シミックの成長室/Simic Growth Chamber
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ヒトは成長する生き物である。生まれ落ちてから、ある程度の年齢までは肉体が成長し続ける。身体的な成長でピークを迎えても、それで成長の旅が終わるわけではない。むしろそこからが本番、「精神の成長」を目指す段階へ突入だ。個人的には、ここがヒトがヒトたる所以だと思っている。精神・心は経験により成長し続ける。今の自分は、このコラムを始めた頃よりは成長しているという自覚がある。このままずっと、伸ばしていきたいなと改めて思うところである。
この広い世界には、ヒトとは異なり生涯肉体的な成長を続ける動植物が存在する。マジックの舞台である多元宇宙ともなれば、何千年何万年と増長し続けるものも存在するだろう。そうした生物の成長を、自らの手で操作する集団、それがシミック連合だ。このラヴニカの青緑のギルドは、元々は自然・環境保護がメインのお仕事。それを実行するにあたって、魔法と科学で生物を研究し、そこから得た知識で医療の発展に貢献している。ここで留まれば、優良ギルドなのだが...彼らは、その更に先、禁断ともいえる「生物の人工進化」の研究を進める。理想の生物を生み出すため、様々な細胞を掛け合わせ移植し、奇妙な生物を増産・それらを人工的に成長させ、やがてはラヴニカ中の生態系そのものを作り変えてしまおうと、とんでもない計画を立てて...そんなことをしているので、一度ギルドとしては崩壊を経験している。
今日の1枚は、そんなシミックの施設をカード化したもの。《シミックの成長室》だ。イラストを担当しているのはかのJohn Avon。氏の描くヒスイ色の神秘・有機的な回廊が、何とも言えない美しさを放っている。このカードのイラスト、是非一度アップのものを見て欲しい。カードでは気づきにくいが、両サイドに計12個ある半円の空間には、何やら生物らしきものがゴロリと寝転がったりしている姿を見ることが出来る。シミックが作り上げた新種の生物を飼育し、成長させるための部屋なのだろう。不気味なデザインのものも多数いるが...。
カードとしては、ラヴニカブロックに10枚存在する"おかえりランド"の1つ。戦場にタップ状態で出るが、それぞれのギルドの2色のマナを同時に生み出す2マナ土地。ただし更なるデメリットとして、戦場に出た際に土地を1枚手札に戻さなければならない。つまり他に土地が出ていない状況...得てして1ターン目には置けないカードである。それでもコモンで2色土地、それも同時に生み出すというのは有能であるので、同ブロックのドラフトではこれらをかき集める戦略もあった。
構築シーンでは、どうしてもデメリットが目立つため活躍はなかったが...時を経てモダンにて《精力の護符》と《花盛りの夏》、そしてこのおかえりランドを組み合わせて、2ターン目に《原始のタイタン》が走る「アミュレットブルーム」というデッキが開発され、活躍の場を得た。成長室が場に出る、護符でアンタップ、マナを出す、自身の能力で手札に戻る、《花盛りの夏》で置ける土地の枚数を増やして、この工程を3回繰り返し6マナ確保、という寸法だ。恐ろしい動きだが、《花盛りの夏》は禁止に。また相性が良いカードが出てくれば...。