力の化身/Avatar of Might
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「力」というものを形にして表現する際、どのような形を取るか。破壊の痕跡、巨大な肖像、威嚇する極彩色、最強騎馬隊の赤備え、某バトル漫画のチュインチュインと鳴るオーラ...様々な力の表現方法がある。実際に持つ力を振るうことなく、見た目で勝負がつくに越したことはない。基本的に、大きくて目立つものからは力を感じる。
マジックのように魔法が存在する世界では、力を可視化することは容易い。チャンドラだって自分の髪を燃やして、炎の魔力をアピールしているし、他のプレインズウォーカーや魔術師もエレメンタルという形で己の持つ力を具現化し使役している。では、こういった力を形にしたものの中で、最もピュアなもの・100%Powerなカードと言えば?誰も文句はないだろう、《力の化身》のお出ましだ。
化身サイクルは『プロフェシー』の看板レアサイクルだ。すべてrk post氏がイラストを担当し、5色それぞれにその色の特性が表現された個性的でクールな見た目のクリーチャーで、各種宣材に使用されていたのでその姿を見たことがある方も多いことだろう。その全てが8マナのアバター・クリーチャーで、それぞれの色に合わせた特定の条件を満たせばマナコストが⑥軽くなるという共通の能力を持っている。いずれも、8マナで唱えると重いが、2マナで出せれば超強力、そんなスペックの持ち主達だ。
この緑のアバター、《力の化身》はその名の通り、緑が担当する概念・力を具現化したもので、8/8トランプルというシンプルにしてギガンティックなスペックを誇る。リミテッド的に考えれば、8マナ8/8トランプルでもまあ問題はない。構築的には、なるべく2マナで唱えたいが...このカードが要求する条件は、「対戦相手のコントロールするクリーチャーがあなたよりも4体以上多い」という状況。緑は自分からクリーチャーをガンガンと展開する色なので、むしろこの条件は対戦相手側が満たされるのでは?と思ってしまうが...。
上手く使うのであれば、相手にクリーチャートークンを与えてしまうデメリット能力持ちのカードと組み合わせるのが良い。《禁忌の果樹園》でマナを生み出したり、《狩り立てられたトロール》ら対戦相手にトークンを献上する狩り立てられたサイクルと使っても良い。というか、その辺使わないとなかなか達成できない...ナチュラルに相手の方が4体以上クリーチャーが多い状況になっているのであれば、正直なところ《力の化身》1体を投入したところで、ダメージレースで不利な状況には変わりない。
顔がよくわからないが、とにかく強そうなその見た目が素晴らしくカッコイイ。少年時にこのカードに触れて好きになったプレイヤーも少なくないはずだ。ファンが多かったのか、カードパワー的に扱いやすかったのか、『第10版』に再録される。しかもFoil版にはフレイバーテキスト付きだ。Foilを持たない人のため、その内容を以下に記すとしよう。
「最も絶望的な時、ラノワールのエルフには最後に歌う歌がある。」
ラノワール?初出の『プロフェシー』はラノワールから離れたジャムーラ大陸が舞台だが...次元ドミナリアの森に住まうものには、この化身を呼び出す共通の歌が広まっているのだろうか。こういう深く掘り下げられないさり気ない設定というのが、マニア心を熱くするのだ。