


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ここにはフリースペースと各種端末充電器、Twitchの配信を鑑賞する部屋に、コーヒーブースがある。

ここではちゃんと専属のスタッフがラテやカプチーノを作ってくれるので、温かいカプチーノで連日冷房でやられた身体をホッコリさせたものである。

専用の空間があるってのは良いことだ。上がるのが面倒というのもあって常時利用したわけではないが、リフレッシュしたい時や試合が観たい時にありがたく寛がせてもらった。

まあここもスタッフが常時いるという訳でもなかったので、正直なところ誰でも入れたっちゃ入れた(笑) さすがに全員ネームプレートをぶらさげてはいたけどね。

アメリカではそういうセコいことする人間はいないってことかな。

ダイアモンドVIPはVIPエリアの入り口でペアリングを確認できる。

僕はスマホのキャリアがアメリカでも問題なく使用できるものだったのでWi-Fiなど借りずに来ていた。

そもそもホテルにもWi-Fiはあるし、まあもしもの時も困ることは無いだろうと。

ただ、今回の旅行ではアメリカの回線にうまくつながらずに、会場でオンラインペアリングを見ることが不可能だった。

なのでこのサービスは有り難いことこの上ない。

さて、話は戻ってラウンド2。

場内にアナウンスが流れる。

「このラウンドのフィーチャーマッチは、Sho Iwataと...」

おいおいおい。

マーシャル、マジかよ。

1敗なんやけど?


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まあ海外の有名どころは皆2Byeは持ってるから、この辺のラウンドは誰でもOKってなことなんだろうけど...マーシャルが推して、ルイス(LSV)がイイネって言って、BDM(Brian David Marshall)が「アイツか、ガハハ!」って言ってフィーチャーが決まった、という光景が見える。

対戦相手の方は「いや~俺フィーチャーとか初めてだ!でもなんで俺なんだろう!」となんかソワソワと、実に嬉しそうな様子。

多分アイツらが...と説明してあげると「君のおかげなんだね!ありがとう!良い思い出だよ!」と試合前から熱い握手(笑)

さて、ゲーム内容はというとまあ「バーン」対エルドラはこうなるよな的な。

2ゲームとも1ターン目に《虚空の杯》X=1を置けたのが勝因。


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《難題の予見者》が強すぎるね、カード1枚失うとダメージソースがそのままなくなってしまうデッキだから。

《梅澤の十手》もメインから入ってるし、まあかなり有利じゃないかな。《発展の対価》だけは気を付けて。

ここから順番はちょっと覚えていないが、



勝ち:ディードスティル、12post、Death and Taxes、忘れた(笑)

負け:Omni Sneak、Death and Taxes、グリクシス・デルバー


こんな感じで、最後グリデルに負けて4敗して初日終了!

「Death and Taxes」との相性はちょっとわからんなぁ...終わってから対戦相手に聞いたりしたのだけれども、返事もまちまち。

クリーチャーのサイズで劣っている分こっちが不利だよと言うプレイヤーもいれば、軽くて先に攻めれて土地もハメれるからこっちが有利だぜと言うプレイヤーも。

やったところ、最終的に消耗戦のトップデッキ対決になるので...《全ては塵》を唱えられるか否か、ここかな。

やればやるほど「あぁこうプレイすれば有利になっていたのか」とかそういうことを学べて、実りのある9回戦だった。

とにかくすべてのラウンドで、対戦相手の感じが良い。爽やか、ノリが良い、紳士的。

対戦していて「あぁ、このプレイヤーとまた当たったら楽しいだろうな」と思わせてくれる、アメリカのプレイヤー達は皆素敵だった!

この文化は日本に持ち帰りたいところだけど、う~ん難しいのかな。

割と日本のグランプリはプレイヤー同士ピリピリしたところがあって、それはそれで真剣勝負の空気を味わえるのだけれども...。

敗けたプレイヤーに声をかけづらいところはあるよね、煽りになってしまうというか。実際に煽りになってしまっている例も多数見たし、体験もした(笑)

アメリカのプレイヤー達は勝っても負けても「Good luck!」とお互いの健闘を祈って笑顔でガッチリ握手できる。これはゲームとして本当に素敵なことだ。

日本でもそういう文化が良い具合に根付いたら良いな、敗けた悔しさ=不快という図式にならないグランプリになれば良いなと心から願うばかり。

日本のグランプリは参加人数、トーナメントの質など他国から高い評価を得ているので、だからこそそこでの体験の質も僕ら一人一人が意識して向上させたいものだ。

安定の初日でポンだが、とにかく楽しかったというのが偽らざる感想。

もっと練習すればもうちょい勝てたかもしれない、この程よい幻想が、またレガシーのグランプリに参加したい!という気持ちを早くも芽生えさせる。

さて、突然だがこの日の僕の行動パターンは3つ。

・マッチ

・VIPエリアで野稲くん(後述)と過ごす

・RKFブースに行く

RKFとは。Richard Kane Fergusonのことだ。誰かって?

90年代のマジックのアートを支えた、コアなファンを持つ激シブアーティストだ。

《筋肉スリヴァー》《黒き剣のダッコン》《略奪》などなど...独特もここに極まれり、何かに例えようのないイラストは僕らやちょっと上の世代のハートをガッチリわしづかみ。

とにかくシブくて、好きな人はめちゃくちゃ好きなタイプのアーティストなのだが、最近はマジックの仕事はしておらず(おそらくはリアル路線の今のマジックのイラストの方向性と合わないため)、

それ故にラスベガスくらいでしか彼の姿を見る機会はない。前回のベガスではカードを忘れてしまいサインを貰えなかったという失態を演じてしまったが、今回は抜かりなし!

