西風のスピリット/Zephyr Spirit

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西風のスピリット/Zephyr Spirit

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風にまつわるカードを紹介してきた「風ウィーク」、トリを飾るのは...《西風のスピリット》。英名は《Zephyr Spirit》、Zephyrはゼファー、ゼッファーと読み、これはギリシア神話に登場する西風神の名である。英語ではそこから西風を指す単語として用いられているわけだが、では西風とは何ぞや。これは強風とは真逆のそよ風・優しい風のことである。この風のスピリットということで、さぞや優し気な存在なのだろう。イラストでは風属性感溢れる衣装に身を包んだ、大変長い銀髪の美女の姿として描かれている。その表情、オレンジ色の背景と相まって、大変美しいイラストである。...とりあえず、このカードの褒めるべきところは褒めたので、ミッション完了。

カードとしては、6マナ0/6と非常に防御寄りのスペック。特に防衛は持っていないが、このスペックのクリーチャーをブロッカー以外で使うことはほぼないだろう。そしてこのスピリットは1つ能力を持っている。ブロックに参加すると、手札に帰るのだ。つまり、相手のパワーが7以上だった場合、本来は戦闘で破壊されるはずだったスピリットは手札に逃げ帰ることでそれを免れる。自ターンで再度展開すれば、もう一度ブロッカーとして運用できるのだ。

...だから何だ?マジックにおける6マナのクリーチャーと言えば、勝負を決める性能を持っていなければならない・あるいは、防御用のものであればそれらを封じ込めるほどのものでなければ。比べるのは酷かもしれないが、このカードが使えたスタンダードには同じマナコストで《潮の星、京河》という超強力なカードが存在した。うん、比べてやるのは可哀想だったな...。せめて、これらをキャッチできる到達持ちであってくれよ...。

そもそも、ブロックに参加すると手札に戻る能力とは、はたしてメリットなのか?普通、3/3を1体コントロールしている状況で相手の場に2/2と0/6がいた場合。こちらから殴りかかると3/3は0/6にブロックされ、次のターンに2/2がこちらに突っ込んでくる。無条件で2点のライフをやっている、大損だ。ただ、その0/6が手札に帰り、相手が再展開に6マナを必要とするとしたら...2点で相手の1ターンを奪えると考えたら、とりあえず殴るだろう。あるいはその3/3がトランプルを持っていたりしたら...ブロック後にスピリットがいなくなるので、戦闘ダメージは筒抜け。これ、状況によってはバニラ(能力なし)以下なんだが...。

マジックの公式サイトで、『ラヴニカ:ギルドの都』のワーストカードを紹介するという自虐的な記事で、《議事会の祝福》というタフネスを上昇させるオーラが選ばれたが、いやいやちょっと待てよと世界中のプレイヤーが猛反発。西風に決まってんだろ!俺らの西風を出せ~!とのプレイヤー達が声を張り上げた結果、後日無理やり西風の良いところを褒めるという、なんともノリの良いやりとりがあった。曰く、《梅澤の十手》のカウンターが増えない、神河ブロックのスピリット関係のカードの能力を誘発させられる...などなど。今なら《包囲の搭、ドラン》がいると実質6/6とか?弱すぎるカードではあるが、《Wood Elemental》に比べれば全然ええね。このカードをリアルタイムで経験した人は忘れることはないだろう、愛されカードの1つである。

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