雲の宮殿、朧宮/Oboro, Palace in the Clouds
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「和ウィーク」ということで、紹介するカードは必然的に日本をモチーフとした次元が舞台の神河ブロックのカードが多くなった。どうせならば...とシメの1枚は同ブロックで最も和の心とマジックらしさが融合している1枚にしようと思い、個人的にそれに該当する1枚《雲の宮殿、朧宮》をチョイス。Rob Alexander氏が描き上げたこの雲の中に佇む城・宮殿のイラストこそ、氏の傑作であると僕は思っている。実在の日本の城のような天守閣。その向こうにそびえる宮殿部は和風でありながら絶妙に日本に現存するそれとは異なる、不思議な建築デザイン。あくまで日本のような次元であって日本そのものではなく、また雲の上・空民の文化圏は地上のそれと少し異なるという世界観が伝わってくる。差し込む後光、青空にたなびく雲、イラストを構成するすべてが美しい。
カードとしては、その名からわかる通りの伝説の土地である。青マナに基づいた部族・空民(ムーンフォーク)の住処だけあって、生み出すマナは青マナ。タップインではなく、マナを生み出すのにも特に制限はないので、青単デッキであれば《島》の代わりに採用するのは容易い。で、この青単の特殊土地がすることがなんなのか?それは...1マナを支払うことで、手札に戻すことが出来るのだ。...何それ?と思った君。確かにメリットはあまりなさそうな能力だが、こういうことが出来る土地は貴重で、それだけに隙間産業的な価値がこの土地にはあるのだ。例えば、《ハルマゲドン》のような土地破壊の魔の手から1枚だけでも土地を逃がすことが出来るのは大きい。土地につけるオーラの類とか、そういうものも無効にできる。そして、このカードが作られたころには想定もされていなかったであろう能力・"上陸"との相性が良いのもセールスポイントだ。毎ターン確実に土地を戦場に出すことが出来、上陸能力を誘発させることが出来る。《面晶体のカニ》や《乱動の精霊》の能力を毎ターン誘発させることが出来るのは素晴らしい。戻る能力にはタップを含まないため、自身から生み出した青マナで手札に帰ることが出来るのは運用するのに現実的である。
最良の相方は《Fastbond》。出し入れのたびに1点ダメージは受けるが、ライフがある限りこの土地が循環する。隣に《クルフィックスの狩猟者》なんかがいれば無限機関の完成だ。土地から生まれるマナが倍増する系のカードがあれば無限マナ、上記の連中がいれば無限上陸誘発。統率者戦なんかでデッキが作りたくなってくる。
この手札帰還能力を抜きにしても、モダンのマーフォークデッキなどに採用されたりしている。上陸シナジーなんかないデッキなのに何故?その答えは、《島》でないアンタップインで青マナを生み出せて、デメリットが何もない土地だから。《島》でないということは、《沸騰》や《窒息》で妨害されず、マーフォーク同系で相手の島渡りに渡られる心配もない。実質《島》でありながら《島》のデメリットを持たないということで、《水辺の学舎、水面院》と1枚ずつ使われているのをチラホラ見る。勿論、特殊土地であるが故のデメリットも少なからずあるので、用法容量は守って使ってね。