ちなみにこのラスベガスにはRKFを始めとする、往年の名アーティスト・新進気鋭の最新セットを手掛けるアーティストらが合計で30名以上集まって、もうそれだけでイベントとして成立してしまっているんじゃないの?というレベルのブースを展開していた。マジック好きにはたまらないんじゃないかな。


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話は戻って、勇んでブースに行くと、そこには白髪のシブい老人が、1つ1つ丁寧にサインを行う姿が...彼がリチャードか。様になっているというか、実にカッコイイ。

スーツケースを土台にしたサイン台もラフで良い(笑)

簡素なブースながら、オリジナルプレイマットもいくつか売られていた。

その中に《黒き剣のダッコン》があったので、これはもう...と購入を決意。

日本じゃ買えないもんな、これは。


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で、サインしてもらおうと列に待機して僕のターン...って、目についたのはこちらの本。

これ、マジックのアーティスト達がマジック20周年を記念して作った"半公式"な同人誌。

20年経って、改めて描き直してみたイラストや現在の作品などをベテランアーティスト達が寄稿している。

これ、ずっと欲しかったけどどうやって手に入れればいいかわからなかったやつだ。

思わず「これは売り物?」と聞いてしまう。「ペンシルスケッチが描かれたハードカバーのものが110ドル、こっちのペーパーバックは20ドル。40ドルでオリジナルイラストをつけるよ」

おぉ!そんなん40ドル払うよ!ということでイラストをお願いする。これがまあなんとその場で突然描き始めて...ビックリ。

その姿を写真に撮りたくて「撮っても良いですか?」と尋ねると「あぁ勿論だよ!」と快諾。じゃあ描いてるところを...と思ったら本人がグラサンをかけてブースから出てきてしまった(笑)


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絵を描いてる途中に一緒に写真撮ってとか言う訳ないやん!と思ったが、ノリノリで楽しそうだったから良しとしよう。良い写真も撮れた。

リチャードはものすごく気合いを入れてイラストを描いてくれるが、こりゃ次のラウンドまでに終わるはずがない。なので、後で取りに来て良いかと尋ねると「勿論さ!今日は9時ごろまでいるつもりだし、何だったらこの週末もずっといるから、いつでも君の都合のいい時間に来てくれよ!名前を教えてくれ!」と返してくれる。ショーだよと告げて、その場を一旦離れることに。こういう時に海外の人に覚えてもらえる簡単な名前で良かったなと毎度毎度心から思うね。

それから、ラウンド間に暇つぶしも兼ねてちょくちょくリチャードのブースへ。

「すまない、もう少しだ」

「サインの列ができちまってね、まだ出来てないんだ...」

みたいなやり取りを経て、最終戦を前にしてVIPエリアに行こうとすると...ちょうどその前を通りかかったリチャードがコチラに気付き、手をふっている。

「Come on!!」どうやら完成したらしい。先導されながらブースへ。

さあいよいよ完成品とご対面だ!


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う~ん、RKFが僕のために描いてくれた一点もの!感動もんだ。

同誌のRKFページにサインも貰って、ダッコンプレイマットに《Hazezon Tamar》《筋肉スリヴァー》にもサインを貰って、ミッション達成!


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リチャードとはこれを経て仲良くなり、会場やホテルで度々遭遇しては話す中になれた。とにかくかっこいいおっちゃんやったなぁ~いや~ベガス行って良かった!

とりあえず初日を終えて、飯に行こうと。くーやんことキョンちゃんと、広島のプレイヤーで「旅するアドグレイス職人」である先述の野稲くんと、ホテルのレストランフロアへ。

1つの入り口から3つのお店にアクセスできるという、内装がアジアン隠れ家的なレストラン。


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野稲くんの希望でお寿司のお店を選択。カウンターに案内してもらい、腹が減っていたのでSUSHI PLATEとLas Vegas Rollを注文。

SUSHI PLATEは少々割高ではあるが、アメリカのレストランで食べるにはまあこんなもんだろうという価格。

内容も、しっかりと寿司の盛り合わせで悪くない。ラスベガスだけあって、ちゃんとしたお寿司だ。臭みなどもなく、満足のいくものだった。

玉ねぎドレッシングのサラダが先に出て来たのが印象的、あと味噌汁にレンゲが添えてあった(笑)

さて、肝心の"Las Vegas Roll"。これぞアメリカのお約束、カリフォルニア・ロールに代表される謎のSUSHIシリーズのご当地バージョン!

食さないわけにはいかないだろう。ラスベガス・ロールの説明書きはこうだ。

「サーモン・アボカド・クリームチーズ・ハラペーニョとスパイシーソース」

まあ、わかる。アボカドサーモン巻きのスパイシーソース添えってとこだ。ここで最後の一文が響いてくる。

「(Deep Fried)」

揚げてんすか?巻きずしを油で揚げるという、日本のお寿司屋さんではまあいただくことが出来ない、これぞSUSHI。

楽しみに待っていたら、カウンター越しにおばちゃんのSUSHI職人が手渡してくれた。


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Oh,looks so nice.

