2014/09/29 繁茂 - Card of the Day -今日の1枚-

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繁茂/Wild Growth

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 すっかり、秋だねェ。秋はちょっとしたことに風情を感じる季節、ただ歩くことが楽しくなる。風情、という言葉は日本古来より存在する美意識の1つである。時間により変化してゆくものの中に美しさをみつけ、またそれを感じることで自己の内面を省みる…四季がある日本らしい感覚で、こういうのを常に意識しながら行きたいものだなと。

というわけで、今週は僕が独断と偏見で選んだ「風情のある」カード達を集めた「風情ウィーク」をやってみようじゃないか。

風情が年月の経過を体現するものから感じられるのであれば、マジックのカードで言うならばこの「アイスエイジ」版の《繁茂》がまさにそれにあたる。食肉目であろう動物の頭骨、それもかなり年月が経ち風雨に晒されることで朽ちた色となったものがその地にあとから芽生え茂った茨に持ち上げられるという、生命のドラマを思い起こさせるイラストとなっている。

カードとしては、マジックの誕生と共に登場し、今日までそのポジションを保持し続ける強い存在感を放つ1枚。土地に貼り付けることでその土地に緑を文字通り繁茂させ、生み出すことが出来るマナを緑1つ分増やすというもの。名前とカードから得られる恩恵とがこれほどダイレクトに結びつく1枚もなかなかない。

単純な1マナ圏のマナブーストとして作られたが、しばらくはその評価が《ラノワールのエルフ》に勝ることはなかった。クリーチャーであることの利点の方がオーラであることのそれよりも大きかったのだ。このカードは土地をアンタップすることの出来るカードと組み合わせてのコンボの種としては比較的広く知られていたが、それほど積極的に用いたいカードでもなかった。

「ウルザズサーガ」にて《アルゴスの女魔術師》が登場した時、このカードはその生きるべき道を手に入れた。「アデプトグリーン」と呼ばれるこの女魔術師のドロー能力をフルに活かすデッキでは、ドローを誘発させマナを増やすというガソリンとして大活躍。以後、レガシーなどで愛され続ける「エンチャントレス」の屋台骨として今日もその根を張り巡らせ、歯を生い茂らせている1枚だ。

それにしても良いイラストだね。最近はこういうタッチのイラストが世界観に合わないのもあってかなかなか見られない。僕らはこういうのを見て感性を磨き風情を感じられるようになってきたといっても過言ではないので、今の風潮は少し勿体なく感じる部分もあるんよね。

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