熊の守護霊体/Ursine Fylgja

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熊の守護霊体/Ursine Fylgja

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冬眠から目覚めてくる生き物の中で、最後にデカい欠伸をしながらノッソリと出てくるもの。熊には、そんなイメージがある。日本という小さな島国にも、ツキノワグマやヒグマが生息し、毎年冬は代謝を抑えた状態で寝床で春を待つ冬眠を行う。よくよく考えれば、あんな大きな哺乳類が飲まず食わずで寝続けられるとはすごい話だ。この熊の仲間で最大種であるホッキョクグマも、実は冬眠を行う。北極圏のような極寒の地に住んでいて冬眠?と思われるかもしれない。身ごもったメスは氷に穴を掘って冬ごもりしながら子を産み、北極圏でも特に厳しい環境下のものは冬眠を行う。それに、おそらく僕らがテレビでよく見ているホッキョクグマ達も、冬眠状態の可能性がある。ホッキョクグマはその食料の9割近くをアザラシに依存しているのだが、このアザラシを狩れる期間は海に氷が強く張っている間...年間、半年ほど。それ以外の期間はどうしているのかというと、他の熊で言う冬眠状態に代謝を下げつつ、その状態で歩き回り、時に同種で争ったりと普通の生活を行うのだ。これは「歩く冬眠」と呼ばれている。彼らは春に目覚めてはいるが、眠っている状態である...と、ついつい導入が長くなってしまったが、今日はそんなホッキョクグマのカードの話を。

この赤い目のホッキョクグマ《熊の守護霊体》のスペックは5マナ3/3。お世辞にも戦闘力が高いとは言い難い。となれば能力に期待したいところだが...この熊には治癒カウンターという斬新なカウンターが4個乗っている。このカウンターを1個取り除くことで、この熊が受ける1点のダメージを軽減できる。自己防衛型のプリベンター能力も持っており、対ダメージに関しては実質的にタフネスが7あるようなものだ。この能力のおかげで、同サイズのクリーチャーが並んでいる状況だと恐れずにアタックを仕掛けることが出来るし、この熊が突っ立っていれば相手もパワー/タフネス両方で上回っているクリーチャーでなければ殴り辛くなる。この能力はマナを必要としないので、白が得意とする各種コンバットトリックと絡めれば攻守ともに強力だろう。

この治癒カウンターは使いきりではなく、自らチャージすることも出来る。3マナで1個乗せる、というのは効率で見ればかなり悪いが...ないよりはマシだ。というかこの能力をあまり軽くしてしまうと、リミテッドでどうしようもないモンスターが誕生してしまうのでしょうがない。この能力もしかり、本体自体のマナコストが重いのもあって、構築シーンでその姿を見ることはなかった。

守護霊体は英語でFylgja、これは『アイスエイジ』で《Fylgja》としてカードにもなっている。このフィルギャは、スカンジナビアの北欧神話に登場する、人に付き従う霊的存在。「追随者」という意味に近い言葉で、人の霊が動物の姿となってあなたの目の前に現れたものである。このフィルギャは、それと出会ったもののイメージ・能力・性格が反映されて狼や鹿、熊と姿を変えるらしい。この霊が、その人や一家を護ってくれる...なんだか素敵な話だ。ホッキョクグマのような人に、是非使ってほしい1枚。

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