サクッと揚がっていて、揚げたて天ぷらの良い香りがする。

一つ口に放り込んでみる。程よいサクサク感と、マヨネーズ基調のまったりとしたソースの風味の中にピリッとくる唐辛子由来のの刺激。

サーモンにも軽く火が通っており、口当たりはふんわり。クリームチーズとアボカドと合わさり、溶けるタイプの食感だ。


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思っていたよりも美味い、創作料理として成立している。伊達にベガスの名は冠していないなと。

食しているとSUSHIおばちゃんがやけに絡んでくる。「そのソースは辛いぞ!」とか。

「ホットなのがラスベガスよ!」とか。日系人なんかな?大阪のおばちゃんの如き絡み(笑)

「大丈夫俺ちゃんもホットだよ~^^」「これがベガススタイルなわけね!」とかクソ適当にレスポンス。

世界中どこに行ってもおばちゃんに絡まれるという能力が誘発してしまった。こういうのも旅の楽しさだ。

ハワイの店員はふてぶてしいヤツが多くて僕は好きじゃないんだけども、ラスベガスは皆丁寧で好感度高い。

同じリゾートでも、方向性は大きく異なるんやなと。ハワイ行くならベガスかなとこういうところでも思うのであった。


あくまで個人の体験談ね。

野稲くんはここから深夜ドラフトへ、キョンちゃんはホテルが違うので解散と。

部屋に戻って風呂入って即就寝。

明日はリミテだ自信なす。



5.リミテッド in ベガス


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本日も朝食はビュッフェにて。朝飯って海外に来ると結構困るファクターではあるのだが、今回は朝食チケットがついているプランで本当に助かった。

ビュッフェを活かしてお昼の分まで食べてしまうのが食いしん坊のジャスティス。

マッシュルーム目玉焼きが美味い。アメリカ人は茸が好きなんだろうか、マッシュルームの何某かは必ずメニューにある。

ステーキハウスなんかへ行くと"Shiitake"の表記をよく目にする。椎茸も人気なのか。

あと今回はShishitou pepperなる表記をやたらと目にした。確かに、しし唐のグリル美味しいもんね。焼鳥屋に行ってこれのクオリティが高かったら嬉しいもんな。

十分に食ったので会場へ。またVIP専用の席へ移動して、シートオールでのんびりと待つ。

デッキケースがジャッジにより配布され、その中にスリーブと各種引換券などと共に、デッキ登録用紙と開封済みのカードも。


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Bye持ちがチェックパック済みのパックを使えるのは日本でも定番だけども、1回戦からのプレイヤーもこの恩恵が受けられるとは...さすがChannel Fireball、スケールがでかい。

日本でこんなことやろうとしたらスタッフ何人必要なんだ...考えるだけでも地獄。

とりあえず開封済みのカードとデッキ登録シートを向かい側のプレイヤーに渡して、ザッとチェックしてもらってから構築開始。

チェック済みなのは有り難いけど、カードの並びが適当すぎる(笑) 画像認識ソフトでも使って登録したのだろうか。

プールは...練習不足でよくわからないが、某記事のおかげで強いと広く認知されている赤白・赤黒のビートを組むにはクリーチャーが足りない。

レアには《イフニルの魔神》《毒物の侍臣、ハパチラ》を持つ黒緑でやりたい気持ちもあるが、これまた2色だとカードが足りない。

白には《絶妙なタイミング》《強制的永眠》と除去があって、かつ《信義の神オケチラ》もある。ただクリ―チャーがない。

これは...3色か。黒緑の-1/-1カウンターシナジーと、オケチラという純粋なパワーカード。ゲームが長引けば勝てる...のか?


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1R:赤白ビート 耐えてオケチラ勝ち

2R:赤黒ビート リリアナに粘りに粘られ無茶苦茶されて負け

3R:白黒ゾンビ 《黄昏》2発撃たれたりでチビるもオケチラで勝ち

4R:赤白ビート 2ターン目《栄光半ばの修練者》キツすぎからの《栄光をもたらすもの》で無事死亡

5R:赤白ビート 耐えてオケチラ 耐えてイフニル×ハパチラコンボ 最もデッキが回った

6R:赤白ビート 《栄光をもたらすもの》無理ィィィ

7R:ナヤビート 耐えてオケチラ

8R:赤黒ビート 相手のイフニルをなんとか捌いてこっちがイフニル展開したら《栄光をもたらすもの》!あかんて!


1勝1敗を繰り返しての4-4で終了ッッ


難しい...ていうか赤白&赤黒ばっかり!《栄光をもたらすもの》を3人も使ってくるとは思わなんだ。

あのカード何?仕事しすぎでしょ...必死になって作った戦場が一瞬で崩壊するのはもはや笑える。

対戦相手からは「シナジーが面白い!良いデッキだね」と言って貰えることが多くて嬉しかったけど、僕もグロォリィブリングしたかったよ...。

シールドもやればやるほど定石が身について、いろんなものをケアして動けるようになるのは楽しかったな。

『アモンケット』はプロツアー実況のお仕事がなかったからリミテッドは全くと言って良いほど触っていなかったが、これを機に久しぶりにガッツリリミテッドにのめり込むのも良いかもしれないと思った。

この日の夜はダイアモンドVIPのパーティー。

しかし詳細は全く分からない(笑)

何が行われるのか未知数だが、まあマーシャルはいるだろうと行くことに。

さて、まだ時間はあるのでアーティストブースを見て回ろう。


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Ken Meyer Jr.のブースを見つけたので、《Guardian Beast》にサインを貰う。一緒に《Guardian Beast》プレイマットも購入した。

