【GP京都2017】Day3 最終ステージイベント 晴れる屋vsBIGMAGIC Series5 「マジック大相撲京都場所2017」



text by Seigo Nishikawa

 

「京都」

嘗て政治的にも国土的にも日本の中心として君臨した古の都。桜咲き乱れる春、うだるような暑さもまた夏らしく、秋には紅葉を楽しみ、深深と雪が降り積もる冬を迎える。これほど四季の移り変わりを楽しむことができる町もそうは無い。

 

「相撲」

いわずと知れた日本の国技であり、見たことも聞いたこともない、という人はまずいないであろう。そもそもは日本古来からの神事であり、そこから発展して現代の大相撲が行われている。横綱白鳳関の最多勝更新のニュースは、号外で伝えられるほどの関心事であったのもつい先日のことだ。

 

「Magic:The Gathering」

1993年にアメリカで誕生したカードゲームは瞬く間に世界を席巻し、日本もその例に漏れることはなかった。来年には25周年を迎え、もうその勢いはとどまることをしらない。そんなことは今更語らなくても皆様のほうが良くご存知のことと考える。

 

 

京都とマジックの関係は深い。1999年を皮切りに、2000年・2003年・2007年・2013年・2015年・2016年、そして今年と実に8度ものグランプリが開催。直前に迫ったプロツアーは8年ぶりの日本開催と騒がれたが、前回の2009年の開催地もここ京都。京都なくして日本のマジックを語ることはできないのだ。

京都の地でプレミアムイベントが行われてから既に18年。プレイヤーにとってはまだこの世に生を受けていないという人までいるかもしれない。そんな古の時代からマジックは存在し続けている。

 

古の時代からあるもの、それは相撲。

 

今、3つの符号が合致する

 

 

【GP京都2017】Day3 最終ステージイベント 晴れる屋vsBIGMAGIC Series5 「マジック大相撲京都場所2017」

 

晴れる屋とBIGMAGICがグランプリで対抗戦を始めてから既に5回目。過去の4回の対戦成績は2勝2敗の五分、前回の静岡決戦で引導を渡すつもりであったBIGMAGICはその思いを挫かれ、そして晴れる屋の中嶋は、勝利の勢いに高らかに宣言した。

 

「決戦は次に持越しですね」

 

これを受け急遽BIGMAGICグランプリ実行委員会が召集。京都における今再びの激突が決定されたという次第である。だからといって何をすればいいのか、実行委員会は頭を悩ませた。

 

「京都なんだから相撲しかないやろ」

 

そんな沈滞した空気を断ち切ったのは、グランプリ実行委員会とマジック横綱審議会を兼ねる岩Showの一声。誰も「だから」の部分には疑問を差し挟むことも無く、相撲対決が決定したのである。

晴れる屋に京都での再戦と相撲で行うことの連絡を入れると、これに快諾の返事。お互いに出場メンバーの選出に入ることとなった。

 

これで舞台と内容は決定した、となれば後はこの戦いを見届ける中立の存在、即ち軍配を誰に託すかだ。

だがこちらは思いのほかすんなりと決定した。過去に晴れる屋vsBIGMAGICの戦いをレフェリーとして裁いた男。その男の名は式守小出ノ助。伝をたどって連絡を入れると、「受けましょう」という返事。このために海を超えてドバイより帰国。

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前日は徹夜してYoutubeで行事の勉強をこなした、式守小出ノ助

 

なおこのイベントはYoutubeにも動画をUPしていますので、そちらも是非あわせてご覧ください。

 

行事の呼び込みに誘われ土俵にあがった10人の力士をご紹介しよう。



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東方、斎藤部屋所属の力士。

右から順に、小結中主税(なかちから)、横綱八十乃神(やそのかみ)、大関出座仁関(でざにぜき)、前J乃洲比(じぇいのすぴ)、横綱晴乃海(はれのうみ)

 



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西方、藤田部屋の力士

右から順に、横綱藤大鵬(ふじたいほう)、関脇徹錦(とおるにしき)、大関松乃栄(まつのえい)、前頭滝乃行(たきのぎょう)、小結浜地藤(はまちふじ)

 

まさか斉藤部屋が外人力士を連れてくるとは、その姿を見た藤田部屋の面々には一瞬の緊張感が浮かぶ。しかし




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ジェレミー・デザーニがこんなことやってくれるなんて......さすがにはるばる日本まで来て肉襦袢着せられるとは夢にも思っていなかったに違いない。舞台裏では中嶋が「I'ts Japanese Traditional Style!」と説明していたが、少し間違っているような気がしないでもない。「Pros.脱退します」とか言い出さないかだけが不安である。

 




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藤大鵬と徹錦は拒否......したわけではない。単に予算の都合である。すぐに素晴らしい姿を見せてくれるので乞うご期待。

 



取り組みその1 中主税 対 浜地藤 ~尻相撲にてはっけよい~

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両部屋の先陣を切るのは、中主税と浜地藤。浜地藤は対抗戦初登場だが、実は中主税は皆勤賞(それもどうだろう)。とにかく始まる前から目をらんらんと輝かせ、今日への意気込みを語っていた。一方の浜地藤は、紳士にマナーを守って勝負に向かうことを宣言。



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しかし、気合の入り方が違ったか、それとも体格の差か(120%後者だが)まずは中主税がさい先良い勝利を部屋に持ち帰ることとなった。

 




取り組みその2 出座仁関 対 対 滝乃行 ~腕相撲にてはっけよい~

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このために斎藤部屋が呼び寄せた最強力士、出座仁関。真剣な表情でその右手を差し出す。それをがしっと掴んだ「相撲といえば僕」を自称する滝乃行。これはもしかしたら面白い勝負に

 

...

