蠢く甲虫/Drudge Beetle
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3月。そろそろ温かくなり始め、梅の花が春の訪れを告げだした。いや~、室内では年中半袖バンTで過ごしている僕としては、過ごしやすい季節がやってきて嬉しいなぁと。花粉という難敵も存在するが、今年は今のところ調子良し。皆さんの苦しみも少しでも楽なものになればと祈りつつ、さて今週のテーマは...個人的に、生き物が好きなんですよ。日本の小動物や昆虫は、冬場は冬眠して過ごし気温の上昇と共に巣穴から這い出し、1年の始まりを迎える。幼少時には「ざりがに」「かえる」「やまね」「くわがた」などの生活史を記した本を読んでは、開幕あるいはラストシーンを飾る冬眠からの目覚めの写真を見てワクワクしたものだ。今週はそんな気持ちを想起させてくれるカードで行くか!「春の目覚めウィーク」、よくわからんタイトルだが行ってみよう!
春が訪れると目覚めるもの、と言えばやはり虫達。彼らが活動を開始することで、それを捕食するもの達も目覚め、生命のサイクルが始動する。冬の間はどこにも見なかったテントウムシにチョウに...それらがわさわさ姿を現すのは、苦手な人からすればキツい光景かも。その様を意味する「うごめく」という動詞は、漢字では春に虫×2と書く。実にわかりやすいではないか。その「蠢く」もの達の中でも、冬眠明け感があるこの1枚、《蠢く甲虫》をご紹介しよう。
緑の2マナ2/2、所謂"熊"。『ラヴニカへの回帰』は5つの色の組み合わせ=ギルドにまつわるカードが収録されているが、このグロテスクな甲虫は緑黒・ゴルガリ団に属する1枚。ゴルガリの最も基本的なカードの1つであり、同ギルドのキーワード能力"活用"を持つ。この能力はクリーチャーのみが持ち、そのカードが墓地にある時のみ機能する。墓地にある時にソーサリータイミングのみで起動できる能力であり、マナを払ってそのカードを追放することで、戦場にいるクリーチャーに自身のパワーに等しい+1/+1カウンターを乗せるというもの。ゴルガリ団はラヴニカの都市でゴミや死体の処理、貧者への食糧供給などの活動をする傍ら、「死」は終わりではなく新たな「生」を生み出すものとして、死を支配しそれを用いる魔法でその勢力を日々拡大している。活用はこの死から生・あるいはそれと等しく有効な何かを生み出すサイクルを表現したものだ。英名はScavengeで、これはゴミをあさる・生き物が腐肉を喰らうことを意味する。イメージとしては死骸を喰らわせたり
この甲虫は簡単に同マナ域のクリーチャーと戦闘してさっさと死亡させ、後続を強化させるためにその時を待つのである。
この甲虫の活用コストは6マナと重い。その重さの割に、クリーチャーが受ける強化は+2/+2のみ。う~ん、と思ってしまうが...当時のリミテッドでは、これがなかなか良能力。さっさと相打ちさせて、後続を育てる。リミテッドならばクリーチャーのサイズが二段階上昇すればそれだけで十分に脅威だ。この環境では確定除去が弱く、また《野面背のサイ》のような除去体制の高い・高タフネスのクリーチャーが緑には多く、活用能力が大きく生きた。個人的には《短剣広場のインプ》を育てて「お手軽《悪斬の天使》」でビーとするのが大好きだった。このあたりから従来好きだった緑と黒という色がより好きになり、ゴルガリ系メタラーとしての今に至ると。PTQで夢を見させてくれたりと、個人的には思い入れが強い1枚。また皆で『ラヴニカの回帰』×3ドラフト、どっかでやりてぇなぁ。