これが30ドルは安いように思うね。ただ、買いだすと止まらないのでプレイマットはここまでにしておこうと決意。持って帰るのも大変だし。

ただ、Mark Tedinのブースにあったアルミ板に代表作を印刷したものはカッコよくて欲しくなる...エムラクールがプレイマットよりちょっと大きいくらいのサイズで、260ドル。

良いお値段だが、アルミに特殊なインクで印刷しているらしく、3Dにも見えて実にカッコイイ。

う~んう~んと悩み倒す。しかし気持ちの上ではかなり買う寄りだ。

一旦部屋に帰り、荷物を置いてから色々と仕事したりして、気が付けばちょうどいい時間。

グランプリ会場と同じラスベガス・コンベンションセンターの別室へ。その前に、プライズウォールでLimited ResourcesのTシャツを交換。

これを着てパーティー会場に。

まあまあ広い空間に、プレイヤーが150人くらい?

と、Channel Fireball関係の著名人&アーティストが大集合。

もう各々テーブルに着いたりして、酒盛りを始めている。

とりあえず会場に入って、よく晴れた日には日本からでもシアトルにいるその姿が確認できるくらいデカいマーシャルを見つけたので声をかける。

「Oh, whats up buddy? Hey hey hey, Big Show! Oh my god!」

僕のTシャツにそうとうテンションが上がったようで、何より(笑)


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写真を撮ろうとLimited Resources記念パシャリ。

撮ってくれたのがご年配のレディだったんだけども、彼女もプレイヤーなのだろうか。そうだとしたらアメリカのプレイヤー層ってぶ厚いな。

「Big Show、あっちにご飯があるよ。フリーフードだ」

「フリー?インフィニティ・コンボ?」

「好きなだけどうぞ(ニッコリ)」

「ストームカウント20いっちゃうよ!!」


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というわけでここでもビュッフェ形式。

タコスのコーナーに向かうと...スティーブ!Steve Argyle発見!

『タルキール覇王譚』リミテッドで開催されたグランプリ名古屋2015以来か。元気そうで何より。

スティーブも覚えてくれていて、また日本に行きたいよ~とかこの週末僕の手首はサインのし過ぎで完全にぶっ壊れるだろうねとか話してくれました。

相変わらず爽やかでいいやつだよ~そして体がゴツイなと再確認。

同じくアーティスト関係者として、前日仲良くなったリチャードが。バドワイザーで乾杯!

そして同じテーブルにて終始ニコニコしていた、日本大好きなMark Tedin師匠とも挨拶。

師匠、僕エムラクールのプレート買おうか迷ってるんですよ!と告げると

「あれはすごく良いわよ、買っちゃいなさい!」

と、何故か奥さんがノリノリに(笑)


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師匠曰く「あれは3枚しかなくて1枚は売れたから...明日来てくれれば、買えると思うよ!」とのこと。

そんなに少ないのか!だったら買うしかない!軍資金はある、プレイマット購入などを耐えた分まだまだ一応は戦えるのだ...。

流れでRob Alexanderにも挨拶。ロブ先生、お酒好きで有名ですがすでにだいぶ酔いが回ってるよう。

「BIG MAGICのグランプリは最高だったなぁ~また日本に行きたいよ!日本のファンは最高!」

お世辞でもこういうの嬉しいですよね。

「俺はBig Web マンの素顔を知っているんだ...彼はお酒に弱い(笑)」

ゴキゲンで何より(笑)

その後またマーシャルと合流。

ルイスの盟友、Paul Cheonを紹介してもらう。


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ポールさんも、「プロツアー『霊気紛争』でトモヒロ(鍛冶さん)と一緒にインタビューしてくれたよね」と覚えててくれて感激だ。

明日のモダンは何使うの?とか気さくに話しかけてくれて、超良い人だった。ルイスに愛されるのもわかったような気がする。

さて、マーシャルとポールさんは「ちょっと行ってくる」と壇上へ。

Limited Resources出張版のような感じで、トークショーが始まった。


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「『イクサラン』では恐竜が出るって?『未来予知』にもそういえば恐竜がいたよね...わかる人?」

「はい!インペリオサウル(《放漫トカゲ》)!」答えたのは観客席後方に陣取っていたほろ酔いのReid Duke!(笑)

その他、ルイスとポールさんの思い出話(基本的にルイスが無茶苦茶ないたずらをする)とかで、楽しいトークショーだった。

ポールさんは何故かポールでなく"ポールさん"と呼びたくなる...そう思わないかい?どうでもいいか。

トークを終えたマーシャルが、彼のファンらしき人々に囲まれて何やら盛り上がっている。

僕を見つけたマーシャルが「ちょっと来て!」と呼ぶ。

行ってみると「彼は僕の友人のBig Show、日本出身なんだ」

「お~」と人々も謎のリアクション。

「彼なら、我々が面している問題を解決してくれることだろう」

??

「Big Show、このカード名を読んでくれないか?」

そう言ってマーシャルが見せてきたのは《梅澤の十手》のカード画像?

