魔道士の誓い/Oath of Mages
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《ドルイドの誓い》が旧「誓い」サイクルで最強だというのは、既に述べたところ。では、最弱は?カードの強い弱いは人によって価値観が大きく異なるため、一概に○○だと言い切れないところがあるが...今回に限っては、満場一致の結果となると確信している。最弱は赤の《魔道士の誓い》だ。サイクルものでは赤はいつだって貧乏くじを引く、何だったら神話レアが赤だけ1枚少ないということのなんと多かったことか。単体で見れば強力なカードもしっかり存在するからトントンだとは思うが...やはり悪い印象というのは強く残る。その先駆け的な1枚がこれ。一体、どういうカードなのか、ひとまず落ち着いて確認していこう。
《ドルイドの誓い》の回で述べたように、『エクソダス』の「誓い」サイクルはすべてエンチャントで、各プレイヤーのアップキープの開始時にそのプレイヤーが他のプレイヤーと比べて何らかのリソースの数が下回った場合に誘発する(黒だけは相手の方が少なかった場合に誘発するが、これは少ない方が有利にゲームを進めているであろうリソースだからだ)。平たく言えば、これらのエンチャントのコントローラーが誰かにかかわらず、今不利なプレイヤーに恩恵を与えるエンチャント達である。《ドルイドの誓い》はこの不利な状況というのを自ら演出し、一方的に恩恵を受けるデッキを作ることが出来たため成功した。では、最弱の誉れも高い赤のそれは?「各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは自分の対戦相手であるとともに、自分よりもライフが多いプレイヤーを対象として選ぶ。前者のプレイヤーは、「魔道士の誓いは後者のプレイヤーに1点のダメージを与える」ことを選んでもよい。」自分の方がライフで苦しい立場にあれば、1点飛ばす。...なんだこれは。赤と言えば、昔からライフを攻める色。テンペストブロックの時代など、その戦略の最盛期と言ってもよい。《モグの狂信者》《ジャッカルの仔》ら優秀な1マナクリーチャーに《火葬》《ショック》《火炎破》ら優秀な軽量火力、《ボール・ライトニング》《呪われた巻物》といったパワーカード、これらを詰め込んだ「スライ」が暴れまくっており、赤は相手のライフを最も速く強烈に削りきる色だった。その色が、相手の方がライフが多かった場合に誘発するカードを使って、恩恵を受けられるわけはない。こちらに毎ターン1点飛んでくるだけとかいう、存在価値を疑われる1枚となった。そもそも、ライフで負けている状況で相手に1点石榑を投げ返したところで何になるというのか。
後の世にはこれに勝るライフを削るエンチャントが複数登場した。《硫黄の渦》...と比べるのは酷としてもだ。マナが1マナ重くなったとは言えアンコモンの《激憤の本殿》は遥かに有用。同じマナコストでコモンの《貫かれた心臓の呪い》にも完敗しとるのはどうなんだねレアとして!
もとはライフが少ないプレイヤーが1点受ける、追い打ちカードとしてデザインされていたらしい。それなら、2マナ圏の安定クロックとしてかなり使えたんだろうなぁ。このサイクルは不利な方に恩恵を与える、という統一がなされた為にむちゃくちゃ弱くなってしまった、犠牲者的な1枚であると公式記事でも認められている。むしろこれがあったから、前述のコモンやアンコモンは適切なカードパワーにデザインされたのだろう。