2015/11/18 ファイレクシアの十字軍 - Card of the Day -今日の1枚-

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ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader

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 GPは何かが起きる場所であり、何かを起こす人のための場所でもある...と思っている。15回戦の後にさらに3回戦を勝ち抜き、2、3000人の頂点に立つなんて何かを起こせる人間にしか辿り着けなさそうな、険しい道のりである。誰も思いつかないようなテクニック、思いついても実行しなかった構築...そういうのを形にできる人が王者となるのだろう(勿論、そういう人ばかりではない。王道をトコトン極めるということもまた、同様に困難で偉大なことだと思う)。

 《ファイレクシアの十字軍》というカードもまた、GPという舞台を彩った1枚である。まずはこのカードについて説明していこう。その名の通り、マジックの背景世界における邪悪の象徴、ファイレクシアに属するクリーチャーである。これは次元としてのファイレクシアが破壊され、機械の軍勢を率いたヨーグモスが死んだ侵略戦争から長き時を経て...次元ミラディンにて蘇ったファイレクシアの血脈・ミラディンを汚染し新ファイレクシアへと造り替えるファイレクシア第2世代、その先鋒ともいえるゾンビの騎士だ。

 3マナ2/2のボディに能力が3つ。"感染"に先制攻撃と赤と白に対するプロテクション。プロテクションは優秀な除去が豊富な赤と白のそれをシャットアウトし、地上のクリーチャーの前には絶対なる鉄壁として、また止められない攻め手として活躍することが期待できる素晴らしい色の組み合わせ。このカードが登場したミラディンの傷跡・ブロックにおいては赤と白は主にミラディン陣営のカードで構成されており、十字軍という信仰を異にする者を討つ軍勢の名が与えられているのも納得である。

 そして感染。これがもう1つの能力・先制攻撃と合わさると強烈無比。プレイヤーには毒カウンター/クリーチャーには-1/-1カウンターという形でダメージを与えるこの能力のおかげで、サイズで上回る3/3のクリーチャーにブロックされても討ち取られることなく一方的に向こうを弱体化させることが可能だ。もし攻撃を通してしまえば、回復することが不可能な毒を2つも受けてしまう。毒は相手に10個与えればゲームに勝利することが出来るので、このカードは5回殴れば勝利することが出来る。パワー2と印刷されているが、実質4のようなものである。5回と聞くと長いが、他の感染クリーチャーや緑の《巨大化》系のパワー上昇呪文、装備品を絡めると2パンくらいで勝負を決めてしまう。当時は《饗宴と飢餓の剣》のようなえげつない装備品も存在したため、これを装備してしまえばもうゲームに勝ったようなもんだったな。3マナにして強烈なプレッシャーをかける、フィニッシャーとなるクリーチャーでありスタンダードのみならず幅広いフォーマットで多くのプレイヤーに愛された名カードだ。強くてカッコイイ。この動力パイプのみで構成された関節とか、デカすぎる左右非対称な腕とか、どうなってるかよくわからん顔とか...人気出るにきまってるがな!

 このカードを手にGP神戸11を制覇したのは、かの殿堂入りプレイヤー・皆大好き八十岡翔太さんだ。独自の構築を行うことで知られる八十岡さんが、エクステンデッドで開かれた最後のイベントに持ち込んだのはこの十字軍を4枚サイドボードに仕込んだ「青黒フェアリー」。除去体制が高く、軸をずらして攻めてくるこのカードを前にフェアリー対策を握りしめながら散っていった対戦相手もいたことだろう。準決勝でも白単を相手に2体のゾンビの騎士が華麗な毒殺を決めていたのも記憶に新し...くはないか、もう4年も前だし。このサイドボーディングには、発想とそれを実行し、そして的確にそれを運用する...プロプレイヤーって本当にすごいなと、感動したものだ。

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