「英語で?」「うん、どっちでも良いよ」

「ウメザワズ」「よく聞いてよく聞いて!」「カモ~ン!」

「ジッテ」

「Yes!!!」「Oh my...」

Jitteをなんと発音するかで勝負していたとのことだ、くだらね~(笑)

おそらくメキシコ系の人達が「ジット」と読むと主張してこの勝負に発展したらしい。

どうでもいいんだけども、なんか楽しかった。インド系っぽいおっちゃんが「ウメザワノジッテ、デスネ」とか急に日本語喋りだしてビックリしたり。

パーティーを満喫したので、そろそろ戻るよとマーシャルに告げホテルへ。

部屋に帰って明日のデッキを用意。詳しくは公式で書いてるデイリー・デッキのこの回の冒頭に。

こんなもんで良いかと納得したところで、さあ寝る...にはちょっと早い気も。いやもう十分に良い時間ではあるんだけども、せっかくラスベガス来たしな...と。

1階に降りて、カジノへと繰り出す。

良いんだよ、カード売って多少はお金あるから...と、強気になって。

なんとなく、一番でかくて派手なスロットマシンに腰を下ろしてみた。シートもデカくて豪勢だ。

2メートルくらいあるデカい筐体、全面スクリーンで完全にデジタルのスロットである。

クラシックなリールが回転するスロットマシンもあるが、今ではもうこのデジタルが完全に主流のようだ。

とにかく演出が派手なものが多く、見ていて飽きない。

その中でも特に存在感を放っていた「Buffalo Grand」というこのマシン。

アメリカに来たからには、アメリカらしいものをという意味も込めて、100ドル札を投入。

ルールは簡単、かける額のボタンを押すだけでデジタルリールが回転し、自動でストップ。

役が出来ていればそのままポイント(即ちドル)ゲットだ。

縦に何かが揃う事にはあまり意味がなく、5本のラインで左から何列同じ柄を連ねることが出来るかという勝負。

まあフルオートなのでこちらはただ賭けて見守るのみ。目押しなどの要素もない。

数字はどれだけ揃っても弱く、煽りのような小銭をくれる(50セントとか)。


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動物が揃えばそこそこの額となり、なかでもバッファローは3列以上揃うと祭り!

揃った列と柄の枚数からポイントが決まり、5列バッファローが並ぶととんでもないパンチになることも。

そして肝心要がWheelの存在。これが5列の中に3つ以上登場すると、けたたましくベルが鳴り、Wheelステージへ。


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画面が切り替わって、巨大なルーレットを回してボーナスをゲット!

これが熱く、1等はなんと130万ドル(笑)

まあそんなのは出ないにしても、結構な額が飛び出す仕組みに。


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ルーレットを回すと「20Free Game」などがヒットすることもあり、文字通り賭け金なしでスロットが回り続ける。

この状態でWheelを2つ引くと、さらにフリーゲムの回数が延長される。これをストームと呼ぶ(我々の間だけで)。

これがオイシイ要素で、このまま延々回し続けてバッファローが飛び出すのを待つというコンボデッキ的ムーブを決めることが出来る。

このボーナスステージのBGMが西部劇感があってカッコよく、異常な中毒性を誇る。


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バッファロー(正確にはアメリカンバイソンなのだが)が3列以上揃うと「バッファローーーーーー!」という雄叫びが。

フリーゲーム中には当たりを引くとハクトウワシが雄叫びを上げまくるという...とにかくテンションが上がるゲームである。

僕の100ドルもこのルールを理解する前にすごい勢いで溶けていったのだが...

5ラインバッファローで一気に回復!

そこからWheelが揃い(Wheelが2つ出るとリール回転中にバッファローの蹄の音が響き渡り、シートがぶるぶると揺れだす)、フリーゲームでストームが延々稼がれ...。

気が付けばイカつい額になっていた。グランプリ・ラスベガス、マネーフィニッシュ!

隣のシートのオヤジと一緒になってお互いのリールに一喜一憂して楽しんだものである。

とにもかくにも、オイシイ。



6.モダン in ベガス

もうお気づきのことでしょう、マジックのゲームに関する話はスカスカだ。

しょうがない、勝っていないし、マジックのゲームの内容よりもラスベガスでしか体験できないことの方がより重要だという姿勢で参加したので...。

プロポイントや賞金、プロツアー参加権利をかけての真剣勝負のみがグランプリではない。

そういうものに興味がないカジュアル勢だって、わざわざ海外に行ってまでグランプリに出ていいのだ。

その時その空間を楽しみたいという気持ちが一番大事なんじゃないかな。

だからモダンも、「タイタンシフトfeat.龍王」というただやりたいことをやるだけのデッキで挑んだ。

《桜族の長老》を《コラガンの命令》で回収して普通に土地を伸ばして、《龍王アタルカ》なんかでサイド後はコンボを特に狙わなくても殴り勝つみたいな設計思想に基づいたデッキだ。

《山賊の頭、伍堂》で《殴打頭蓋》を持ってくるというヤンチャな戦略もある。

やりたいことやってやるってぇ!


R1:バント・エルドラージ 〇××

相手が1ゲーム目開始前のマリガンチェックで再度のカードが入っていることに気付き、そのカードを除いた状態で6枚の手札になるようマリガンという不運なスタート。

しかし《難題の予見者》《現実を砕くもの》と連打されて残りライフは1に。

ここで《風景の変容》トップデックで噴火勝利!