......

.........

 

なるはずもなく



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出座仁関、涼しい顔で完勝。藤田部屋もある程度折込済みの敗戦とはいえ、ここまでの力差を見せ付けられることになるとはと悔しがる......ことはなく爆笑してましたね。



しかし、思いはどうであれ、斎藤部屋あっという間の2連勝。このままでは大将の出番無く終わってしまいかねない。

 



取り組みその3 八十乃神 対 松乃栄 ~紙相撲にてはっけよい~

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同じ紙でも、今日はカードを、それぞれのマスコットキャラクターに置き換えて、二人のプロプレイヤーが対峙する。どちらも頭脳派力士だけに様々な戦略を思い描く。

八十乃神「横叩いてもいいの?」

式守小出ノ助「土俵(上)だけにしてください」

行司がしっかりと目を光らせる。

 

とにかくここで勝たねば後が無い藤田部屋。松乃栄は「僕は勝敗には余り関係ないので」と少し気が抜けた挨拶をしていたが、やはり勝負を前にすると顔つきが変わる。部屋の為にも負けるわけにはいかない。そんな松乃栄の気合が乗り移ったか、ビッグウェブマンがはれるやくんに体を預けるとそのまま押し倒しに成功し、星を一つ取り返す。



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あまりにすぐ倒れたはれるやくんに、思わず「何か仕込んでるんじゃないの!?」と八十乃神から猛抗議。だがそんな細かいことができるスタッフはこの場にはいない。

  




取り組みその4 J乃洲比 対 徹錦 ~手相撲ではっけよい~

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なんとかして最終戦に持ち込みたい徹錦に対するは、晴乃海を出すまでも無いと意気込むJ乃洲比。ところで四股名にアルファベットって使ってよいのだろうか。まぁそんな疑問はさておき。

お互いいきなりフェイントから入るというトリッキーなスタート。体格的にも互角であり当初は一進一退の攻防であったが、J乃洲比が少しバランスを崩すと、徹錦は一気に攻めかかる。




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まるで覆いかぶさらんかという勢いの前に思わず土俵を割ってしまうJ乃洲比。この結果をもって決着は最終戦に委ねられることとなった。

なお、最終戦までいってくれて一番ほっとしたのはスタッフである。

 




取り組み5 晴乃海 対 藤大鵬 ~マジック相撲ではっけよい~

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最終戦は、やっぱりマジックで......といってるのにいきなり組合を始める両者。往年のライバルたる両横綱は、久々の直接対決にもういてもたってもいられない興奮状態。

これまでに幾度もの名勝負を繰り広げ、常にお互い追いつき追い越せの精神でここまでやってきた。



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しかしながらここ数年は、藤大鵬がプレミアイベントへの出場を控えていたこともあり、二人のぶつかり合いを見る機会は減ってしまっていた。



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日本マジック史を語る場合に、間違いなくあげられる二人の名横綱。その取り組みが、このような場所で繰り広げられることになろうとは、いったい誰が想像できたであろうか。

 

晴乃海は語る「藤大鵬関は速攻が得意。だから絶対に赤単でくる。私はそれをがっちりと受け止める赤緑を選択する」

果たして藤大鵬がこの取り組みの為に準備したのは赤単ビートダウン。まさに晴乃海の読み通りであり、一歩先んじた形となった。しかし一つ晴乃海には誤算があった。藤大鵬の気合が想像以上であったのである。

その勢いに気おされたか思わず「待った」(※識者注 角界用語でマリガンのことを指す)をかける晴乃海。じっくりと時間をかけ、再び取り組みの準備を整えると、式守小出ノ助の「時間いっぱい、待ったなし」の声を受け、両の手を土俵につける。

《ボーマットの急使》《ファルケンラスの過食者》《地揺すりのケンラ》《激情のカルトーシュ》と左右のツッパリでしかける藤大鵬。これに対して一気に土俵際まで押し込まれる晴れの海。晴乃海は右足には力が入るものの、左足がぐらぐらとし、力を生み出すことが出来ない。



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一気に持てる力を投げ出すほどの勢いで、攻めたれる藤大鵬。「晴乃海関は土俵際のうっちゃりが得意だからそこは気をつけた」これが年季の成せる業が、勢いに乗りつつも冷静に戦況を見定める。

 

そして



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流石に晴乃海でも足腰が砕けては勝負にならず、2枚目の土地を引けなかいままに頭をかかえることになり、式守小出ノ助の藤田部屋の勝利を告げる勝ち名乗りが高らかに響き渡ることとなった。

 

 

かくして、晴れる屋とBIGMAGICの5度目の邂逅は、BIGMAGICの勝利という形で幕を下ろすことになった。最後に素直に負けを認めた晴れる屋の5人から、BIGMAGICへの賞賛と感謝の言葉が送られる



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この一幕を見守ったお客様からも温かい言葉がかけられる。



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これにて晴れる屋vsBIGMAGICはBIGMAGIC側が一歩リードすることとなった。後塵を帰すこととなった晴れる屋は今何を思うのか。先んじることと成ったBIGMAGICの次なる野望は。

この戦いに続編はあるのか。それはまだ誰も知らない。

 



「マジック大相撲2017」これにて閉幕