謎めいた命令/Cryptic Command
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Wayne England先生を偲ぶウィーク、この流れで、このカードを紹介しないのはウソである。というわけで、日頃意図的に強力なカード、人気すぎるカードは紹介するのを避けていたが...今回は皆大好きなこの1枚!お待たせ、《謎めいた命令》の登場だァァッ。
命令サイクル。これはマジックの歴史上、3つ存在する。1つ目は『スカージ』のサイクリング時に誘発する能力付きの大型スペル群。2つ目は『ローウィン』にて登場した、4つのモードから2つを選ぶスペル群。そして3つ目は現行スタンダードプレイヤーもよく知る『タルキール龍紀伝』の龍王の名を冠するモード選択スペル群。この《謎めいた命令》は、2つ目の単色のモード選択スペルの1つだ。厳密に言うと、英語版では『スカージ』のものはDecree、残り2つのセットのものはCommandと書かれており、訳は同じでもニュアンスは異なるもので、前者と後者は全く別のものである。そんなわけで、《謎めいた命令》は今後おそらくいくつかは誕生するであろう、命令サイクルの第一世代なのである。
命令サイクルは、サイクルという括りではあるもののかなり自由度が高いスペルの集まりである。点数で見たマナコストもシンボルの数も、インスタントであるかソーサリーであるかも色によって違う...というかこの青の命令のみがインスタントという特別扱いを受けている。その分、サイクル中唯一のトリプルシンボルに設定されており、2色以上のデッキでは運用が難しくなっている。
簡単に使わせてくれないということは、強力な効果であるということ。では、この呪文の4つのモードを順に見ていこう。
モード①「呪文1つを対象とし、それを打ち消す。」所謂カンスペ。このモードを構えて相手の攻めをいなしながらアドバンテージの獲得につなげる。
モード②「パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。」所謂ブーメラン。パーマネントなら何でもOKなのがポイント。青が苦手なクリーチャー化する土地を戻して時間を稼いだり、《ヴェールのリリアナ》+1能力スタックで相手の手札に戻して自滅させてうまぶったり。
モード③「あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする。」THE自衛。対戦相手のアタックをこれで防ぎ、次のターンに解決策に繋げる。強引に攻める時に使っても良し。
モード④「カードを1枚引く。」キャントリップ。上記のどれと組み合わせても損をしなくなるので、度々選ばれる。このドローで2枚目の命令や《瞬唱の魔道士》に繋げよう。
これら4つから2つを組み合わせ、6つの顔を持つ呪文として使用できる。これだけ全天候対応型でアドバンテージを失わない呪文であれば、そりゃ強力である。スタンダードでは「フェアリー」には標準装備、「マーフォーク」や5色デッキの「クィッケントースト」でも使われると、愛されまくっていた。現在はレガシーでは少々重いが、モダンではそのカードパワーをいかんなく発揮。青のコントロール系デッキにとって1つの生命線であり、むしろこのスペルをプレイしたいがためにモダンでコントロールを使うプレイヤーも少なくない。相手の呪文を打ち消して、トークンが死亡した《殴打頭蓋》を回収とか、ちょっとテクい。
イラストでは、壺から魔力で描かれた記号がモワモワと...青白く描かれた光・オーラは、まるで銀河の衛星写真や人の脳の細胞を写したもののようで、なんとも幽玄なものである。どういう発想からこのイラストを作り上げたのかなどなど、色々聞いてみたかったなぁ。