するも...2ゲーム目、3ゲーム目共に《難題の予見者》連打で沈む。3ゲーム目は2ターン目から3連打でもう手札には土地しかないよ!(笑)

《コラガンの命令》は1枚も引かなかった。


R2:死の影グリクシス 〇×〇

マジック歴はまだ浅いプレイヤーだったので、《溶鉄の先鋒、ヴァラクート》の能力などを丁寧に説明しながらゲームを行った。

そのせいで、2ゲーム目はサイドボードを入れ忘れてしまうというヘマ(笑)

タイタンから噴火で勝ち。《コラガンの命令》は1枚も引かなかった。


R3:バント・エルドラージ ××

1ゲーム目《難題の予見者》2連打

2ゲーム目《難題の予見者》2連打

予見者キツすぎ!手札がマナ加速だけになってグズグズにされる気分はサイアクだ!

《コラガンの命令》は1枚も引かなかった。


R4:親和 ××

1ゲーム目、対戦相手が1ターン目に手札をすべてダンプした上で2ターン目のトップデッキが《頭蓋囲い》!一瞬でライフが消滅ゥ。

2ゲーム目、対戦相手が1ターン目に手札6枚ダンプしながら《呪文貫き》を構える鬼のブン、からの《頭蓋囲い》!一瞬で毒に塗れるゥ。

ここでこそ火を噴きそうな《コラガンの命令》は1枚も引かなかった。

一瞬で3敗!こっから無傷の5連勝なんて無理やろ!と心が折れてサッサとドロップ。

難題連打からの瞬殺×2は辛さがあるが...まあいい意味で諦めがついた。というか心底、Byeが欲しいと思った(笑)

店舗のトライアルがなくなるから、これからはラストチャンス頑張っていくしかないかぁ。

というわけで初日でポンどころか昼過ぎにポン。ここで4日間マジックをやってきたツケが一括清算でドッと疲れた。

ホテルに帰還して、仕事をして寝る。

まあまあ寝てスッキリしたところで、17時半ごろ。

いけないいけない、慌てて準備する。

数時間前、Mark Tedinのブースに寄った際...

「Las Vegas Special Auction!」の貼り紙と共に、《ウルザの魔力炉》の4種類のイラストを繋げた、スペシャルなイラストが展示されていた。

これは欲しい!どうせスロットで得た金もあるし...と。18時からオークション開始とのことで行ってみると、ギリギリ着。

Mark師匠が立ち上がって数字をカウントしている。これは...もう始まってんじゃん!

急いで用紙を見ると、まだまだ余裕の額。

上乗せした金額を書く。

もう一人、書く。

こっちも負けじと。

大台に乗せてくる。

ええい心を折らんと気持ち多めに上乗せ!

「...You got it!」

諦めた入札者が握手でGood Games!

というわけでオークションに勝利し、念願のMark師匠のリアル・アートを獲得!

いやったぁぁぁぁぁ!


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Thank you Buffalo!!!!! バッファロー軍資金のおかげだ!

というわけで、Mark Tedinアートをフル装備!グランプリ優勝!


Markの奥さんがすごくテンションの高い人で、色々やり取りしている間もずっとゲラゲラ笑っていて面白い人だった(身長は180cmくらいあったように思う)

いや~こうやっていろんな人と出会えるのがマジックをやっていて一番の喜びなのは間違いない。これからも色んな出会いが待っているはずだ。

この夜はバッファロー祝賀会としてキョンちゃん野稲くんを飯に誘う。

キョンちゃんが歯が痛いとのことで、食べやすい麺類でも食おうかとチャイニーズ・ヌードル・レストランへ。

カニ焼き飯とチャーシュー・ポークをシェアし、僕はパッタイを・他二人は醤油ラーメンをオーダー。


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「北米では、カニは安牌」というのが僕の持論で、アメリカとカナダで数回カニを食べた経験があるのだが、高い店安い店関わらずカニ〇〇はいずれも美味かった。

カニ焼き飯もたっぷりとカニのほぐし身が入っていて食べ応えバッチリ。

チャーシュー・ポークは、所謂スペアリブだった。甘辛い味付けがビールに合う。


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そういえばラスベガスはわざわざ年齢確認をしてこなくて気分が良い。

アメリカは未成年に酒を提供すると問題になるらしく、旅行者は見た目で年齢が判別しづらいとかでパスポートの提示なしでアルコールを注文できないことがある。

...と言いつつも、まあこの見た目だし大抵は問題なく売ってくれたりするんだが時折厳しく行っている店もある。ハワイでは目の前のアメリカのねーちゃん達にヘラヘラして何もチェックしなかったバーテンが、

僕ら日本勢には無茶苦茶ふてぶてしい態度になり「ID出せ」と言ってきたことがあった。なんぼ何でも理不尽やろうとキレてしまったが、ベガスではこのストレスはなかったね...州によって厳しいゆるいがあるとか聞くが、個人的にはどこにいっても綺麗でしっかりした店ならとやかく言われないと思っている。

パスポートを常に携帯しておくのが良いでしょうと。免許証だと平成表記なので理解してもらえない(笑)

メインのパッタイは、まあ大体スベリ知らず。スイートチリソースで食べるタイの焼きそば風の料理で、生のもやしが和えられているのが特徴か。

好物なんですよこれ。

甘すぎると食べるのがしんどくなるが、程よい加減で。

お腹いっぱいになったので解散。キョンちゃんはモダンの二日目、野稲くんは初日でポンしてどうしよっかなぁ深夜ドラフト行こうかなぁみたいな状態。

とりあえず解散、部屋に戻って多少荷造りをしておいて、風呂入って就寝。



7.ラストナイト in ベガス

7時前に起床、身体がやたらと冷えていたので、とりあえず風呂。

もうちょっと、もうちょっとバスタブが深ければ何も文句は言わない!

そういうのがお望みならジャグジー入れってことはわかってる、でも自室の風呂がええんや!

身体を温めながら、同じホテルの野稲くんに連絡。

彼の宿泊プランでは、朝食がついていなかったらしい。

僕は日数分貰っているチケット1枚で二人まで対応だったので、折角なので朝食に誘う。

2人でしょうもないことを言いながら朝食ビュッフェを。

朝の静かなひと時...のはずが、ウェイターのおばちゃんがコーラのジョッキ×2ほどを僕らの目の前で床にぶちまける。

スタッフ達からAre you ok?と確認され、Okと答えると席を変えるとか特に何もないあたりがなんともアメリカ的。

そのまま横でスタッフがバタバタしてる中食事を続け、PTQに出る野稲くんが先に上がる。食後のコーヒーを一杯やってから、僕も自室へ。

今日の予定はまだ組んでいなかった。観光しても良いな...グランプリ会場で得るべき経験はもうコンプリートした感があった。

ただキョンちゃんはモダン二日目で野稲くんはPTQとなると、一人で回ることに。全然良いんだけども、ベガスでわざわざソロもなぁと。

飛行機は翌朝の7時発で、ホテルは5時ごろには出たい。

なので、今夜は徹夜をした方が良い。飛行機で寝て、時差を軽減する。

だったら...寝よう!体が冷えた反動か今度は少し熱いし、寝るのが安定行動っぽい。

ということで、ベッドへ。一瞬で溶けたのであった。

眠って起きて水分補給、また寝て...を繰り返して夕方。

こっから翌朝7時まで走れるベストコンディションッ!

とりあえず、買い物したりブラブラと。ベガスのクソ暑いけど日陰は過ごしやすいという空気も、今の内に楽しんでおかないと。

湿気により体力は奪われるものだということがよくわかるね、夜中には喉乾いたりするけど乾燥した気候は過ごしやすい。

ちなみに、ラスベガスで一番高い(割高)な飲料は水です。

水が1リットルほどでコンビニで3ドル前後。

ゲタレードやパワーエイドといったスポーツドリンク、ビタミン飲料なども同じようなサイズで1本3ドルと表記されていたりするが...

物によっては、3本買っても同じ値段です。そういう表記がされていて、初めて利用した2年前はえぇ?と半信半疑でレジに持っていくと実際に3本で3ドル。

こんなことあんのか?と思いますが、アメリカのコンビニやスーパーではこういった物の売り方をすることが度々あるようで。

これも文化の差かな。というわけで、アメリカに行くとよくパワーエイドのお世話に。甘くなくてすっきりした味のものが多く、オイシイです。

ついでに、コンビニや自販機で缶や瓶のスターバックスのコーヒーも買える。瓶が1本4ドルちょい。2本で4ドルちょい。2本買うな。


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さて、本戦の思ったキョン坊、PTQで敗れてしまうも会場でマジックエンジョイ勢と化していた野稲くんから連絡があったので合流。

せっかくなので、最後の夜は中心街へ出かけようとモノレール駅へ。


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この駅が...暑い!(笑) 茹だるような暑さとはまさにこのこと。もう夜9時とかだったと思うのだが、とにかくあっつい。

はよモノレール来てくれと願うこと10分ほど。自動運転のモノレールが到着。

ラスベガスでモノレールに乗るのは初めてだったが、結構便利かもねコレ。どこまで乗っても料金同じで、24時間乗り放題チケットなどもあり実際深夜も動いているようで。目的地までも結構な速さで着くし、ラスベガス内の移動はタクシー要らずか。2年前使わなかったことがやや悔やまれるなぁ。

乗り心地はお世辞にもいいとは言えないガタガタ揺れるモノレールで、所謂ストリップ通り、ラスベガスで最も華やかでホテルがひしめき合うエリアに移動だ。

ストリップ通りと言っても、そういうお店ばっかりあるとかそういうわけじゃないのでご安心を。


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巨大なホテルとカジノが睨み合う、ここがベガスのTier1だ。ホテルの世界選手権だ。

「0.ベガスの起こり」でも取り上げたフラミンゴ・ラスベガスがこの通りの生き証人的ポジション。

かつてマフィア達が、そして現在はホテル王ら実業家たちがその欲望をかなえるために築き上げた、各々の帝国。

僕らはその城を見上げ、そのスケールの大きさにただただ「デケェ~」と吐露するばかりだ。

2人の要望で、"ヴェネチアン"へ。1999年にオープンした、「全室スイート」を謳う巨大ホテルだ。


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イタリアの水都ヴェネツィア(ヴェニス)をイメージして作られており、なんとホテルの中にヴェネツィアの街並みを再現したフロアがある。

天井に空が描かれており、ゴンドラが行き交う運河まである...来るのは2度目だが、やっぱすげぇなぁ。金の力に語彙も消失してしまう。


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このヴェネチアンで最後の夕食。

ウェイターの兄ちゃんに「この一番上等なステーキを!」と注文すると「オーダーできるか確認してくるので、しばらくお待ちください」と。

確かに遅い時間帯、まあ注文できなきゃそれでしゃーないなと思っていたのだが。

その兄ちゃんが帰ってくることはなかったという...。

しゃーないので他のウェイターが来た時にSUSHIプレートを注文!

OMAKASEとのことで、内容はその時々によって変わるらしい。


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初手、白身魚やなぁと薄暗い店内で見えにくい寿司を口に放り込むと...これがまさかのフグ。

ジャクッと歯が入り、シコッと押し返す弾力が堪らない。ポン酢ともみじおろしもちゃんと日本のものと遜色なく、美味い。

スターターとしては大満足、これでスイッチが入って大トロやウニを堪能。

晩御飯で大満足したところで、せっかくだからと2人をカジノデビューさせることに。

ヴェネチアンの地下、カジノの大広間はRoll'in!!

いろいろ見て回ったが、結局ルールを僕がある程度把握しているBuffalo Grandをプレイすることに。

客が入れ代わり立ち代わりプレイする、やはり人気台なんだなと。

カジノ内をぐるっと回っている間に空いていたので、野稲くんが着席。

さあ、君もバッファローの大群とご対面だ!


・・・

・・・・・・


一瞬で溶けた。通称"瞬溶け"。100ドル札を入れたと思ったら、あっという間に70セントになっていた。

ラスベガスの恐怖を、僕達はこの時目の当たりにした。

2年前にも黒田さんが瞬溶けを経験していたのを、今この場で思い出した。

恐ろしい...とりあえず野稲くんの「何も当たらなかったんすけど...」がとにかく面白い。

続いて同じ席にキョンちゃんがライドオン。

同じく100ドル札をインして...

2回転目。

「バッファローーーーー――!!!」

ものの10秒ほどで倍に!

そこからWheelボーナスにも突入して、10分ほどで数倍になってしまった。

恐ろしい...とりあえず野稲くんの「(俺は)何も当たらなかったんすけど...」がとにかく面白い。

他にはマイケル・ジャクソンのスロットが数種類、ワンダーウーマンやバットマンなどDCコミックものもそこそこ、モノポリーとのコラボゲーなどとにかく様々なスロットがそこかしこに。

ちなみにマイケルで溶けを経験。歌とMVが流れる演出は面白いんだけどもね(笑)

 

そこそこ時間も潰したし、ぼちぼちホテルに戻って各々荷造するかと。

モノレールに揺られて帰還。

この時なんか熱っぽくフラッときて「体調悪くなりそうだな...」と思ったので、ロックスター(エナジードリンク)を駅の自販機で購入。

グイッとやって数分、たちまち体力が回復していくのがよくわかる。

海外のフェスに行くと、主催のエナジードリンク会社がフリードリンクを配っていることが多くて、その効果は実感済みだったので...日本では売っていないような天然素材を用いたお茶っぽいフレーバーのものもあったりするので、アメリカに行った際には色々チャレンジしてみて欲しいね。

とりあえずホテルに帰って荷造してから温かいお湯に浸かって...完全回復!

この時点で2時くらいか。暇なので...野稲くんが「ウェストゲート戻ったらバッファローリベンジします!」と豪語していたので、カジノへ誘う。

先に降りて、さてバッファロー...


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我慢して回し続ければ、ハジケの時は確実にやってくる。

瞬溶けしそうになっても慌てない。Wheel揃って大逆転。

野稲くんがやってくる頃には、完全勝利を果たしていた。

いや~ホクホクやね。バッファローの加護あれ。

で、野稲くんも負けじとチャレンジし...


彼は...


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闇に...


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飲まれた。


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そして約束の5時。僕らは6日間お世話になったホテルを後にし、帰りのタクシーに乗り込んだ。

早朝のラスベガス。白んできた空に、そろそろ寝ようかなぁという雰囲気が満ちてきた「夜の街」。

旅のエンディングに相応しい、良い空気だ。


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太陽が昇る前、少し肌寒いラスベガスを後にして、僕らは空港にチェックインした。

アメリカから出国する際には、入国時の厳しさが嘘のようにガードがゆるい。

出ていく分には何も言わない、アメリカらしさを感じるね。サンフランシスコの乗り継ぎも、Too easy.

ターミナルを移動するだけだ。帰りが楽なのは本当に助かる。


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とりあえずお昼ご飯を済ませて、飛行機に乗り込んだら気持ちよく爆睡。

11時間ほどの旅もあっという間に終了。

帰りには機内エンターテイメントで「The Founder」という映画を観た。

ざっくり言うならマクドナルド・ビギニングみたいな。ビジネスチャンスをモノにするために、情なんかかなぐり捨てて行動する主人公の姿勢は、すべての勝負ごとに通ずるような気がした。

僕は...マジックに関しては、勝っても負けても結果が気にならなくなるくらい楽しいゲームをやっていけるように、対戦相手にも同じように思ってもらえるように、カジュアルな姿勢で続けていけたら良いかな。

いつまでも、マジックを好きでいられたら、人生の楽しみが1つ約束されるよな...そんなことを考えながら、気が付けば関空に着陸。

気温は言うほどでもないが、湿気がムワッと、大変蒸し暑い中電車に揺られて我が家を目指したのでした。

また来年、再来年でも、次にグランプリ・ラスベガスが開催されることがあれば、絶対に参加しよう。

最後まで読んでくれたあなたも、次の機会が訪れれば是非ともそれを逃さずに、ラスベガスでしか味わえないグランプリ体験をしてほしいね。

それじゃあまた、世界のどこかに行くことがあれば、こうやってレポートでお会いしましょう。

by 岩SHOW/Big Show